タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

最終回「オペラ座館 ファントムの殺人」感想&総評(五代目「金田一少年の事件簿」#10)

なんか、あっという間だったな…。

春季は良いドラマが豊富だった分、夏季は興味のあるドラマが少ないから、そういう点でも終わるのが寂しいです。

 

(以下、原作ほかアニメ版を含めた事件のネタバレあり)

※一部、加筆・修正しました。(2022.07.04)

 

File.7「オペラ座館 ファントムの殺人」(後編)

最終回は前回からの続きで城殺しから解決編までを描いている。

 

もう既にドラマ本編をご覧になった方はわかると思うが、実は五代目の剣持は最終回の今回に至るまで、はじめの祖父が金田一耕助だと知らずにいたという(ある意味)衝撃の事実が明かされる。五代目でははじめが名探偵の孫であることはあまり強調されていなかったとはいえ、まさか剣持がジッチャンが誰か知らずにはじめに協力していたとは思っていなかったし、劇中で描かれていないだけでプライベートな部分でそこは説明しているものだとばかり考えていたので、ここの下りはビックリしたと同時に笑っちゃったよ。っていうか、よくそれで「首狩り武者」の時に「はじめのジッチャンの名にかけて」とか言ったな。

 

後編の改変ポイントについては後ほど説明していくとして、まずは原作の事件解説から行ってみよう。

 

原作の事件解説(臨機応変、プロの演技力が光る名犯人)

Who:地下迷宮に落ちていた電池、火恐怖症

How:離れの塔の無人消灯トリック、衆人環視下でシャンデリアを落とすトリック、三鬼谷操縦によるアリバイトリック、偽鍵とタランチュラを利用した密室トリック

Why:合宿所の火事を起こし、霧生を死に追いやった劇団員に対する復讐

本作は「聖恋島」以上にバリエーション豊かなトリックが仕掛けられたゴージャスな一作であり、白神がもう一人の探偵役として推理を披露する場面があるため、ミステリで言う所の多重解決形式になっているのが面白いポイントだが、まずは時系列に沿って離れの塔に仕掛けられた無人消灯トリックから語っていこう。

 

離れの塔のトリックは、風船の中にドライアイスを入れ、塔の階段の一番上に設置し、そばに画鋲を置いておく。そうして風船の中で溶けたドライアイスによって風船が膨張し、画鋲が刺さって割れることで、ドライアイスの煙(二酸化炭素が階段を流れていきロウソクの火を消していく…というもの。

種を明かしてみれば単純な物理トリックだが、これが事件の序章となる演出――島に劇団員や招待客以外の三者の存在がいることを仄めかす――になっているのがポイント。この第三者の存在を仄めかすために犯人は他にも、水を出しっぱなしにした際に鳴る警報ベル冷凍された鶏肉を駆使して「ファントム=霧生鋭治」の存在をちらつかせ、尚且つ自分にはそれを仕掛ける時間はないと主張出来るようにアリバイ工作までしているという徹底ぶりだ。

 

一応言っておくと最初の無人消灯トリックは絵門殺害前に仕掛けたトリックのため、トリックが露見した所で大きなミスにはならないが、トリックの痕跡となる風船を回収する際にライトを点けて探すと館のリビングから明かりが見えてしまうため、対策としてあらかじめ風船に蛍光塗料を塗っている。これが現場検証の際に剣持が発見した「青白く光るもの」の正体だったのだが、この際に剣持が犯人に拉致・監禁されたため、無人消灯トリックに犯人を特定出来る何かがあったのではないかと読者が思い込むような展開になっているのが巧妙なポイントだ。

勿論、ゴム風船のことだから風船に犯人の指紋が残っていてもおかしくないと思うが、前述したようにこのトリックは殺人前に仕掛けられたものであり、例え風船から仕掛けた人物が特定出来た所で、「サプライズ演出」と言い逃れすることも可能だから、「無人消灯トリックがバレたから剣持を拉致した」という仮説を論理的に否定出来るようになっている。

 

