先日『ヨギ ガンジーの妖術』を読了した。
同じヨギ ガンジーシリーズで『しあわせの書』『生者と死者』が世間に広まる中、本書はつい最近まで書店に置いてなかった。が、この度復刊しようやく読むことが出来た。
何だ、やはり面白いじゃないか。
作品としてはドラマTRICKみたいにイカサマ超能力・超常現象を暴くというスタイルだが、こちらは昭和59年に単行本が刊行されているので、このシリーズがTRICKの草分け的存在と言って過言ではないだろう。
先述した『しあわせの書』『生者と死者』は、言うなれば読む仕掛け絵本であり、読書はそんなに興味ない人でも楽しめるコンテンツとして機能している。が、本書は同著者の『11枚のとらんぷ』同様に読む奇術として楽しめる作品だ。
だから、読書はそれほど好きでないという人も絶対楽しめる…と断言は出来ないが、手品・奇術好きならば必読と言って良い。特に本書所収の「ヨギ ガンジーの予言」はシンプルなトリックで効果的に予言を演出している点において優れた作品だ。
他にも、世知辛い人間心理を巧みに組み込んだ「王たちの恵み」に、ネズミ・UFO・不審死というバラバラの出来事が思いがけない形で繋がっていく「心魂平の怪光」など佳作揃い。
あ、仏教系大学出身の自分としては「釈尊と悪魔」も推そう。詳しくはネタバレになるので書かないが、インディーズバンドを追っかけるファンには何かしら感じるものがある作品だと思う。