タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

「アオサキ夏のミステリまつり」に備えよ!

※タイトルの「アオサキ夏のミステリまつり」は「ヤマザキ春のパンまつり」を勝手にもじったものです。

 

さて、もうビックリしましたよ。10日の朝目が覚めてTwitterを開いたら「ノキドアドラマ化」の報が飛び込んできて、声は出さなかったけど身体の体温が0.5度くらい上昇したんじゃないかな。

ビックリしたと同時に「やっとか!」と思ったのは、実は私2019年に原作を読んだ時からノキドアはドラマ化すべき作品だと心の中でずっと思っていて、それはうちのブログでも言及はしていたんだよね。

 

tariho10281.hatenablog.com

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勿論当時はなにわ男子もSixTONESも知らなかったから普通に俳優の間宮さんと古川さんでイメージしていたけど、個人的に松村さんの御殿場・西畑さんの片無、アリだと思います。西畑さんは正直意外に思ったけど、なにわ男子のグループ内で司会・進行役を担ったりツッコミをやったりと場をまわす役割を主にやっている方だとYouTubeの公式チャンネルを見て知っていたから、役割的にも作中の片無と大きな齟齬はそんなにないかな~?という感じで受け入れられたかも。

 

で、ノキドアドラマ化も十分ビックリなのだけど、このドラマの放送時期がアニメ「アンデッドガール・マーダーファルス」同じ7月期に放送される。

つまり、青崎有吾氏の原作作品がここに来て2つも、しかも同時期に放送されるという大盤振る舞い!

 

これにはミステリクラスタ界隈も大いに沸き立って喜んだという訳で、

今からもうワクワクしております。

 

だから記事冒頭で「アオサキ夏のミステリまつり」と(勝手に)命名したのには、ちょっとでもこの祭りを大きなものとして盛り上げたいという私のささやかなエゴ(?)が出た結果で、「青崎有吾祭り」とか「青崎有吾特集」と言うよりかは「アオサキ夏のミステリまつり」の方がポップだし、せっかくジャニーズのお二方が主演になったのだから、「貴族探偵」の時みたいにジャニーズ界隈のファンの方々を一人でも多くこちら側のミステリの沼に引きずり込もうという魂胆あってのこと。

そういうことで7月からはアニメ・ドラマ両方の感想記事をアップしていく予定だが、7月に入る前に簡単に今回映像化される二つの作品のことや、青崎氏の作風なんかをざっと紹介して祭りに備えようと思う。

 

青崎有吾について

青崎氏は2012年に『体育館の殺人』で第22回鮎川哲也賞を受賞し作家デビュー、フェアで論理的な推理を重視した作風から"平成のエラリー・クイーン"と称され、有栖川有栖氏に次ぐ、日本のクイーンとして活躍している。

そんな青崎氏の作品でシリーズ化しているのは今回映像化される「ノッキンオン・ロックドドア」「アンデッドガール・マーダーファルス」ともう一つ、デビュー作『体育館の殺人』を含めた裏染天馬シリーズである。裏染シリーズは、高校生探偵・裏染天馬が主人公で、アニメオタクで何故か学校の部室に住みついているという変人・ダメ人間だが天才的な推理力を持った少年であり、そんな彼が事件の謎解きをするシリーズだ。何となく主人公の設定が金田一少年っぽいが、金田一少年のように怪人が出たり奇想天外なトリックは仕掛けられておらず、あくまでもメインはロジカルな推理で読者も推理すれば犯人に辿り着ける仕様になっている。

 

青崎氏の作風は論理性だけでなくキャラの濃さというのも一つのポイントとして挙げられるだろう。先ほど紹介した裏染天馬だけでなく他の作品でも風変わりな探偵やキャラクターが数々登場するが、キャラ設定の肉付けの仕方は何となくラノベっぽさがあって、そこは人によって取っつきにくさを感じるかもしれない。とはいえ個人的にはそんな鼻につくようなレベルではないし、物語自体しっかりしたプロットで構成されている作品が多いから、十分おススメ出来る。

 

作風について簡単に紹介したが、手っ取り早く青崎氏の作風を知りたい方は、昨年東京創元社から刊行された『11文字の檻 青崎有吾短編集成』を読むのが良い。

11文字の檻 青崎有吾短編集成 (創元推理文庫)

シリーズものの作品は入ってないから青崎作品を初読みの方でも問題ないし、本格ミステリショートショート・SF・公式二次創作といった様々なジャンルの作品が味わえるお得な一冊だ。