犯人が剣持を襲ったのは、作中ではじめが言ったようにこの後の密室トリックに必要な劇場の鍵を奪い取るためであるが、奪い取っただけでは剣持に鍵がなくなっていることに気付かれるし、密室トリックが実行不可能となってしまうので拉致・監禁という強硬手段に出たのだ。これによって、事件捜査の主導権がはじめや白神に移行し、城殺しのための密室トリックを自然な流れで行えるようになっているのが本作のプロットの優れた所である。ただ、白神が城を犯人と推理し、彼を劇場に閉じ込めるという提案をする流れは、流石に犯人も予想出来ないことなので、剣持を拉致・監禁したのは一石二鳥を狙ってというより、結果的に一石二鳥になったという方が正確だろう。

 

〇絵門殺しについて

最初の殺人、絵門殺しにおけるシャンデリア落下のトリックは、舞台裏のワイヤーリールからワイヤーを引き延ばし、地下を経由して観客座席の足元にある床板の節穴から座席のボルトに引っ掛けて固定する。こうして座席からワイヤーを切ることで衆人環視下の中でシャンデリアを落とすことに成功しているが、このトリックはワイヤーがある場所に移動するのではなくワイヤー自体を自分の元へ引き寄せるという逆転の発想が秀逸で、経年劣化によるオペラ座館の床板をトリックに利用しているのもユニークなポイントだ。

ちなみに、白神のポンコツ推理では、このアリバイトリックは城によるもので、衣装掛けに自分の衣装とファントムの仮面を掛けて自分が舞台袖にいたように見せかけ、その隙にワイヤーリールの元へ行ってワイヤーを切断し、シャンデリアが落ちた騒ぎのどさくさに紛れて衣装を身に着け駆け付けた…と推理している。

この白神の推理は作中ではじめが指摘しているように、全ての人間が衣装掛けのトリックに騙されるとは限らないし、一度そのトリックに疑念を持たれたら後の犯行が頓挫する恐れも十分ある。あとこの衣装掛けのアリバイトリックにはもう一つ問題点があって、シャンデリアが落下した際の衝撃で床に振動が伝わり、その振動で衣装掛けに掛けていた衣装や仮面がズレたり落ちてしまうリスクがある点だ。しかもシャンデリア落下後に早着替えをして駆け付ける必要があり、衣装や仮面をテープや紐などでズレ落ちないよう固定する訳にもいかないので、総合的に見てもこの衣装掛けによるアリバイトリックは実用的でないと言える。

 

〇三鬼谷殺しについて

次に第二の殺人、三鬼谷殺しにおけるアリバイトリックについて言及する。この三鬼谷殺しではレオナの襲撃も同時に起こったため、

①何故三鬼谷の死体を離れの塔から運び、海沿いの道の途中に遺棄したのか?

②何故三鬼谷の手首を切断し離れの塔に放置したのか?

③何故レオナを襲っておいて殺さずに三鬼谷を殺したのか?

の3点の謎を整理して考えていかなければならない。

これが島に潜伏するファントムの仕業だと仮定すると、レオナを襲撃したものの殺害をあきらめ海沿いのルートを通って離れの塔にいた三鬼谷を殺害、手首を切断してから死体を背負って元の道を戻り、その途中で遺棄するという何とも不合理な行動になってしまう。そのため、これがアリバイトリックによって生じた不自然な状況であることは誰でもわかると思うが、このアリバイトリックについて白神は以下のように推理した。

 

白神の推理によると、犯人の城が本館ではなく離れの塔に隠れていて、レオナのSOSで三鬼谷以外のメンバーが本館に戻った隙に彼を殺害。死体を背負って海沿いのルートを辿り途中で死体を遺棄し、あたかも最初から本館にいたような振りをした。そしてレオナ襲撃は、あらかじめドライアイスで彼女の部屋の窓ガラスを超低温状態にしておき、レオナが部屋の暖房をつけた際に気温差によって窓ガラスが割れる遠隔トリックを仕掛けた…とのことだ。

この白神の推理は第一の絵門殺し以上にツッコミ所満載で、まず作中ではじめが指摘したように、「三鬼谷が足を捻挫して離れの塔に残ったこと」と「ドライアイスと暖房の気温差で窓ガラスが割れること」の二点が成立しないと実行不可能なトリックであり、特に前者は偶然起こった出来事のため、計画犯罪としては無理がある要素が多いのだ。また、仮に城が犯人だとしても死体の手首を切断して死体を運ぶメリットが一切ないし、本館にいたとアリバイを作るのであれば尚更死体は離れの塔にあった方が彼には有利なのだから、その点でも白神の推理は(絵門殺しで城を犯人と推理したため)単独犯の仕業と考えて無理やり辻褄を合わせた推理になっており、白神のポンコツ探偵ぶりがここで遺憾なく発揮されている。

