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シークレットゲスト全然気づかんかった…「ミステリと言う勿れ」5話視聴

ミステリと言う勿れ(4) (フラワーコミックスα)

いや、似てるなとは思ったのですが、まさか本人(千原ジュニア)だとは思わないじゃないですか。

 

(以下、原作とドラマのネタバレあり)

 

5話(ばちあたり夜話)

前回の爆弾魔事件で土手から転落した久能は、そのまま病院へ搬送され大事を取って入院となるが、今回はその病院で出会った老人・牛田悟郎との対話とイカという美女との出会いが描かれる。

このエピソードは原作4巻の後半部に収録されたエピソードで、牛田との対話は「ばちあたり夜話」、ライカとの出会いは「暖かいのか温かいのか」というタイトルで収録されている。

 

牛田のエピソードについてまず触れていきたいが、この牛田のエピソードはミステリ的に言うと「回想の殺人」に分類される物語だと思った。回想の殺人というのは現在進行形で起こっている殺人事件ではなく、過去に解決しているか、或いは迷宮入りのまま収束してしまった事件を再度振り返り真相を導き出すタイプのミステリと、まぁそんな感じで定義付けられる。有名な所だとアガサ・クリスティの『五匹の子豚』『スリーピング・マーダー』がそれに該当するが、(現在進行形の事件と異なり)新事実がバンバン出て来ることがほぼなく、基本事件当時に出尽くされた情報で推理を進めるのが回想の殺人のもう一つの特徴だ。

劇中牛田は過去の事件をクイズとして久能に提示したが、正にこの回想の殺人は手がかりが全て出そろったミステリ小説の問題編という側面もあり、今回の物語はある種回想の殺人というテーマをメタ的に扱った物語として評価出来るだろう。

 

ただ回想の殺人として特殊だと思うのは、出題者側(牛田)が既に真相に辿り着いているという点で、大抵は出題者側、つまり事件関係者は真相に辿り着けておらず、そのため解答者(=探偵)に事件解決を要請するのだ。その点この「ミステリと言う勿れ」は謎解きだけに重点を置いていないため、あのように特殊な構成に出来たのだと思う。出題者側の牛田が久能と話した夜より前に死亡していたというオカルト的なオチも、それをより特殊な物語にしている一つの要素だと思う。※1(ミステリ作品でもこういったオカルト的オチを取り入れた名作があるけどネタバレになるのでここでは割愛)

 

※1:あのオカルト的なオチを現実的に解釈するなら、牛田との対話後久能が丸一日昏睡しており、その翌日に目覚めたと考えれば辻褄が合うが、流石に他の人と話したりニュースとかを見れば時間のズレに気付くと思うので、やはりアレはオカルトだったと考えるべきだろう。

 

この後のライカとの出会いについては今回は序章的な位置づけであるのと、まだ原作を全部読んでいないため彼女のことを詳しく知らないという理由でそんなに語ることはあまりないが、『自省録』を丸暗記出来る頭脳を持っているのにポスターの暗号という確実性の低い方法で久能を呼び出した※2という辺り、どこか幼児性・未熟性を感じるキャラクターだとは思う。その幼児性は演技でそうしているのか、それとも本当にそういう性格なのかそれはわからないが、とりあえずライカ「頭脳はMENSAに入れるくらいに優れているが、性格は子供っぽい人物」という先入観を持って次回以降見ていきたい。

 

※2:暗号のため自作したポスター(書いてあるお知らせ・内容自体は嘘)だろうから、そんなものを勝手に掲示板に貼ったら実際は病院の職員に剥がされる可能性が高いだろうし…。