タリホーです。

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【ゲゲゲの鬼太郎】まぼろしの汽車(2~5期)を見比べる

ゲゲゲの鬼太郎歴代セレクション、第十回目は「まぼろしの汽車」。

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歴代の「まぼろしの汽車」回については6期の感想記事で簡単に紹介したが、今回の見比べで改めて言及出来る点もあるかもしれないので、早速語っていこう。

tariho10281.hatenablog.com

 

2期(紳士さは歴代一かもしれない)

2期はほぼ原作通りの内容。原作と同じだから特別注目ポイントもないかと言うとそんなことは全然ない。例えば砂かけ婆「わしも、吸血鬼は苦手じゃ」という台詞は1期の「妖怪大戦争」を見ていたらおばばが吸血鬼が苦手と言ったのもわかるほど大変な目に遭っている。

そして何より特筆すべきは吸血鬼ピーのキャラ設定。ピーを担当した声優さんの声質の影響もあるけど、原作を読んだ時よりもピーが紳士的で物腰柔らかな感じになっていて、しかも目玉おやじの「まぼろしの汽車」によって計画がパァになったのにもかかわらず、くやしがったり怒るどころか、むしろ清々しさを覚えるほどアッサリと敗北を認めて元いた南方へ帰って行ったのだから、そこが他のエピソードと違う後味として印象に残った。

あと個人的な注目ポイントとして鬼太郎が鐘に閉じ込められ蒸し焼きにされるシーンも挙げておこう。猫娘がピーに投げ飛ばされるシーンが何か妙にシュールだし、吸血鬼化した村人たちのダンスも相まってなかなかにカオスな名場面だよ。

 

3期(汽車内部でのアクションシーンが見もの)

3期もストーリーは大体原作と同じだが、吸血鬼モンローがよりモンローみを増しており、スカートが舞い上がるお馴染みのセクシーシーンも取り入れられて物語のオチとしても活用されている。

3期のピーは何故か日本の廃教会の地下室に封印されており、モンローにそそのかされたねずみ男によって封印が解かれて復活したという設定になっている。また、原作や2期では言及されなかった吸血鬼が鐘の音を苦手とする理由が言及されているのもこの3期だけであり、蝙蝠を先祖とする吸血鬼は音に敏感だから鐘の音が苦手だと設定付けられている。(だとしたら、無数のカラスの鳴き声が聞こえた段階で鐘が村に運ばれたことに気付けたと思うのだけど…)

そして、「まぼろしの汽車」が目玉おやじの能力ではなく地獄の管理下に置かれた汽車というのが最大の改変ポイントだろう。この改変によってトンネル内でないと時間は戻らず、戻っている間に元凶となるピーやモンローを倒さないといけないというイムリミット要素が追加されているのも面白いポイントだ。

それに伴い追加された汽車内部でのバトルシーンが見られるのも3期の「まぼろしの汽車」回の特徴で、汽車の煙突に吸い込まれた鬼太郎とピー&モンローが汽車内部のマグマのような場所で闘うのだから、正に手に汗握る展開になっていたと思う。あの場所でやられたとはいえピーとモンローの身体が焼けてない所を見ると、肉体そのものが吸い込まれたのではなく魂が吸い込まれてあの場でバトルをしたと考えるべきだろうか。

 

4期(アホさが滲み出た吸血鬼ピー)

4期からはストーリーが大幅に変更され、村人を吸血鬼化するという点を除いてほぼオリジナルの展開となる。まぼろしの汽車も登場しなくなり、かろうじて機関車という設定だけが残される結果となった。

では一体どうやって村人を吸血鬼から人間へと戻すのか。その解決方法は地面に埋めるというまさかの手段で、フグ毒にあたった人を地面に埋めて毒素を土に逃がしたという事例をヒントにしたそうだ。ただテトロドトキシンが土へと逃げていくのか、正直眉唾物の話ではある。

4期のピーはキャラとしては3期とそれほど大差はないが、限界集落の年寄りを吸血鬼にしても歯はないし機動力もないしで計画としては杜撰過ぎるので、4期のピーは結構アホな感じがする。「玉に瑕」とか言ってたけど瑕だらけですよ。

この回でも鬼太郎は吸血鬼化するのだが、4期の鬼太郎は「血を吸いたきゃ機関車を動かせ!」とピーにコキ使われる役どころなので、鬼太郎ファミリーにとってはピンチなのは間違いないが、何かこう鬼太郎の甲斐甲斐しさも感じられて不思議な可愛さがあったなと思う。

そういやこの回で撮り鉄の描写があったけど、撮り鉄っていつ頃から現れたのだろうね?少なくともカメラが一般の人も使うようになった1970年代辺りから徐々にそういうオタクが増えて来たと考えられるけど。

 

5期(色々とやることが多いモンロー)

5期に至ってはほとんど原作の原型を留めておらず、行先不明のミステリ列車内を舞台にしたピー&モンローの陰謀を描いた物語になっている。吸血鬼なのに血ではなく人間の生気を奪うというのも変な話だが、これは恐らく4期との差別化を図ってのことだろう。ただ、人形と言えば私は世界お化け旅行編に出て来るカリーカの方を思い浮かべるし、この設定にするのだったらカリーカを出して欲しかったかなというのが正直な所ではある。

歴代のモンローも色々と罠や計略を巡らせるタイプの吸血鬼だが、特に5期のモンローはピーが列車の運転をやっているため、それ以外のことを一切合切引き受けて動いており、歴代一やることが多いモンローとして描かれているのが面白いポイントだ。車掌になったりバーにいる美女になったり、打ちひしがれた未亡人になったりとまぁ忙しいことこの上ない。

この話はろくろ首と鷲尾のデートが描かれているのも注目ポイントであり、騒動の裏で何事もなくデートを満喫している二人とは対照的に、鬼太郎とイチャイチャ出来ずに鬱憤を積もらせている猫娘の姿が印象深い。あと砂かけ婆がお出かけに合わせて有閑マダム風の装いにしているのも珍しく映る。

それにしても、5期を見ていると「絶対スタッフにかわうそ推しの人いるだろ」って思いません?この回も別にかわうそがいなくても話としては通用するのに出していることを思えば、スッゴイかわうそが好きな人がいるんだろうな~と思わざるを得ない。まぁ5期のかわうそはカワイイから出したからって文句は言いませんけどね?

 

 

という感じで2~5期を見比べてみると、3期までは原作のプロットを守って4期から徐々にオリジナル要素を盛り込んでいったという流れが見えて来るだろう。正直4期以降になってからは物語としてややゆるくなったなと感じていたから6期で再び「まぼろしの汽車」を登場させたのは良かったのではないかと思っているし、原作の過去をさかのぼるという汽車の設定を活かしてイムループものとしてアレンジしているのが秀逸である。なので個人的には6期が今の所ベストで次点が3期という感じだろうか。

 

さて、配信から一週間以上経って更新ペースが落ちて来てはいるが、これは現在放送中のアニメ感想の方に力を入れているためで、別に鬼太郎熱が下がったとかではないですよ。

引き続き見比べ感想はアップしていくし、10月に入ったら余裕が出て来ると思うので出来るだけ配信から日をあけないでアップ出来るようにしますね。