タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

名探偵ポワロ「コーンワルの毒殺事件」視聴

名探偵ポワロ 全巻DVD-SET

更新をサボっていた分の続き。

 

「コーンワルの毒殺事件」(「コーンウォールの毒殺事件」)

教会で死んだ男 (クリスティー文庫)

原作は『教会で死んだ男』所収の「コーンウォールの毒殺事件」。夫に毒殺されかかっているかもしれないという夫人の依頼を受け、ポワロとヘイスティングスコーンウォールまで赴くが、到着前に夫人は死亡していた。コーンウォールの田舎町を舞台とした毒殺事件で、歯科医の夫とアシスタントの女が不倫しているかも…といったゴシップネタが絡む事件となっているのが特徴。原作のポワロはまだ微笑むくらいの余裕があるのに対して、ドラマのポワロは事件を防げなかったことにより怒る描写が原作以上に含まれている。

 

(以下、ドラマと原作のネタバレあり)

 

個人的注目ポイント

・インド人哲学者タゴール

ヘイスティングスの機転に好影響を与えた(?)インド料理、そして「コメはすべての病を癒やすものとして推奨して」いたとされるインドの哲学者タゴールとは、ラビンドラナート・タゴールを指す。

ja.wikipedia.orgタゴール米食推奨発言のソース元が不明なのでここでは深く言及しないが、ドラマにおけるヘイスティングスの機転は原作だとポワロに取って代わられている。

今回のドラマではインド料理以外にも「イー・チン」(『易経』)というアジアネタが挿入されている。

ja.wikipedia.org

 

・毒殺スキャンダル

ドラマを見るまで正直原作がどういう話だったのか覚えていなかったのだが、それも無理はない。今回の話は夫の浮気問題や伯母が姪の恋人(30代)に恋慕しているといったスキャンダルネタが中心で、肝心の毒殺事件に関しては姪経由で伯母一家の財産を狙った犯行という至極凡庸なものだからだ。

では今回の見所はというと、やはりこれは立証不可能な犯罪をポワロがどう処理し解決するのか、という部分だろう。「海上の悲劇」の場合は犯人の心疾患を利用した裁きを下したポワロだったが、今回の犯人は健康体ゆえそれは無理。ということで、自白の供述書をとらせる戦法で犯行を立証した。

ちなみに、ドラマではペンゲリー医師とあばずれのマークスとの関係はグレーゾーン止まりで、浮気していたかどうかはっきりしていない。が、原作では浮気をしていたことが確実とされており、その浮気が犯人に付け入るスキを与えた点に対してポワロがペンゲリーにお灸をすえる発言をして物語が終わっている。