結局この白神の推理は第9回目のレオナの部屋の現場検証によって窓ガラスだけでなく窓の桟も破壊されている(=犯人の手で直接破壊されたもの)ことが確認されたため完全に否定されることになるが、では犯人はどのようなアリバイ工作をしたのか。

 

ここで謎を解く取っ掛かりとなるのが、三鬼谷の性格だ。作中で描かれているように、彼は自分の手首にレオナの名を彫るほど彼女にご執心で、他の男が彼女に手を触れようものなら烈火の如く怒る人間だ。それなのに、離れの塔でレオナのSOSを聞いた際には他の人に彼女の救援を任せるという消極的な態度をとっている。一見すると捻挫したせいだと思ってしまうが、(彼の性格から見て)誰かに背負ってもらってでも彼女の元に駆け付けようとするはずなのに離れに残る選択をしたという、この心理的矛盾がトリック解明の鍵となる。

真犯人が仕掛けたアリバイトリックは、あらかじめ三鬼谷と密会の打ち合わせをしておき、剣持失踪ではじめ達が離れの塔に向かう流れに乗じて密会の計画を実行。離れの塔で三鬼谷がわざと捻挫したふりをして一人残り、こっそりと海沿いの道を通って犯人と密会した…というものだ。これによって、本館にいた犯人は離れの塔に行くことなく往復5分で犯行をすませることが可能になり、離れの塔に駆け付けた際に三鬼谷の手首を落として犯人自身が発見することで、犯行が離れの塔であったように見せかけているのがこのアリバイトリックの重要なポイントだ。

 

そしてここまでの流れでもうわかった方もいると思うが、レオナの襲撃は彼女自身がアリバイ工作のために行った狂言の襲撃であり、本館の自室の窓の外からインターホンではじめに話しかけ、自ら窓を割ることでファントムによる襲撃を演じている。この際、万が一外にいた人物に見られても大丈夫なようにファントムの衣装と仮面をつけているのが犯人の用意周到な所であり、この変装が結果的に読者に対する叙述トリックの役目を果たしているのも見逃せない。

結局外にいる人物がレオナの狂言襲撃を目撃することがなかったので、ファントムの変装はトリックとして蛇足になったのだが、それが却って「レオナがアリバイ工作のためにわざわざファントムの変装をする必要がないので、彼女は犯人でない」という風にも読めてしまうため、ここでミスリードにハマった読者もいたのではないだろうか?

 

〇城殺しについて

最後の城殺しについては、絵門・三鬼谷を殺害した犯人が城だと白神が推理したことに加えて、劇場に城を一晩監禁することで潔白を証明しようという流れになったのが犯人にとってはラッキーだったと言える。この流れに乗じて鍵の見張りを提案しているのが犯人の頭の回転の早い所であり、心理誘導としても巧妙なポイントだ。

 

実を言うと、鍵の見張りよりも劇場入口の前で寝ずの番をした方が殺人防御としては確実性が高いのだが、(前述したように)刑事である剣持が犯人によって襲われ行方不明になっているため、劇場前の見張りをすることに抵抗感がある状況になっているのが注目すべき点だ。刑事がファントムに襲われている以上、もし城が犯人でなかった場合ファントムの襲撃から城を守らないといけない羽目になるのだから、心理的にも肉体的にも劇場に近寄りたくないと考えるのは自然だろう。

しかし、鍵の見張りならば劇場から離れたリビングに座っていれば済むし、部屋も暖炉が焚かれていて暖かいから、心身共に安心して見張れる。犯人が鍵の見張りを提案したのも、直接的な見張りでなく間接的な見張りに他の人々が賛同することを見越してのことだろうが、この鍵の見張りを利用して仕掛けたのが偽鍵とタランチュラを利用した密室トリックになる。

 

まず犯人は事前に炎で燃える素材で作った偽の鍵を用意し、劇場に向かう前に本物の鍵とすり替え、同時にタランチュラを放つ。こうして偽鍵ごとタランチュラを暖炉に放り込んでもらうことで暖炉の火が燃えている間鍵が取り出せない状況を作り出し、鍵のアリバイを作り上げているのがこのトリックの秀逸な所である。殺害後は屋外の煙突から鍵を落として暖炉に返却出来るため、火に近づく必要がないのも犯人にとってはメリットだったと言えよう。

