今回は1月13日までの配信。
私が枕返しかもしれない
今回の敵役の枕返しについては6期の感想記事で言及したので割愛。早速本編の感想に移ろう。
今回の物語は内容としてはかなりわかりやすいテーマを扱っており、夢は一人だけのものではなく共有されることを明確に描いている。枕返しにしても子供の夢を壊すことを喜ぶという、これまたわかりやすい悪役として描かれているのもポイントだろう。これに関しては原作の枕返し自体、夢の世界に迷い込んだ子供をさらって食べる妖怪という設定なので特別改悪しているという感じはしないが、5期の枕返しは何というかゲスい性格だなと思った。このゲスい感じは21話で登場したおどろおどろに似ていると思ったが、今回と21話の脚本は同じ長谷川圭一氏が担当しているので、どおりで悪役の性質が似ている訳だと納得がいった。
他にも原作との比較をすると、枕返しの武器であった眠り砂は5期の場合砂かけ婆が調合したもので、それを枕返しが利用する形になっている。また原作で枕返しは塩によって退治されるが物語のテイストと合わないと判断されたのか、獏によって退治されているのも注目すべきポイントだ。
これは5期に限らず1・3期も獏による退治で決着しているので5期だけが特殊という訳ではないが、原作通り塩で倒されたのが4期のみ(3期でも塩は使われたが退治には至っていない)という事実を見ても、やはり夢の世界の妖怪は同じく夢に関係する妖怪で退治するというのが、一般視聴者にとってはスッと頭に入ってくるということなのだろう。一応塩には清めの効果があるから魔除けにはもってこいの素材ではあるものの、原作でもただ弱点として書いてある程度だったから、あまり重要でないと判断されるのも当然と言えば当然だろうか。
父親と夢見た「世界一の動物園」の実現が叶わないと絶望に陥っていた少年・亮太が再び自分の夢を取り戻す物語として今回の題材は感動的なテーマを扱っているものの、ぶっちゃけると「父親が働いていた動物園が潰れても、別の動物園で頑張ったらええだけの話ちゃうの?」とか夢にもないことを思ってしまい、やはり今回の物語は子供に向けた内容なのかもしれないな…と大人になってしまった自分の夢のなさに今回は気付かされた回でもあった。案外こうやって短絡的に子供の夢を結論ありきでぶっ壊している私みたいな人間こそ、本作の枕返しみたいな存在なのかもしれない。
流石に劇中ではそういうことを仄めかす描写はないものの、今回の枕返しがある種悪魔のように亮太の心の隙に付け入る妖怪として描かれていることを思うと、今回の枕返しは表面は単純な悪役として描かれている一方、その裏には夢抱く者を嘲り否定する人の心が表れているのではないかと、そんな穿った見方も出来るのではないだろうか?
次回は妖怪大運動会。たくさんの妖怪が登場する賑やかな回ですね。