 

「アンデッドガール・マーダーファルス」

ここからは7月に放送される二作品について紹介するが、まずはアニメ化される「アンデッドガール・マーダーファルス」から。

 

アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)アンデッドガール・マーダーファルス 2 (講談社タイガ)アンデッドガール・マーダーファルス 3 (講談社タイガ)

原作は2015年に講談社タイガから刊行され、現在三作目まで発売されているシリーズ。舞台は19世紀末のヨーロッパ、吸血鬼に人造人間といった怪物が跳梁跋扈する世界で、テイストとしては伝奇ミステリと言った感じ。探偵役・輪堂鴉夜も当然普通の人間ではなく、何と鳥籠に入った生首というインパクトありの設定で、助手の真打津軽にしても半人半鬼(鬼の血が混ざった半妖怪)の"鬼殺し"という異名を持つ男だ。そんな探偵と助手にメイドの馳井静句も加えた三人が、ある目的のためヨーロッパで探偵活動を行うというのが本シリーズの大まかな筋書きだ。

原作の1巻では吸血鬼の殺害事件や人造人間を作った博士が密室で首無し死体となって発見されるといった怪物絡みの殺人事件がメインとして描かれる。2・3巻は未読なので詳しくは言えないが、2巻からはイギリスを代表する名探偵シャーロック・ホームズやフランスの大怪盗アルセーヌ・ルパンが登場し、宝石を巡って熾烈な争奪戦が繰り広げられるとのこと。要はアクションあり・緻密な謎解きあり・怪奇ありの闇鍋エンターテイメントと思っていただければ良い。

 

詳しい感想や作中での小ネタ(原作含む)等々、アニメがスタートしたら語っていく予定だが、実は私あまりホームズとかルパンに明るくないミステリオタなので、正直どこまでネタを拾えるか少し不安ではある。一応ホームズは『緋色の研究』『四つの署名』『シャーロック・ホームズの冒険』は読んだことがあるけど随分前の話だし、ましてやルパンは短編「赤い絹の肩かけ」しか読んだことがないので、そっち方面に関しては多分有識者の意見・情報を引用して語ることになるかも…。

 

「ノッキンオン・ロックドドア」

ノッキンオン・ロックドドア (徳間文庫)ノッキンオン・ロックドドア2 (徳間文庫)

「ノッキンオン・ロックドドア」は2016年に徳間書店から刊行され現在は文庫本で二作目まで発刊されている。

本作の探偵である御殿場倒理と片無氷雨はそれぞれ得意分野があり、御殿場は密室殺人やアリバイといった不可能犯罪(=ハウダニット)を担当し、片無は暗号・ダイイングメッセージや「何故犯人・被害者はこんな行動をとったのか?」という犯罪における不可解な要素(=ホワイダニット)を担当する、分業体制の探偵コンビである。

このシリーズは1話完結の連作短編集で1話あたり約40ページ前後というボリュームなので読みやすいし、トリックも適度に複雑。だから原作を読んだ時はこれほどドラマ化に適した作品はないと思ったし、連ドラの縦軸になりそうな因縁も描かれているから深夜枠でやらないかしらと思っていたらこの度テレ朝のオシドラサタデー枠でドラマ化とあいなった。オシドラサタデーは1話30分の番組枠だから原作のエピソードを1話ずつ消化するのにちょうど良いだろう。

 

原作は一作目二作目合わせて13のエピソードがあるが、流石に今回のドラマ化で全て映像化されないと思う。というのも放送時期に合わない冬の事件や推理だけで物語を展開させるエピソードなんかも収録されているし、2作目では少々ボリュームアップした60ページ前後のエピソードもあるので、ドラマで映像化されるのは多くても10、少なくても8か9つのエピソードになると予想している。

監督はTRICKシリーズを手掛けた堤幸彦氏、脚本は浜田秀哉氏が担当。浜田氏が脚本を担当したドラマは連城三紀彦原作の「私という名の変奏曲」くらいしか見たことがないので期待も不安も特にないが、原作通りやったら問題ないのでそこはドラマが始まってからのお楽しみにする。堤監督に関しては昔の私だったら手放しで「やったー!」となったけど、今は結構当たりはずれの大きい監督としてイメージが定着しているので、まぁTRICKの時みたいに変な小ネタとか探偵の決め台詞とかで改悪しないよう祈っておくか…。あれはTRICKだから良くて他の原作付き作品でもやって良いという訳ではないからね。