タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

【ACMA:GAME】いわゆる「四天王の中でも最弱」ってやつですね【アクマゲーム #04】

惨敗というのは「0対3」とか「1対3」といった結果に使うのであって、2対3は惨敗ではないのですよ。

日本語はさ、正しく使わないとね、長久手ェ…?

 

(以下、原作を含むドラマのネタバレあり)

 

「百金争奪 Hundred Contest

ACMA:GAME(5) (週刊少年マガジンコミックス)

4話は原作5巻の内容。原作ではグングニルが悪魔の能力を利用して日本政府を乗っ取ってしまい、一刻も早く組織の野望を防ごうと照朝が動こうとした時、照朝の会社にグングニルの構成員の一人、長久手洋一が訪れる。彼はグングニルの最終目的を明かした上でそのために必要な人員を選ぶべく、アクマゲームのトーナメント戦を照朝に持ち掛ける。トーナメント戦に参加すればグングニルに近づけると判断した照朝は、その前哨戦として長久手と勝負をする。これが原作のあらすじだ。

 

ドラマの方も大体原作と同じ展開で次回からグングニル主催のトーナメント戦が始まる訳だが、見届け人が原作と違うのも前回と同様。ドラマは潜夜と悠季に変更されており、ゲームの展開もこの二人の性格・設定に合わせた形で変更されている(作戦自体は原作と同じ)。

そして今回から初登場する悪魔コルジァは原作だとガドと同じくらい大きなフクロウという見た目に対し、ドラマは通常のフクロウよりやや大きめで脚が長く、頭に銀のティアラを冠している、原作よりも上品さ・エレガントさが強いコルジァだ。

 

それでは今回のゲーム「百金争奪」の解説に移るが、内容は五種類の駒を互いに出し合ってその強さで勝敗を決めることで100枚の金貨を奪い合うというもの。これまでのガドが用意したゲームに比べるとかなりルールに”細やかさ”があるような気がするが、やはり悪魔の性格によってゲームの性質とやらも変わるというものだろうか。

 

一応各回ごとの流れをおさらいすると以下の通り。

①獲得する金貨の枚数の設定

②駒の選択・決定

③互いの駒の提示

レベルアップダイヤの使用を選択

⑤勝敗を決定

出した駒(カード)の強さで勝敗が決まるというのは、先行作品では「賭博黙示録カイジ」の「Eカード」や、先日ドラマのキャスト陣によって行われた「13戦争」※1といったゲームなどが挙げられるが、最弱と最強がぶつかったら最弱が勝つという点は先行作品と共通するものの、今回のゲームは駒を出した時点で勝敗が決するのではなく、レベルアップダイヤによる駆け引きがワンクッションはさまれるのが面白いポイントだ。駒を出した時点で負けだったとしても引き分けに持ち込めることも出来るし、勝ちを確定させたい時にも使用出来るのだから、プレイヤーにとっての救済措置、或いはここ一番の大勝負の時に使えるという点でも特筆すべきアイテムだ。

 

そんな訳で今回のゲームは駒を出す順番とダイヤを使うタイミングが勝敗の鍵になるのは間違いないのだが、一方で今までのゲームに比べるとプレイヤーが相手を騙す余地があまりないという特徴もあると言えよう。

これまで照朝が挑んだゲームは「相手の言葉の真偽を見抜く」「相手の影を踏む」「カードのマークを当てる」といった最低限のルールさえ守ればあとは何を仕掛けても良いという自由さがあったのに対し、今回の場合はゲームの展開が割とカッチリ決まっており、ゲームルールの盲点・抜け道みたいなものがあまりないから、照朝や長久手がやったように駒を偽装するという発想に行き着くのは当然だし、そういう意味では今回のゲーム、正直意外性に欠けると私は思う。

 

では駒の偽装以外に騙す余地がないのかと考えて、①の金貨の枚数設定の際、カウンターの表示を偽装するという手はどうだろうか?と思いついた。

例えば、実際の枚数設定が30枚なのに、対戦相手にはカウンターの表示が5枚に見えるよう悪魔の能力で偽装することが出来れば、その回で相手は弱い駒を出すと予測が立つのだから、勝つ確率が格段に上がる。しかし、枚数が決まった際にコルジァ自身の口からその回の枚数設定が述べられるので、仮に悪魔の能力でカウンターの数値を騙せてもすぐバレるのでこの偽装は意味がない。対戦相手にカウンター表示とコルジァの発言を幻覚か何かで別の数字と錯覚させられたら良いのだが、基本的に悪魔の能力は一つだけで、視覚と聴覚の両方を騙すことは不可能だから、やはり①の段階で偽装は無理だろう。

