タリホーです。

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【ゲゲゲの鬼太郎】牛鬼(2~4期)を見比べる

ゲゲゲの鬼太郎歴代セレクション、第七回目は牛鬼。

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牛鬼は鬼太郎のエピソードの中でも割かし有名な上にプロットも基本的に大きく変わってないという印象はあるが、改めて見るとどうだろうか?

 

5期と6期の感想は当ブログで言及済みなので今回は2~4期までを見比べよう。

tariho10281.hatenablog.com

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2期(劇画調の緊迫感ある牛鬼回)

最初に放送された2期の牛鬼回はほぼ原作通りの内容だが、改めて見ると70年代のアニメでよく見られる劇画調の作画が特にこの牛鬼回では効果的になっていたという感じで、バトルシーンの時は空が赤くなるといった演出とあいまってなかなか緊迫感がある出来になっている。迦楼羅様もギリギリまで登場しないから、初見の人は結構ヒヤヒヤしながら見たのではないだろうか。

ちなみに迦楼羅さまのお祈りから登場までにかかった時間は、3期は(実際にかかった時間ではなく)本編の尺に換算するとお祈りを初めて約1分ほどで登場するのに対し、2期はその倍で約2分はかかっている。

 

3期(歴代一カッコイイ迦楼羅さま)

3期も内容は原作や2期に則っており、魚釣りに来た子供も2期のビジュアルを踏襲している。とはいえテイストはかなり変わっていて、2期の緊迫感を思うと3期はややマイルド路線という感じかな?それは牛鬼の体格が丸みを帯びた感じであることやオレンジっぽい体色も影響しているが、特に表情が豊かになっていてどこか憎めない雰囲気が漂っている。

またバトルシーンについても原作や2・4期が髪の毛で首を絞めるという比較的シンプルな倒し方をするのに対し、3期は空中で身体を回転したり闘牛士さながらに牛鬼の攻撃をよけて最終的に防壁に激突させるという派手な立ち回りを繰り広げている。この辺りは3期のヒーローもの・バトル路線の作風に則っていると言えるだろう。

そして牛鬼を封じる迦楼羅さまだけど、個人的には3期の迦楼羅さまが一番カッコイイと思っている。2つのかがり火が一つに合体してそれが迦楼羅さまになるというあの演出は流石というか、正に救いのヒーロー登場!って感じで実に頼もしい。

 

4期(親子愛テーマだけどツッコミ所もあり)

4期も内容は原作に沿っているが所々にアレンジが加えられている。例えば最初の観光会社社長が牛鬼に乗っ取られる下りはいきなり牛鬼に変化するのではなく、生肉を喰らったり影に角が出来るという感じで徐々に変化する様が描かれる。ここは日本のホラーを意識した演出だと思う。

そして鬼太郎ファミリーが登場するのは3期と同じだが、3期は登場したけどあまり活躍出来ていない(特に子泣きと砂かけと猫娘)印象を受けたのに対し、4期は子泣きや一反木綿、それにぬりかべが牛鬼と化した鬼太郎に挑んでいる。喰われたのは仕方ないにしろ一応その奮闘ぶりは視聴者にも伝わったと言うべきだろう。

迦楼羅さま登場以降の展開は、原作や2・3期では火山に落とすのに対し、4期は崖から落とすという手を取っている。正直火山の方が絶望感を覚えたので崖から落とすという改変はぬるいなと思ってしまうし、崖の下に尖った岩があるとかならまだしも、海の妖怪をそのまま崖下の海に落とした所で大したダメージにはならんだろと思ってしまったのでそこがツッコミポイントの一つだ。

そしてもう一つのツッコミポイントは封印方法。いや封印がお札一枚って。もっと厳重にしようよ。そんな封印だから簡単にはがされるんだよ。人じゃなくても高波とかぶつかったら絶対はがれるよアレでは。

ツッコミ所はあるにせよ、物語としては親子愛というテーマでまとめられるのは素敵なポイントであり、牛鬼と化した鬼太郎の意識に訴えかける目玉おやじと牛鬼の意識に抗って目玉おやじへの攻撃を止めた鬼太郎の互いの思いが異国の神である迦楼羅さまを動かしたというのも納得である。

実を言うと4期の迦楼羅さまは村人の祈りで現れたとはいえ、ぶっちゃけ人間を助ける義理はない。物語冒頭で観光会社が迦楼羅さまの社を壊してホテルを建てようとしていたのだから、4期の迦楼羅さまにして見れば邪険に扱っておきながら都合の良い時に呼び出されたという感じでそりゃ「許しがたい」と言ったのも頷ける。

 

 

こんな感じで2~4期を見比べると、やはり基本的なプロットは前回の白山坊回よりも変化がなく、細かい部分の演出によってテイストを変えている。緊迫感ある2期にヒーローものとしての3期、4期の情愛溢れるプロットという変遷を経て5期はねずみ男と鬼太郎の友情を描いたということになる。

5期の感想記事で私が下した低評価はプロットというよりは牛鬼の設定を変えたことに対するもので、自分の意思で宿主を変えたり糸を吐いてターゲットを絡めとることが出来るなら、あんな怪獣みたいな大きさにはならないのでは?という牛鬼の生態系(生物としての進化)に関するモヤモヤがあるから素直に評価出来なかったという感じだ。

6期は2018年当時の感想がちょっと雑なので改めて感想を述べると、観光化した島という設定が何となく4期のアンサーソングになっているし、劇画調の牛鬼という部分は2期を彷彿とさせるものがあって、そこが良かったなと思う。またこれまでは日中に起こった事件だったのに対し、6期は夕方から夜間にかけて起こった事件なので、そこが従来の牛鬼パニックとは違う怖さ・緊迫感の演出につながっていたのも評価したい。