タリホーです。

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ナンバMG5ざっくり感想 #1(ドラマの不良はやはりシャバいんよね…)

間宮さん主演のドラマ「ナンバMG5」のざっくりとした感想です。一応原作は無料お試し版(「ナンバMG5」は12巻、「ナンバデッドエンド」は10巻まで)を読んで予習しました。

ナンバMG5(1) (少年チャンピオン・コミックス)

 

※誤字があったので修正しました。(2022.04.14)

 

熾烈な不良の上下社会から逃れられるか

原作は2005年からスタートした不良漫画。2005年頃といえば作中でも出て来たニンテンドーDSPSPが流行っていたし、テレビ番組だと細木数子の「ズバリ言うわよ!」が放送されていた時期だ。

今から10年以上前の作品で、しかも主人公をはじめとする難破一家はコテコテのヤンキー一家だから、正直新たに作った水曜ドラマ枠の一発目にこんな不良モノをやるって時代錯誤が過ぎるのでは…と思ったが、ウィキペディアの情報によると単なる不良モノではなく、普通の高校生になりたいが両親や兄妹の期待に背けず二重生活を送る思春期少年の悲喜こもごもを描いた作品でもある

 

言わずもがな不良の世界は熾烈な上下関係で成り立っている社会構造であり、終わりなき闘争に明け暮れ、集団のカシラになれば常に睨みをきかさないといけないし、内部の対立やクーデターにも気を付けないといけない等、下手したら大人よりもシビアな上下社会だ。暴力がものを言い、時にはルール無用の戦いをしてくるクレイジーな奴も相手にすることを思うと、いわゆるモラトリアム人間として模索する余裕もない。

そういうヤンキー社会の背景を想像しながら見ると、本作はコミカル要素もある不良漫画ではあるものの、自己のアイデンティティで悩む青少年の姿が描かれており、普遍的なテーマとして視聴者に提示された物語でもある。難破剛を象徴する例の特攻服も伝統的でクラシカルという点では宝塚女学校の制服や髪形と同義であり、学歴を重んじるエリート一家の隠喩として難破家は描かれている。

 

本作における剛は、誰もが思う「別の人生を歩みたい」という願望や憧れ、家の価値観や生活環境により悩み苦しむ人にとってのヒーロー的存在なのではないだろうか。

 

俳優が演じる不良のシャバさ

原作から受けたイメージやテーマはこれくらいにしてドラマの感想に移る。

ドラマの初回は原作だと1~2巻までの途中に相当する内容で、剛と市松高校の1年・伍代直樹との出会いのエピソードがメインの話となる。

内容はほぼ原作通りで目立って不満とかこうした方が良かったみたいな点はなかったが、やはりドラマで俳優が演じる不良ってどうしても小ぎれいというかシャバさが抜けないな~というのが正直な感想だ。原作で描かれた市松の不良共を見たら一目瞭然だけど、ドラマの不良が全然怖くない。まず体格からしてゴツくないし顔も俳優だけあってやっぱりキレイというか、色黒なやつもおらんし傷を負ったやつもいない。だからこの先「あ、こいつは関わったら危ないやつだ」という空気感を醸し出す不良がドラマとして表現されるのかが個人的には気になる所だ。少なくとも初回の市松の不良共を超えないと少々盛り上がりに欠けるような気もする。

あと剛の兄・猛がこの先ちゃんと関東制覇をしただけのことはある最強の男して描かれるかも気になる。原作のエピソードを順当にやっていけば問題ないはずだが、初回は顔芸が強調されてるなという程度であり、まだ本人の強さが見えてこなかったので、原作の猛が持つ恐ろしさや強さ、そして優しさを映像化して欲しいと思う。

 

 

初回の感想は以上となるが、意外な収穫だったのは、難破家の飼い犬の松が想像以上にカワイイ。普通に道とか教室の廊下を歩いているのを見ているだけで何か癒やされたよ。しかも松の声を声優の津田健次郎さんがあてているのも絶妙だよね。

あと難破家がヤンキー一家らしく部屋やリビングに旅行先の土産物や写真・ステッカーをベタベタ貼ったり飾ったりしているのも良い。不良は意外と思い出を大事にするからそこを映像美術として手を抜かずに作り上げていたのは評価ポイントだよ。