タリホーです。

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物語の強引さを救う男・櫻井翔 ネメシス9話視聴(ネタバレあり)

もう完全にミステリ要素は無くなったが、こうなったら乗り掛かった舟。最終回まで見届けますぞ!

 

(以下、ネタバレしていくので要注意)

 

9話「女神たちの決戦」

ついに判明した菅研究所=カンケン最大の黒幕!

その正体は美神アンナ(広瀬すずが親友だと思い込んでいた大学生=四葉朋美(橋本環奈)。朋美の本名は”菅朋美”で、カンケンを立ち上げた菅容子(今村美乃の娘だったのだ!

20年前、アンナの父=立花始(仲村トオルと共にゲノム研究に取り組んでいた大和猛流(石黒賢も、いまやカンケンの中心的存在。菅容子に誘われるままカンケンに参加し、世界初の≪ゲノム編集ベイビー≫=GE10.6の受精卵を始の研究所から盗み出したのも大和だった。しかしGE10.6を着床させた代理母美馬芽衣子(山崎紘菜が出産直前でカンケンから逃亡し、始に救いを求めてきたことからあの【19年前の交通事故】が起こる。この事故により、GE10.6の受精卵の提供者でもある神田水帆(真木よう子と、芽衣子は死亡。だが芽衣子は死の直前に、最後の力を振り絞って赤ん坊(=アンナ)この世に生み落としていった――。

【探偵事務所ネメシス】の探偵=風真尚希(櫻井翔と、社長の栗田一秋(江口洋介からすべてを聞かされ、その残酷な真実の姿に耐えきれず事務所を飛び出すアンナ。その際、怒りに任せて引きちぎったネックレス……始からもらった大事なキューブ型のネックレス……の中には、アンナにまつわる膨大な量のデータが保存されていた。風真はネックレスを大事に保管するが、カンケンの手先である屈強なボディーガード=志葉(板橋駿谷)の手によって力ずくで奪われてしまう。

傷心のアンナは朋美の正体に気付くのが遅れ、そのままカンケンに拉致監禁。あらゆる細胞、血液を採取される。そして隣の監禁部屋にはやつれ切った父=始の姿が!

あれほど探し求めていた父との対面のはずが、すべてを知った今、父の愛情も信じられなくなっているアンナは素直に再会を喜ぶことはできない。そんな2人を、今までとは別人のような冷酷な表情で見つめる朋美――。彼女の真の目的は!?

その頃【探偵事務所ネメシス】ではアンナを救い出すため、風真が”七人の侍”ならぬ”八人の侍”を招集しようとしていた!あぶな”過ぎる”刑事=タカ&ユージ(勝地涼中村蒼コンビ、スピード狂で実は腕のいい医者=上原黄以子(大島優子、孤高の道具屋=星憲章(上田竜也、天才AI開発者=姫川烝位(奥平大兼)、自称・中国の雑技団5軍出身の料理人=リュウ楊一(加藤諒、美しきコンフィデンスマン=緋邑晶(南野陽子、【19年前の事故】で姉を失ったジャーナリスト=神田凪沙(真木よう子。すべてはアンナのために――!【チームネメシス】が命を賭けてカンケンに立ち向かう!

(あらすじは公式HPから引用)

前回意外な黒幕(私はそうは思わなかったが)が登場し、今回はカンケンの目的と美神親子の奪還計画が描かれた。

大和と朋美は同じカンケン側の人間とはいえ目的は微妙に違っており、大和は名誉欲による悪事なのに対し朋美の方は自身が患う遺伝性の難病(4話で容子がその難病について言及)の治療が目的とのこと。この辺りの目的の差異で軋轢が生じるのではないかと思ったが、流石に次週最終回なのでそんな内輪もめはないと思われる。

 

これで朋美のアンナに対する嫉妬に近い感情の意味も明らかになったが、結局アンナと同じ独特の味覚だった件は何だったのだろう。ガチで偶然なのか、それともアンナに取り入るため不味くても合わせて食べていたのか(だとするとなかなかの根性だ!)。

で、大和の方だけど、いくらゲノム編集で天才が作れる可能性があることがわかったからと言って、それが自身の名誉に繋がると思うのは流石に楽観的過ぎると思う。

劇中で黄以子が言及していたように倫理上問題があったり議論が為されているような実験にも関わらず、それでどうしてノーベル賞レベルの名誉が得られると思っているのだろうね?

あとこれは言うまでもないが、ゲノム編集によるベビー作出の倫理上の問題は子供の運命を作り手が決めてしまう(子供自身に運命を変えられる余地がなくなる)という残酷性もさることながら、意図的に知能指数の低い子供を作って反抗意識を持たない奴隷を生み出すことなんかも可能な訳で、悪しきカースト制度が世界レベルで蔓延することもあり得るのだ。

 

劇中で今回のカンケンの悪事に対して始はメアリー・シェリーの小説フランケンシュタインを持ち出しているが、その物語を持ち出したとすると大和のみならず始に待ち受ける運命も悲劇的な感じになりそうだが、最終回でどう描かれるか注目したい所だ。

 

「風真の人徳」設定に説得力を与える櫻井翔

各回に登場したネメシスを支えるサポートメンバーが集結し、アンナの奪還に向かうというのが今回の見所の一つではあるが、そもそも彼らにアンナを救出するメリットは皆無に等しい

そもそもサポートメンバーの関わり(1~7話)を各人物ごとに分けると、

上原:1・2・3・6話

星:2・3・7話

姫川:4・6話

リュウ:5・7話

緋邑:7話

タカ&ユージ:1・2・3・4・5・6・7話

という具合に、初回から登場した上原やタカ&ユージは当然関わりが深いし、緋邑は前々回に登場したばかりなので劇中での関わりは実質一回こっきり。その関わり方にしてもそこまでアンナと深く関わったという感じはなく、彼女の人柄とか思想に感化された様子もなかったので、正直な所彼らがアンナのために救出に乗り出すというのはご都合主義的展開と言わざるを得ない。

もしアンナでなく風真に対する義理としての協力だったとしても、劇中での風真と彼らの関わりは断片的な情報で補完されている程度で、風真に「人たらしの才」があるからそれが成立しているという力業で視聴者に納得させている感じがする。

本来なら私、この辺りの強引さはもっと批判的に言及したいのだが、大きな不満にならないのは風真を演じる櫻井翔さんのこれまでのキャリアがキャラ設定に大きく貢献しているからではないかと思う。嵐としての活動や報道番組といった幅広い櫻井さんの活動のおかげで、劇中で詳しく描かずとも風真の人柄が櫻井さんの人柄として融合しキャラとして成立、20年以上にわたる活動が視聴者への刷り込みとして上手く機能し「風真の20年」として転換されていると言えば良いだろうか。

知的な印象のある櫻井さんが「ポンコツ探偵」として起用されたのには、こういった背景――物語の強引さやご都合主義を埋め合わせるだけの功績の持ち主――があったからではないか…というのが私の邪推(?)である。

 

さて、次週は最終回。予告映像を見たが、1時間でホントに完結させられるのかいなと思うほど壮大な感じになってたね。愛をテーマに完結させようとしているが、この辺りのツッコミは最終回後に当ブログで述べたい(他にも色々言いたいことがあるけど)。