タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

真の黒幕登場!(でもやっぱり予想の範囲内) ネメシス8話視聴(ネタバレあり)

ほら、ミステリ世界の偶然は必然なんだよ。

 

(以下、ネタバレしていくので要注意)

 

8話「20年目の告白」

〈カンケン=菅研究所〉大和猛流(石黒賢の暴露により、ついに自身が、父・美神始(仲村トオルの手によって、世界初の≪ゲノム編集ベイビー≫として生まれたことを知ってしまった美神アンナ(広瀬すず。【探偵事務所ネメシス】の探偵・風真尚希(櫻井翔と、社長の栗田一秋(江口洋介は、「知っていることを全部話して!」とアンナに詰め寄られる。風真、栗田から語られた内容は、これまで我々視聴者が疑問に感じていた全ての”答え”だった…。そもそも、何故、アンナが影で推理し、風真が探偵として振舞っていたのか?風真が過去にあらゆる仕事をしていたのは何故か?【20年前の事件】【19年前の事故】の関係は?これまでの全話が繋がっていた事が明らかとなる!

 

1話:病院で生まれたばかりの赤ん坊=アンナを抱いて、「俺はこの秘密を一生守る。この子も……」とつぶやいていた始の、強い決意に満ちた表情。この赤ん坊はどのようにして生まれたのか?【栗田探偵事務所】から【探偵事務所ネメシス】へと姿を変えたのは何故か?

2話:兄(窪塚愛流の行方を探してほしいと依頼してきた妹(田牧そら)。この兄妹は児童養護施設「あかぼしの家」の出身で、【19年前の事故】で始と水帆(真木よう子と共に車に同乗していた芽衣子(山崎紘菜も「あかぼしの家」で育っていた。

3話:風真が八景島シーパラダイスでイルカの調教師をしていたという、意外な職歴が明らかに。(他にも宅配業者、塾講師、マジシャン、土木作業員など)。風真が数々の仕事を転々としてきた切ない理由とは?

4話:「デカルト女学院」という名前に栗田が強く反応。後に菅容子(今村美乃の出身校であったことが分かるが、学内を調査しようとした栗田を先回りして妨害したのは誰なのか?

5話:ポンコツ探偵だったはずの風真が、遺伝子工学の専門的な知識を持っていたのは何故なのか?

6話:凪沙(真木よう子・2役)が取材していた”人体実験”を虚偽報道として揉み消すようにタジミン(柿澤勇人に指示した烏丸(宇野祥平とそのボディーガード・志葉(板橋駿谷)の存在とは?

7話:正体が明らかとなった大和猛流の本当の狙いとは?そして始は、今現在一体どこにいるのか?(後略)

(あらすじは公式HPから引用)

 今回は、これまで意図的に語られなかった断片的な回想シーン=【20年前の事件】と【19年前の事故】の全容を明かす回になったが、まぁほとんど予想の範囲内で意外だと感じた部分はなかったかなという感じ。何というか答え合わせをしている気分だったよ。

 

今回明かされた答えを上記のあらすじ(1~7話)に即して答えると以下の通りになる。

1・2話:赤ん坊=アンナは芽衣子が代理母として出産した。アンナの受精卵は水帆の卵子を基にしており、始がゲノム編集による受精に成功した。探偵事務所の名称変更は栗田がかつて受精卵の盗難事件に携わっており、その名前を表に出して調査することに危険性があったため。

3話:風真が職を転々としたのは美神親子がインドへ行った後のこと。後日事件が進展した時に備えて人脈形成と経験を積んでいた。

4話:先回りして妨害工作したのは四葉朋美こと菅朋美。朋美は容子の娘だった。

5話:風真はかつて遺伝子工学の研究員(立花研のメンバー)であり、水帆・猛流・始はかつての同志だった。

 

流石に朋美が容子の実子であったことや、芽衣子が代理母だったことは予想出来なかったが、朋美が黒幕というのは前回の記事で予想していたので正直意外でもなかったね。

tariho10281.hatenablog.com

深く考えなくても、4話で妨害工作を違和感なく出来たのは男性より女性(女学院なので男性は目に付きやすい)だと容易に推測が出来る。尚且つ、ネメシスと関わりが深い準レギュラー的存在が怪しい…という具合に絞り込んでいけば、ネメシス事務所に特別用がなくとも親友のよしみでフラッと入れる朋美が一番怪しいということがわかるからね。

それに(前回の記事でも言及したけど)チームネメシスのメンバーと違って朋美は偶然アンナと知り合ったというのが怪しかった。ミステリの世界において偶然起こった出来事は作者が意図して作った出来事だったり、作中人物が狙ってやった必然的行為だったりするから、すれっからしのミステリマニアにとって偶然というのはまず一番疑ってかかるべきポイントなのだ。

 

それはさておき、劇中でも始が述べていた通りゲノム編集によるベビーを作ることは倫理上の問題があるが、個人的にドラマでこの倫理上の問題はさらっとしか触れられないような気がする。

ドラマは残り2回、あとはさらわれたアンナ親子の奪還を描くのだから、それに尺を割くとなると菅研側の目的や理想は描かれたとしても、それがどうダメなのかという反論部分は「神の領域に踏み込む部分だからダメ」という理由だけで済ませてしまうのでは…という懸念がある。

勿論、言わなくてもわかることだから問題点を挙げないのかもしれないが、一見すると人類にとって利益になりそうな「予め遺伝子操作をして生まれてくる子供の性格・資質を決定する」行為の何が倫理的にダメで、誰がどういった不利益を生じるのかをキチンと劇中の人物に明言させておかないと、ドラマとしてこの問題を取り上げる意味がないのではないか…と思ってしまうのだ。

「別にエンタメ作品だからそんな細かい話どーでも良いじゃん」という意見もあるかもしれないが、それならばこのようなデリケートな問題を扱わなくとも良いのではないだろうか?

 

何はともあれ、次回はセミファイナルに相当するが、一応まだハッキリしていないと感じたポイントを挙げておく。

代理母として芽衣子が選ばれたのは何故か。身寄りのない児童養護施設出身者だから監禁しても問題ないというメリットだけで選ばれたのか?

②アンナの独特な味覚が水帆の影響(遺伝)なのはわかったが、朋美に関しても水帆の影響を受けているとしたら、彼女の出生も何らかの操作が為された結果なのか?

③終盤朋美がアンナに対して向けた嫉妬のような感情の意味は何か?(母親の容子の持病と関係がある可能性)

 

さいごに

以前からアンナの出生自体が一連の事件の縦軸であることはわかっていたが、今回は彼女が被害者(遺伝子研究の実験体)であり加害者(彼女が生まれたことが切っ掛けで死んだ人がいる)的立場であったことが明かされた。あと2回で彼女の心を救えるかというのも注目ポイントの一つだが、そもそも自分の意志で生まれる子供などいないし、一番悪いのは菅研側なのだから自分に責任を感じる必要などないのだが、そこは物語として懊悩しないと話にならないのだから仕方がない。

 

話の展開としては大きな矛盾こそなかったが一点疑問に思ったことがある。

アンナが表に出せない少女なのはわかるが、風真も目立たせるにはなかなかに危険な人物である。栗田が過去の受精卵盗難事件で十中八九内部犯と推測しているのだから、その関係者である風真を「名探偵」として表舞台に出し活躍させるというのは、アンナを名探偵として活動させるのと五十歩百歩の結果になることは私でもわかることなのにね。散々風真のことバカタレって言ってたけど栗田も結構バカタレだよ?