タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

【ACMA:GAME】カゲ踏んで、ドジ踏んで【アクマゲーム #02】

影踏みか~…。やったことがあるような、ないような…?

 

(以下、原作を含むドラマのネタバレあり)

 

話の都合でIQを下げられる原作照朝

ACMA:GAME(2) (週刊少年マガジンコミックス)

2話は原作2巻のエピソードに相当するが、当然ながら原作とドラマとでは展開が大きく異なっているのでその違いについてまず説明しておこう。

 

原作ではマルコから悪魔の鍵を入手した照朝が、さっそく鍵の秘密を探るべく自身の会社の研究室で解析を行うものの、計測器による成分分析どころか質量さえ計測出来ないという人知を超えた悪魔の鍵に改めて驚くことになる。唯一わかったのは特定の赤色レーザーを鍵に当てると謎のマークが浮かび上がるということだけで、このマークを解析するために、照朝は同じ学校の同級生で暗号解析AIを開発した若き天才プログラマーの眞鍋悠季に協力を求めに行く。

ということで原作ではこの2巻で古川琴音さん演じる悠季が初登場するのだが、折悪しく悠季の実家である部品工場の「眞鍋製造」には、兵頭率いる暴力団組員が借金の取り立てに来ているというかなり危険な状況。照朝は親友二人の協力を得て悠季とその家族を助け出そうとする…のだが、作戦が失敗して親友二人は組員にボコボコにされて捕まってしまい窮地に立たされる。絶体絶命のピンチになった照朝はやむなく悪魔の鍵を使用しガドを召喚する…!

 

以上が原作のゲーム開始に至るまでの流れだけど、えーっと、原作を読んだ時の私の所感を述べるよ。

「え、照朝バカなの?」

お前頭脳明晰キャラじゃなかったの?そういうのってわざわざ自分達が乗り込まなくても警察呼べば良いんじゃないの?まぁ確かに一刻の猶予もない状況だったけど、犯行現場撮って「オレは織田グループの会長だぞ!」って水戸黄門ムーブかまして解決出来る訳がないでしょーが!!しかも外にも見張りの組員がいた可能性を考えてないって何じゃそりゃ!1巻のチートキャラ設定は一体何だったの!?

 

こんな具合に、原作者が明らかに次のゲームの展開を作ろうと意図的に照朝にドジを踏ませたせいで当初のチートキャラ設定にブレが生じてしまい、何かこのエピソードだけ照朝のIQが下がった状況になっているのが脚本としてマイナスポイントだと思う。

 

一方ドラマでは、悠季が照朝と斉藤初を仲直りさせるために中学生の時に学校に埋めたタイムカプセルを掘り起こすことを提案、その学校で悪魔の鍵を狙ってやって来た兵頭に悠季と初が襲われたことで、やむなく照朝は悪魔の鍵を使用するという流れになっている。

ちなみに、斉藤初は原作だとまだ登場しておらず、調べた感じだと原作では照朝の同級生でもないし性格も全然違うとのことで、名前だけを借りた別人だと考えるべきだろう。兵頭は暴力団ではないがプロボクサーという設定は原作から継承しているようだ。

 

初回で描けなかった照朝と悠季・初の関係性に比重を置いたプロットとして改変された今回の物語は、原作みたいに照朝がこの回だけバカになるという事態を回避しているという点で実に見事な改変だったと思うし、初が照朝に対して抱いている思いも明らかになっている。父親を殺した相手に復讐する一心で帰国して来た照朝を心配しており、本当は復讐などやめてほしいし、同じビジネスマンとして対等に仕事したいという思いがあるのだけど、ライバル心が邪魔をして素直にそれが言えずつれない態度になるという初の複雑な心理が読み取れた。特に前回の初はほぼ蚊帳の外状態だったから、ここで照朝・悠季・初の関係を明確にしてその友情の深さにスポットライトを当てた内容にしたのは、連続ドラマとしては当然の舵取りだろう。

 