このトリックについて、「暖炉の薪が燃え尽きる前に水で消火して鍵を取り出せば良かったのでは?」というツッコミが挙げられると思うが、一応これについて言及しておくと、基本的に暖炉の消火に水を使うのはNG※1であり、直接暖炉に水をかけると炉を傷めたり灰が飛び散って危険なので、火の勢いがなくなり消えかけの段階で消火にあたるのが良いとされている。特に本作の暖炉は大型の暖炉だから、燃え盛っている火に水をかけたら水蒸気や灰で部屋が大変なことになるし、城が命の危機に瀕しているならともかく、水をかけて消火するほど緊急事態という訳でもないため、はじめ達がとった行動は適切だったと念のために断っておく。

ちなみに、タランチュラを暖炉で焼き殺してもらうために、オペラ座館に備え付けの室内用スリッパをあらかじめ隠しておき、毒グモを踏みつぶして殺す選択を心理的にとりにくくしているのも犯人の賢いポイントとして挙げておかなければならない。

 

※1:薪ストーブのある暮らし » 暖炉の火の熾し方 を参照。

 

〇犯人唯一のミス

以上、トリックの方を詳細に解説していったが、本作の犯人は剣持の現場検証や白神の提案といった犯人にとってのアクシデントさえも犯行計画に組み込んで殺人を成功させているのが(他の事件の犯人たちと違い)頭の回転の早さを物語っているし、臨機応変に対応して行動する様や、巧みな心理誘導も犯人の演技力の賜物だと思う。

 

そんな犯人が唯一にして最大のミスを犯したのが、剣持を拉致・監禁した時のこと。地下迷宮に剣持を監禁した際、誤って懐中電灯を落とし、それによって乾電池が床に転がり出てしまったのだが、本作ではこの電池が物的証拠となった。

電池が証拠というのは、勿論電池に残った犯人の指紋もそうなのだが、地下迷宮にはロウソクの立った燭台があり、明かりが全くない訳ではないため、何故それを使わなかったのかという疑問が出て来る。ここでレオナの火恐怖症が手がかりとなり、ロウソクを使わなかったのではなく、使えなかった。即ち、火恐怖症のレオナが犯人だと一気にわかるようになっているのがフーダニットとして鮮やかなポイントである。

 

この電池に関してはレオナも回収のチャンスをうかがっており、城殺しの際に彼の血をわざと地下迷宮の入り口まで続くように残しておき、死体発見時にはじめ達と共に地下迷宮に入ってさり気なく電池に触れることで、指紋から犯人だとバレないよう動いているのが凄い。

ただ、はじめが電池を拾った後にレオナが触れ、その電池をはじめがハンカチで受け取りそのまま包んで保管したため、レオナの指紋の上にはじめの指紋が重なるという矛盾※2が生じ、これが決め手となった。

電池さえ落としていなければ状況証拠のみで物的証拠はなかったのだから、完全犯罪まであと一歩という大健闘ぶりを見せた湖月レオナは歴代屈指の名犯人と言って過言ではないだろう。

 

※2:レオナが犯人でない場合、はじめの指紋の上にレオナの指紋が重なることはあっても、はじめの指紋の下に重なることは絶対あり得ない。

 

アニメ版とドラマの事件解説

まずはアニメ版の改変について触れていくが、先週の記事で言及したようにアニメ版は約50分の尺に収めたため、三鬼谷殺しは丸ごとカットされているし、剣持が襲われ監禁される下りもカットされているため、剣持は最初から最後までずっとはじめや美雪のそばにいる。

また、もう一人の探偵役である白神もカットされているので、城殺しの下りはどうなったかというと、白神に代わって影島が衣装掛けによるアリバイトリックの可能性を持ち出して城を疑い、氷森がそれを後押しするような発言をしているため、城自身が劇場に籠もる提案をした…という形で改変されている。この改変自体は特に問題はないのだが、原作と違い剣持はピンピンしているため、正直剣持は劇場前で見張り番をした方が良かったのでは…?と思ってしまう。

