タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

日本をホメる外国人の存在【ゾン100 #08】

ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~(4) (サンデーGXコミックス)

今回は色んな意味で気合いが入った回でしたね(何がとは言わぬが)。

 

「スシ&ホットスプリング オブ ザ デッド」

今回は原作の12・13話の内容。この回からアキラたちの新たな仲間、親日家でドイツからやって来た大学生のベアトリクス・アメルハウザーが登場する。来日早々ゾンビ・パンデミックに巻き込まれたベアトリクスのためにアキラたちは高崎市にある寿司屋まで新鮮な魚を届けに行くというのが前半のお話で、後半は風呂に入って汗や汚れを洗い流そうと、草津温泉へと向かう。

前回と打って変わって今回は日本の文化を代表する寿司と温泉を題材とした物語で内容に関してはほぼ原作通り。ただ高崎市に到着してからのゾンビとの戦いは原作よりも派手な立ち回りを行っており、見応えのある展開となっている。

 

日本を褒める外国人が日本人の自己肯定感を上げた?

私の記憶が確かなら、日本人が知らない(或いは気付いていない)日本のスゴイ所を挙げて日本を褒める外国人をテレビ番組が取り上げるようになったのは、2010年代辺りだと思う。この時期はどこのテレビ局もやたらに「日本を褒める外国人」を取り上げていて、何だか日本人の自己肯定感を底上げするためにこんな特集ばかりやっているのかな~?と思わず邪推したほどだ。

 

ちょっと話は本編から逸れるが、日本に外国人、特に西洋人が来たのは安土・桃山時代辺りで、その頃はあくまでも貿易だとかキリスト教の布教という目的で来日する外国人がほとんどだったと思う。しかし、日本にとって大きな打撃となったのはペリーの浦和来航で、恐らくこの時に日本人は日本の文化が西洋よりも劣っているというコンプレックスを抱くようになり、政治や風俗・芸術といったあらゆる面を西洋に近づけようと躍起になっていたのが明治期の日本だった。

そして昭和に至ると日本も西洋諸国と肩を並べるようになったが第二次世界大戦で大敗北を喫した日本は再び自分たちの心の基盤となる文化だけでなく生活までも崩され、ここから高度経済成長を経てバブル経済まで日本の景気は上がり、日本人もようやく自信を取り戻したと思ったら、そのバブル経済が終わって日本経済は低迷期を迎える。

ざっとこんな感じで日本人は時代の流れと共に自分たちの自己肯定感というか心のモチベーションが上がっては落ちて、また上がったと思ったら落ちるといったことを繰り返しており、ちょうど日本人の自己肯定感が下がっていた時期に、外側から日本を眺めて評価する外国人、つまりは「日本を褒める外国人」がテレビで取り上げられるようになったのではないかと私は思っている。

 

では何故外国人の評価が日本人の自己肯定感やモチベーションを上げることにつながるのかという疑問が出て来る。単に褒められたからと言って全ての日本人がありがたがる訳もないし、外国の人って大げさに褒める傾向があるから額面通り受ける訳にもいかない。でも現に私たちは外国人がディスカバーした日本の良さに納得したり新たな気付きを得ているし、「ああやはり自分の国が一番だ」と立ち直った人もいるのではないだろうか?

その理由の一つとして私は日本人にとって当たり前な所を外国人が褒めるからではないかと考えている。例えば学校では生徒が教室や廊下の掃除をする習慣があるけど、外国では清掃は清掃員の仕事で生徒にやらせない学校が多い。身の回りを整理整頓して清潔にしておくなんて当たり前だと思っていたけど、実は世界基準で見ると当たり前ではなく、日本人の大半がそれを当たり前だと思っているのは凄いことだとテレビを見てようやく気付いた人もいるだろう。今や日本を代表するアニメ文化も、現在はともかく昔はクオリティが高いと思って見ていた人の方が少数派で、「これくらいのアニメなら外国にもあるだろ」って思っていたら実はそうでもなかった。むしろ商品として海外に売り出していけるだけのクオリティがあったのだからね。

 

私たちにとっての常識は外国人から見て素晴らしき非常識(素晴らしくない非常識もあるけど…)であるということを本作のベアトリクスはアキラたちや我々視聴者に提唱しており、その影響でシズカは物語の後編である温泉パートで自分の中の常識・非常識に向き合うことが出来た。外国人による率直な意見は、時として自分自身の固まった価値観をも覆すということが今回の物語で少しは読み取れたような気がする。