タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

魔を以て魔を制す、狂気のバトルホラー開幕【ダークギャザリング #01】

私が勝手に企画した「夏のアニメ旅」、期待の三つ目「ダークギャザリング」が始まりました!

tariho10281.hatenablog.com

 

アニメの方は2クール放送が確定しているとのこと。原作は9巻辺りまで読んでいたので、1クールだと内容的に中途半端な終わり方をするな~と思っていたからこれはグッジョブというか良い知らせであった。

 

「寶月夜宵」

ダークギャザリング 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

本作は2019年に連載がスタート、心霊ホラーをテーマにした「戦慄の悪霊捕縛エンターテインメント」という謳い文句で紹介されている。

本作の主人公・寶月夜宵(ほうづき・やよい)は、自分の両親を殺し母親の霊魂を連れ去った悪霊を倒すために、各地の心霊スポットへ赴き悪霊を倒すための悪霊を狩ることを生業としている天才少女。そこに霊媒体質で霊に寄られやすい青年・幻燈河螢多朗(げんとうが・けいたろう)が家庭教師として訪れる…というのが初回のあらすじとなる。

 

「魔を以て魔を制す」という発想自体は特別新しいものではないし、「地獄先生ぬ~べ~」悪魔くんなどでも、自身が左手に封印した鬼・使役する悪魔の力を利用して魔物や悪霊とバトルを繰り広げる。特に今回の導入パート、螢多朗が家庭教師として天才少女の元を訪問するという流れは、貸本漫画版「悪魔くんを連想させるものがあるし、古代呪術の方法を用いて悪霊を拘束・使役するという点も「悪魔くん」に通じる所があるので、案外この「ダークギャザリング」は「悪魔くん」の衣鉢を継ぐアクションホラーになるのではないだろうか?

悪魔くん 貸本まんが復刻版 (角川文庫)

ただ本作が「悪魔くん」と違うのは、「悪魔くん」の場合その目的が地獄のような現代社会を幸福に満ちた理想郷へと変えるという壮大な計画なのに対し、「ダークギャザリング」における夜宵の目的は母親の魂を連れ戻すという非常に個人的な動機・幼い少女らしい動機だ。

かつてアメリカで人気を博した脱出王、ハリー・フーディーニは亡き母との交信を求めて本物の霊能力者を探そうと、サイキックハンターとして霊能力者・霊媒師のトリックを次々に暴いたという逸話が残っている。本作の夜宵のキャラ設定に魅力を感じるのは、こういったフーディーニの逸話や先行作品の影響による所が大きいのかなと自分なりに分析した次第である。

 

あとこれは心霊とは関係ないけど、夜宵の瞳が二重瞳孔(重瞳)っていうのは横溝正史の「車井戸はなぜ軋る」を読んだ者としては魅力的な設定だと思う。

 

心霊スポットと「境界」

Ⓒ近藤憲一/集英社・ダークギャザリング製作委員会

心霊ものを語る上で避けては通れないのが「境界」というワードだ。この世とあの世をつなぐ、或いは隔てる場所や建物には、境界を象徴する要素が色々と詰まっているし、そういう場には怪談話がつきまといやすい。

今回の場合だと電話ボックスに風俗嬢の地縛霊が出没し螢多朗に襲い掛かってきたが、電話ボックスも境界を象徴する場の一つである。電話をかける「こちら側」と、かかってきた電話を受け取る「あちら側」。それをつなぐ電話は正に境界なのだが、電話というのは自分・相手の声を直接届けるのではなく電子音に変換して届ける装置であり、その仕組みもあいまって、電話はこの世とあの世をつなぐ装置として怪談話にのぼるのだ。

特に昔の電話は受話器をとって相手の声を聞くまでは誰からかかってきたかわからないので、そういう不安なんかも怪異の成立に影響を及ぼしているのではないかと私は思っている。

 

さいごに

という訳で初回の感想は以上となる。2シーズンあるのでいきなり色々語り過ぎると後でネタ切れを起こしそうなので、ちょっとアクセルは踏まず様子見でちびちびと私の知ってる心霊ネタ・知識をまじえた感想をお送りしたい。

今回は物語の始めなので霊もそれほど強いタイプではなかったけど、物語が進むにつれどんどんヤバくて洒落にならない霊が登場するので、原作未読の方は楽しみに次回以降の物語を追っていただきたい。

(ただ、必ずしも霊だけが恐怖の対象ではないのだけど…)