結局プレイヤーが出来るのは駒の偽装と、照朝が行ったダイヤを入れるフリというこの二つの手段に限定される訳であり、長久手は悪魔の能力で、照朝は駒の冠を外して入れ替えるという力業で駒の偽装を行ったのだが、コルジァが駒を冠ではなく胴体で見極めているという点に気づいた照朝の勝利で終わる。

 

ちなみに長久手は照朝のこれまでのアクマゲームの戦歴について調べていたし、原作ではそれに加えて照朝の経歴も調べた上で「照朝の思考パターンは読めている」とかいきがっていたけど、結果がこのザマだからマジで見掛け倒しの敵だったな~と思うばかり。いわゆる「四天王の中でも最弱」という感じのポジションだった。

長久手に関してもう一つ言っておくと、原作の彼は眉毛がない※2ということもあって感情が読めない不気味な顔立ちだったのだが、ドラマでも彼を演じた桐山さんの眉毛がコルジァがいた時だけ肌色のメイクで眉毛が目立たないよう消されており、ちゃんと原作の不気味さを再現しているな~と細かい工夫に感心した。

 

※1:アクマゲーム バックストーリー配信開始!悪魔のカードゲーム#1「13戦争」前編 - YouTube

※2:原作の照朝が彼の顔を見て「眉一つ動かさない」と言う台詞があるのだけど、そりゃ眉毛ないし動かす眉ないでしょってツッコんだ。(厳密には眉は毛の生えているラインの部分を意味するから間違ってはないけど、ツッコミたくなるし多分作者も狙ってやっているはず)

 

さいごに

ということで今回の感想はこんな感じ。特に高度な駆け引きもなかったので頭を悩ますことはなく、ゲームのルールもわかりやすく、対戦相手の悪魔の能力も大したことがなかったので制作する側もそんなに苦労はなかったと思うが、原作と違いゲームに使用した駒やコロシアム風の盤面といった小道具が凝った作りになっていたのはなかなか良かったね。別に何回も使用しないのだから原作通り駒とダイヤを入れられる箱だけ作っても全然問題はなかったのに、あんな手の込んだ盤面まで作るのだから、このドラマの美術スタッフの仕事は評価しないといけない。先述した長久手の眉毛も含めて細部に神が宿るということを制作スタッフは心得ているなと思ったよ。

 

そうそう、照朝の友人の初が闇堕ちした件も触れておかないといけないね。2話の感想記事でも言った通り原作の初は照朝の友人ではなくトーナメント戦で登場するキャラクターらしいが、友人設定に改変したってことはそんな大した役どころではないと正直見くびっていた。

ま~そうだよねぇ?だって SixTONES の田中樹さんをキャスティングしたのだから、ずっと照朝の補佐でいる方がおかしいし、同じグループの京本大我さんや森本慎太郎さんが主役を張っている今、田中さんだけサブキャラポジションで終わる訳ないよな!すまない、ナメてたよ。

田中さんの過去の出演作は見てないし、原作の初についても5巻までしか読めてないからあまりこの辺りのことについて言及は出来ないけど、ドラマの改変って照朝の設定の時もそうだったけど、やはりちゃんと考えて改変されているなと私は思っていて、ドラマの照朝はこれまで復讐目的、要は利己的なダークヒーローという描かれ方をしていたのだけど、今回の初の闇堕ちによって照朝には友人を欲望渦巻くアクマゲームの世界から救い出すという第二目標が生まれた訳だから、ドラマの彼にもこれで真っ当なヒーローとなり得る指標が出来た訳だし、原作と違う面白さがあって私は好意的にこの改変を評価したい。

 

何かまみキチのフォロワーさんがこのドラマを「大人向けじゃない」って貶している記事を見かけたらしいが、そんなの私に言わせてみればミカンを食べて「これはリンゴの味がしないからダメだ」って言っているくらい滑稽なコラムですよ。

(ドラマ公式が「大人に向けたドラマ」だと標榜してたらまだわかるのだけど)