今回は11月25日までの配信。
蒼坊主
5期で準レギュラーとして登場する蒼坊主はアニメオリジナルの妖怪で、全国の悪い妖怪を封印する封印士として活動している。同じ名前で青坊主という妖怪はいるが、勿論見た目は全然違っているし、別に悪い妖怪を封印するみたいなこともしない。また、鳥山石燕の絵による青坊主は鬼太郎作品だと見上げ入道として登場している。
蒼坊主は額にある第三の目を使って相手に幻覚を見せる能力があるが、この能力を使ったのは今回とグレムリンの回くらいで、あまり多用はしていない。沢山使った方が戦況は有利になるはずだが、おそらく奥の手みたいなものだと思うし、全体ではなく個人にしか効かない能力だと思うので、やはりここぞという時にしか使えないのだろう。
方向音痴で鬼太郎の兄貴分的存在と、設定が色々盛り込まれたキャラクターだが、戦闘方法は六角棒で相手を打ち付けるという意外にシンプルなもの。六角棒を使う辺り、修験道や鬼道衆との関わりもありそうな気もするが、あいにくそこまでは深掘りされなかった模様。
ちなみに声を担当したのは6期でねずみ男を演じた古川登志夫さん。
火取魔
火取魔は石川県に伝わる妖怪、というか怪現象の一つ。ある場所を通りかかると提灯の火がすうーっと消え、その場所を通り過ぎるとまた火が元の通り灯る。この現象を土地の人は火取魔の仕業だと解釈したが、狐やイタチといった動物の仕業だとする所もある。
原作・アニメ共に未登場で5期で初めて登場。7話の雪女の回でチラっとモブ妖怪で登場したが、今回はぬらりひょんの手駒として登場した。電気や熱エネルギーを吸収して強くなる辺り、原作の土ころびに少し近いものがあるが、原作の土ころびが妖怪化した人間なのに対し、こちらの火取魔は根っからの妖怪なので最初リアタイした時はそんなことは露ほども考えなかったな。
孤立した強さは暴走する
今回は蒼坊主や新アイテム「古今東西妖怪大図鑑」(通称:ココン)の追加、ぬらりひょんによる刺客とのバトルと、まぁ色々盛り沢山な回だ。鬼太郎ファミリーも総出(あのねずみ男も参戦してるんだよ!)で火取魔やぬらりひょんと戦うので、今回は単純に熱いバトル回として楽しむのも良いが、あえてこの回を深読みするならば「孤立した強さ」というものは暴走し歯止めがきかなくなるということだろうか。
正にそれが今回の火取魔であり、自分の強大な力に気付いた火取魔はぬらりひょんの命令に背き暴走、自分は向かう所敵なしの最強の妖怪になったと思い込んだが、この物語では孤立した強さが不完全なものとして描かれている。それは何も火取魔だけでなく、蒼坊主にしてもそうで、彼単体でも確かに強いしだからこそ封印士としての仕事が勤まっているとはいえ、方向音痴というある意味致命的な弱点がある。呼子がいたから妖怪横丁まで行き助けてもらえたものの、その助けがなければ命が危うい状況だった。
鬼太郎作品に限らず戦隊ヒーローものとかその他諸々のバトルものにしてもグループ戦に重きを置くのは、やはり個人の強さには限界だったり不完全性があるからであって、そこをチームだったりバディだったりで補完して完全性を保とうとする。今回のファミリー総出の戦いも、あのねずみ男さえ必要だったという所に、バトルものとしての肝があるような気がするのだ。
別にねずみ男や他の鬼太郎メンバーを減らしてもっとコンパクトな戦闘にしようと思えば出来たと思うのだが、そこをあえてフルメンバーで挑んだという所に、火取魔の個としての不完全な強さと、鬼太郎ファミリーのグループとしての完全に近い強さが対照的に描かれていて、実に王道的な味わいだったな~と思い至った。
次回はあの西洋妖怪が初登場する回。放送当時はまさかあの妖怪まで出ると思わなかった回でもあります。