タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

ゲゲゲの鬼太郎(5期)第13話「奮闘! ぬりかべ用心棒」視聴

今回は10月28日までの配信。

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感想のUPが遅くなりましたが、今回の感想が難産だったわけではなく先日発表されたあつ森ダイレクトで心が浮ついていただけです…。

 

大百足

大百足といえば俵藤太こと藤原秀郷の百足退治伝説が有名。

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劇中で大百足が封印されていた結界石が近江の大名が所有していた宝石という設定になっていたのは、この百足退治伝説が近江の三上山発祥であることに基づくと思われる。

原作では新編ゲゲゲの鬼太郎が刊行された80年代に「妖怪大百足」という作品で登場したのが初出。アニメでは3期と今回の5期に登場するが、今のところ原作通り映像化されておらず、3期は沖縄でキジムナーたちを支配。5期は封印から解かれた大百足が身体の節ごとに分かれて活動し、合体して本来の姿になった時は鉄橋を破壊し大暴れした。夜にしか活動しない設定は本来の百足と同じ夜行性だからだろう。

原作の大百足は仲間の百足たちが人間によって傷薬の百足油を作るために殺された恨みから人間や家畜を襲っていたという設定なのに対し、5期の大百足は怪獣に近い扱いで知性はあまりない。

 

身体的な「守り」の欠如

今回はタイトルにもあるように鬼太郎ファミリーの一員・ぬりかべが大活躍する回で、ぬりかべがまさかの妻子持ちという意表を突く展開とバトルが見所だった。このプロットもあってか、5期ぬりかべは3期のぬりかべと並んで結構印象に残っている。(以前も言及したと思うが)3期のぬりかべは白粉婆の回で仲間である鬼太郎と闘う展開があり、今回の5期もそれに並ぶ驚きがあった。

今回が印象に残っているのは単にぬりかべ一家が勢ぞろいしただけでなく、家族みんなで巨大な大百足を退治する展開にもある。王道といえば王道かもしれないが、家族が合体して大百足を一撃で押しつぶす所なんかは、正に戦隊ヒーローっぽくて最高だと思ったよ。6期みたいに捻った作風も好きだけど、こういう一本筋の通ったベタなヒーローものみたいな話も鬼太郎作品にはやっぱ必要だ。

 

で、今回家族テーマを持ち込んだことで間接的にねずみ男や鬼太郎が抱える「家族への憧憬」みたいなものが見えた気がすると、何となく思っている。

ねずみ男は天涯孤独の身だからわかるとして「鬼太郎は目玉おやじがいるのだから家族に憧れるというのは変ではないか?」と思われるかもしれない。確かにねずみ男が憧れる家族とはニュアンスが違うが、自分を守ってくれる親に対する憧れみたいなものはあると思う。というのも鬼太郎は守る側の立場であっても守られる側ではないと思ってて、精神的には父親の知恵や知識で助けられた部分はあっても身体的に守られている感覚が生まれた時からなかったのではないだろうか。だからこそ、6期のまくら返しの回では目玉おやじが父親として鬼太郎を抱きかかえるという肉体的な守りの描写が描かれたと思っていて、そこにジワッと感動させられた覚えがある。

 

鬼太郎が人間のために戦うというのは(これも前に言ったと思うが)水木先生によると「鬼太郎はバカ」だからと述べていた。だから水木先生は私が考えるような「身体的に親に守られた感覚が鬼太郎にない」という背景を鬼太郎に込めていないにせよ、アニメを見て来た私としては、肉親に身体的に守られた感覚が記憶にも身体にも刻まれてないから自身を犠牲にしても人間を助けてしまうのではないかな?と考えてしまうのだ。

そして鬼太郎が守る対象が仲間だけでなく人間にも向かうのは赤子の時に自分を育ててくれた水木青年の存在があったことも影響していて、これは原作でも6期でも言及されているからわかってもらえると思うが、そこで人間によって抱かれ育てられたという身体的感覚が残っているから人間を見捨てず助けられるのじゃないかな~?という説を推していきたい。

 

 

あ、ぬりかべメイン回にも関わらず鬼太郎の話ばかりになっちゃったな。次回はシリーズ定番の牛鬼だが、この回もよく覚えているよ。ただし、今回ほど好意的に捉えてないからそのつもりで。