タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

共感性羞恥の私には辛い「ジョブチューン」の一流料理人によるチェーン店の料理判定

前からずっと思っていたことだが、言わずにはいられなかったので書くことにする。

 

TBSの「ジョブチューン」という番組でチェーン店やコンビニの看板メニューを一流の料理人が合否判定を下すという企画があるが、正直あれが見ていてホントに辛い。

 

実は私も1年間ほど食品会社に勤めていたことがあって、テレビに出ているような商品開発の部署ではないにしろ、商品開発や製作の難しさとか苦労を少なからず知っている人間なのだ。だから人気看板メニューの一品一品が決して片手間で作られたりバズることを目的に考案されたものではないことはよ~くわかる。

主婦層や若い女性・男性にウケるようにどういう味付け・彩りにすれば良いか?とか、製造ラインで大量生産が可能なレシピにしなければならない制約があるとか、高級な素材を使わずどうやって味に深みを出すか?とか、そういう思考錯誤・葛藤・煩悶の上でチェーン店の料理なりコンビニのスイーツが生まれているはずだし、実際番組内でもそういった創意工夫の一部が紹介されている。

 

なのにだよ、そういう苦労も一流料理人の前では評価ポイントにはならない。あくまで料理人の判定は味の良し悪しの一点のみだから「食感が悪い」だの「味にまとまりがない」だのと一刀両断。合格・不合格の札で残酷にも判定が下される。

まぁ、何と殺生な番組かと思うよ!

流石に一流料理人の方々はそういう開発陣の思いを承知で、でも一流料理人として自分が提供する料理に比肩するかどうかで判断しているから、別に私はここで料理人の方々が人でなしだと叩くつもりはない。より美味しい料理を提供するための意見交換の場としてやるなら意義はあると思うのだ。

ただ、わざわざそれをテレビで流す必要はあるかね?

テレビって不特定多数の人が見るのに、不合格で辛い思いをしている開発スタッフや責任者の姿を写してどうするの?開発の難しさや苦労を視聴者に伝えたいなら製作過程を取材するだけで事足りるはずだ。何も残酷な判定を下されショックを受ける様を日本中に放送する必要なんてない。これでは晒し者も同然だ。

 

それにこの番組の何が嫌らしいかって「チェーン店 VS 一流料理人」という形でテロップが画面に載っているけど、決してこの両者が同じ土俵にいると思ったら大間違いだよ?一流料理人は注文されたら調理して出来立てを提供できる立場だけどコンビニの場合は出来立てを提供出来る訳でもないし、スイーツとかだと店頭に何時間も置いたままにされることだってある。そうなってくると出来るだけ長持ちするような状態のものでないといけないし、半日経っても味の質が落ちないようなものを作らないといけない。そういうハードルの差を考慮せず判定をされるんだから、見ていて可哀想というかしんどくなる。

 

これは安価で高品質なものを求めすぎる消費者にも非があるのかもしれないが、こういう精神に負担をかけるような、昔の体育会系がやる「しごき」的な趣向の番組はいい加減やめてもらいたいものだ。意識の高い製作は大いに結構だが、精神に鞭打つようなことを美談にしないでもらいたい。

TBSに苦情こそ送らないが、今後もまたやるようならとりあえずチャンネルは変える。そして料理人の方も、あまりこういう番組にはどうか出演してもらいたくないものだ。番組の意向を汲んでの判定とはいえ、これではヘイトを浴びるだけの役回りになりかねないだろうし。