いやー、
やはり牛鬼は良いな!
人を喰らい、建物を破壊する怪獣の面を備えながら、妖怪としての不死の力も備えた牛鬼は鬼太郎シリーズ屈指の強敵だ。
牛鬼が最恐たる所以
個人的に鬼太郎の最大の強さは「異常なまでの再生能力」だと思っている。首をはねられても、身体を溶かされても、喰われても、かまぼこにされても、木にされても、様々な手段によって復活し、敵の妖怪たちを撃破してきた。
しかし、この鬼太郎の強みとなる再生能力は牛鬼の前では意味が無い。
原作・アニメをご覧の方はわかると思うが、牛鬼の本体は細胞を変化させる生きた気体。つまり、相手に寄生しその細胞を変化させることで牛鬼となり人を襲う。
鬼太郎も相手の身体と意識を乗っ取る戦法を使ったことがあるが(原作「妖怪獣」の大ナマズなど)、牛鬼の場合は細胞レベルで相手の身体と意識を乗っ取るので、鬼太郎でさえもその自我を保つことが出来ず、身体と心が牛鬼になった。
しかも細胞レベルで乗っ取られているので、脳細胞も当然ながら牛鬼に乗っ取られており、鬼太郎の意思で元の身体に戻ることは出来ない。再生も何も、鬼太郎の細胞は何ら破壊・損傷を受けていないのだから再生能力の活かしようがないのだ。これが牛鬼が最恐たる所以である。
各期と比べての感想
基本的にこれまでの牛鬼回(2~5期)のプロットは変わっていない。
海辺の村で牛鬼の封印が解けて暴れ出す→鬼太郎たちが駆け付け牛鬼を倒す→鬼太郎が牛鬼になる→迦楼羅様によって牛鬼が再封印され、鬼太郎は助かる
というのがこれまでの共通の内容。
もちろん各期によってテイストは微妙に異なり、4期は鬼太郎と目玉おやじの親子愛が描かれているし、5期の牛鬼は口から糸を吐き相手を絡めとる蜘蛛の要素が加わりある程度知性を備えた妖怪に改変されている。
今期の牛鬼はと言うと、劇画調だったことも相まってなかなかの迫力だった。破壊したパトカーが送電鉄塔にぶつかり全島が停電した場面は、牛鬼が暴れる場の構築として効果的な演出だったのではないだろうか(これまでの牛鬼回で牛鬼が暴れていたのはいずれも日中の出来事)。
あと人が喰われる場面が描かれていたのは今期が初めてだった気がする(ねずみ男は毎度喰われてる)。島が観光地だったということもあっただろうが、いきなり現れた怪物を目の前にして写真を撮る部分に、今ドキさを感じる。
そんな牛鬼に喰われた人たちの場面を見てネットでは「狸政権の時の恐怖はもう忘れたのか」みたいなツッコミがあったが、あの政権乗っ取りはゲリラ的なもので首都圏・都市部のみに集中していた可能性もあるから、島しょ部の人にとってはあまり実感がわかないことだったのではないだろうか…と思う。
ツッコミと言えば、「牛鬼の封印はもっと厳重にしたら良いのに」との意見も見かけた。これは迦楼羅様が自分に対する人々の信仰心や、牛鬼のような未知のものに対する畏怖の感情をはかるためにあえて厳重にしなかったと考えるべきではないだろうか。
つまり昔からの言い伝えや先祖たちの忠告をないがしろにするような人間が今後も出て来るのかどうか、迦楼羅様は脅威を完全に取り除かないことで我々人間をためしているのかもしれない。
相変わらず猫娘はカッコいいが、今までの猫娘は鬼太郎たちの戦闘を補助する程度の役割しか果たしていないから、今期のようにアグレッシブにボスクラスの妖怪を相手にしているのは改めて新鮮みがあった。