タリホーです。

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もう別れを描いちゃうのか…「ミステリと言う勿れ」10話視聴

ミステリと言う勿れ(6) (フラワーコミックスα)

先日単行本の最新刊(10巻)を読んだのだが、また凄い話だった(最高!)。よくこんな発想が出て来るな。

 

(以下、原作・ドラマのネタバレあり)

 

10話(デートならぬ遠出)

今回のエピソードは原作6巻所収の「デートならぬ遠出」。久能とライカが初詣に行き、帰る途中に焼き肉屋で焼肉を食べるというデート(久能本人は否定しているが)的展開が描かれた回だが、当然デートだけで終わる話ではない。ドラマではこの後にイカが生まれることになった背景久能の幼少期に関する告白があるが、こちらは原作8巻で描かれており、6巻の初詣エピソードと8巻の告白場面の間には前回放送されたアイビーハウス編や次回放送される「ジュート」のエピソード、更には久能とライカが訪れた美術館で起こった事件(これは未映像化)が挿まれている。

焼き肉屋のエピソードに関してはほぼ原作通りで特別言うことはないが、今回はイカとの別れまで描かれているのが最大のポイントだ。前述したように原作の単行本は最新刊まで読んでいるが、まだ原作でライカとの別れは描かれておらず(もしかして雑誌連載分には描かれているのかな?)、後半はドラマオリジナルの流れと言って良い。

 

原作を読まずドラマから入った人にとって今回は、主人格の千夜子を守るためだけに生まれた人格「ライカ」が久能と出会い本来の目的以上の喜びや幸せを得たこと、しかし役目を終え消えなければならない運命の物悲しさを描いた回として印象に残ったと思うし、感動的な回だったのではないだろうかと思う。

勿論ドラマとして素晴らしいし水を差すようなことを言うべきではないと思うが、ここでライカとの別れを描いてしまうのはやや早計というか手駒を早々に捨ててしまったような感じがするというのが正直な思いだ。ドラマ制作陣に続編を作る気があるのかないのか(それとも視聴者の評判等を踏まえて考えるのか)それはわからないけど、原作のライカは久能との関わりがもっと深いし、一匹狼型の久能がフラットに対話出来る相手でもあった。だから、久能にとってある意味重要な存在を早々に退場させちゃって良いのかと疑問がわくのだ。まぁ、ドラマはこの後「ジュート」編に入るから多分犬堂がライカの役目を補完するような存在になるのかもしれない。

あ、言っとくけど原作の「ジュート」編は犬堂ガロが主人公のスピンオフ的な物語で、久能は一切介入しないよ。でも次回からそれをやるってことはほぼ間違いなく久能を絡めるドラマオリジナルの展開になるだろうし、恐らくそこで久能とガロが再会するんじゃないかなと予想している。

 

風呂光は例によってよ~わからん立ち位置に立たされ、ライカを失った久能に「代わりの友人になりたい」とか言う役回りを演じたが、風呂光本人は良かれと思っていても、外野の人間である私からすれば彼女の代わり・穴埋めにはならないんだよね。だって、原作も含めて風呂光はライカほどパワフルでも奔放でもないし、何より久能と対等に会話したり論をたたかわせることが出来そうにないからねぇ。特にドラマの風呂光は久能の言葉に丸め込まれたり言いくるめられそうなキャラとして描かれているから余計そう思うわ。

 

※ちなみに、ドラマではライカと同じく虐待を受けていた久能だったが、原作の久能は母親から愛されなかった子供として描かれており、母親は義母と夫からいじめられていたことが久能によって語られている(久能もある程度は精神的虐待は受けていたかもしれない)。ドラマはイカと対等の存在にするため虐待の設定を盛り込んだと思われる。