「映影頭踏 Shadow Step

今回のゲームは「映影頭踏」という、相手の影の首から上(頭部)を踏んで2点先取した方が勝ちというこれまたシンプルなゲーム。一応原作はもう少し細かい説明があって、影が建物や他のモノの影に被った場合は、その相手の影を踏んでも無効というルールがあるし、もう一つ影について原作ではルールがあるのだけど、それはネタバレ防止のため今回は伏せておこう。

 

このゲームで照朝はガドから特殊能力を提供され、物体を物理法則に関係なく一分間だけ固定出来る「一分間の絶対固定(リミテッド・パーフェクト)」を使用することが出来るようになる。この能力をいかに駆使してゲームを勝利するかが今後の見所となるが、正直今回は同級生三人組の友情を描くことに比重を置いた結果、ゲームの面白さが半減していて個人的には不満の残る改変だったと厳しめに評価したい。

 

そもそも原作と違い舞台が部品工場から中学校に変更されたので、体力面・俊敏性では兵頭に利があるけど、地の利は照朝たち三人組にあるため、原作と比べると公平性に欠けるというか、本来一対一の個人戦なのに実質団体戦になっているのも改変として悪手だと感じた所だ。原作では上杉潜夜はこの時点で照朝や「映影頭踏」に介入しておらず、あくまでも兵頭と照朝の一騎打ちだからこそ、後には引けぬ緊張感があったのに、団体戦になるとゲームとしてガバガバというか何でもアリになってしまう。最後の最後で悠季と初が兵頭を捕まえて、照朝がその影を踏んで勝利するというあの展開にしても、「それで得点になるんだったらゲームとしてやる意味ある?」って思うし、ガドの裁定にも納得がいかない。

公平性と言えば、ドラマのガドは兵頭に対して誘導的な発言をしていたのも気になる所で、「このままだと照朝たちが通報するから、命を奪うしかないよね~?」と意図的にデスゲームに持ち込んでいる。悪魔の鍵の設定にしても原作と違い所有しているだけで幸運が舞い込み、99本集めればこの世の全てを手に入れられるという付加価値があるのだから、やはり悪魔側の思惑も考えると公平性というのは詭弁みたいなものと考えるべきだろうか?

 

さて、以上のように不満を述べたけど、一方で原作通りやれない理由も何となく推察されるんだよね。原作のゲーム展開を一部ネタバレすることになるが、兵頭は原作でフォークリフトに乗って照朝を追い詰めるという展開があるのだけど、フォークリフトは誰でも乗れる訳ではなく免許がないと運転出来ないし、免許を取るにしても学科講習が7時間、実技講習が24時間で、最短で4日はかかるみたいなので、撮影するにあたって役者の方にこの場面再現のためだけに免許をとってもらうというのは、いくら何でも無茶ぶりというものだろう。

漫画はフィクションだし相手はヤクザだから免許の有無は関係ないけど、実写化するとなると実際に運転するのだから、そこで無免許運転したらアウトなので、今回のような改変をしたのも納得と言えば納得だ。しかし、出来ないにしてもそこは工夫して頭脳プレイで兵頭に勝つ照朝が見たかったな。

 

※原作では照朝だけでなく兵頭や他の観戦者にもこの情報が開示されている。

 

さいごに

ということで今回の感想は以上となるが、ゲームの第二戦目までは良かったんだよ?中学時代の思い出を利用して兵頭の影を踏む所とかは改変としてナイスだったし、照朝がガドを召喚する下りは原作と比べてだいぶ不自然さが解消されていたからね。しかし、第三戦目で潜夜が妨害してきたり、仲間が兵頭の動きを封じて照朝が影を踏むというアレはダメだな。それがOKなら潜夜が照朝を羽交い絞めにして、そこを兵頭が影を踏むということをやっても全然問題なかったのだから、わざわざ照朝の作戦を封じなくても手っ取り早くゲームに勝てたのではないか?と思える余地が生じているのが実に残念だ。

そういう訳で今回は人間ドラマとしての改変は良かったけど、ゲーム展開の改変で大幅減点という感じ。原作未読の方は原作の照朝がどのようにして兵頭を出し抜き彼の影を踏んだのか、是非チェックしてほしい。戦術が見事で面白いぞ。

次回は潜夜との勝負になるが、彼はなかなかクセのあるキャラなので次回は彼のことについて言及しようかな。