また、剣持の監禁がカットされたことで決め手となる電池が使えなくなったので、アニメ版では城殺しの密室トリックで鍵を煙突から暖炉へ返却する下りを利用している。煙突に辿り着くにははしごを上って屋根に上がらなければならないが、この際に屋根の赤錆が靴の裏に付着するため、はじめはこの赤錆を決め手としてレオナに突きつけている。電池と比べると決め手としては弱いかもしれないが、一応説得力のある物的証拠にはなっているだろう。

改変によりプロットに隙が生じてしまっているのが少々残念ではあるが、それなりにキレイにまとまった一本であり、地下迷宮の壁に刻まれた霧生のメッセージというアニメオリジナルの設定が犯人の救いになっているのも見逃せないポイントだ。和田薫氏による音楽も相まって、結末は意外と感動的になっていたと思う。

あとこのスペシャル版は毎週放送されていた時と違い作画がガラリと変わっていて、はじめや美雪、剣持が妙に美形寄りに描かれているため、旧作のアニメに慣れ親しんでいる私としては結構違和感があるんだよね…ww。

 

〇五代目の改変について

今回のドラマは大体原作通りで大きな改変はなかったが、まずは順番に離れの塔の無人消灯トリックから言及していく。

最初の離れの塔のトリックでは、一同がリビングにいて離れの塔で起こったことを目撃していたが、原作と異なり影島だけがリビングにいなかった。原作では影島が離れの塔を見ながら夕食をとることを見越して無人消灯トリックを仕掛けたのに対し、ドラマは逆に影島だけが無人消灯トリックを目撃していないというのがポイントで、前編の段階では影島自身が塔にいてロウソクを消した可能性もわずかながらにあるようになっていた。とはいえ本作における影島は特別犯人っぽい動きをしていないので、この改変に犯人=影島だとミスリードさせる作用はあまりなかったと思う。

 

次いで絵門殺しのシャンデリア落下トリックの際の状況について。今回のドラマで城が付けていた仮面はフルフェイスのものではなく目元を隠す仮面であり、彼の立ち位置も舞台袖ではなく舞台上になっていたので、原作で白神が推理した衣装掛けのアリバイトリックはカットされている。これは尺の都合のためカットされた部分だろうが、それに伴い第二の三鬼谷殺しにおける白神の推理もカットされており、城を疑う切っ掛けは犯人が着用していたファントムの仮面が城の部屋にあったという形で改変されている。そのためドラマでは多重解決の形式はなくなっており、白神がポンコツ探偵になることは回避されているのだが、その分イヤミっぽく挑発的な態度ではじめに絡んでいるので心証は最後の最後まであまり良くなかったかな。

トリック解明の下りは、切断されたワイヤーの長さに着目するのは原作と同じだが、ドラマではリールまでの距離とシャンデリアが吊るされていた高さという具体的な数字を出すことでワイヤーの長さに違和感があることを強調しているのが良い点だ。また、響や劇団員たちを地下迷宮に集め、佐木のiPadを通して実況中継の形式で実際にトリックを実演しているのもドラマの演出として優れていた。

ちなみに、原作ではワイヤーを切断するために犯人は座席のひじ掛けにもたれる格好で座っており、それが犯人特定のヒントというか伏線になっていたのだが、ドラマではその瞬間は映されていないため、絵門殺しの段階で犯人を推理するのは無理だろう。

 

三鬼谷殺しは前回の感想でも述べたように、午前中の出来事として描かれているのが最大の改変だが、原作と違い雨が降っておらずはじめ達もレインコートを着用していないため、三鬼谷の手首を隠し持てる人間がレオナしかいない状況になっているのが少々気になる。原作では他の人物もレインコートを着用しているため、レオナ以外の人物にも手首を移動した可能性は少なからずあるのだが、ドラマではレオナを除いた他の人物は長い丈の上着を着ておらず、手首を隠して持てるような服装でもないし、ましてや鞄すら持っていないので、ここで犯人がレオナではないかと疑った人もいたのではないだろうか?※3

 

最後の城殺しは地下迷宮発見後に起こった事件として改変されているため、城の血ではじめを地下迷宮へ誘導する展開はなくなっている。その分死体も原作のメッタ刺しのような凄惨さがなくアッサリとした普通の死体だった(あまり血みどろにしたら劇場が汚れるからああしたのかもしれないが…)

密室トリックについては、原作と違い夏の事件のため暖炉を利用している所に違和感を覚えた人も多いと思うが、ロープウェイで行かないといけない山の高所に建っている館ならば、標高が高い分気温も平地と比べて低いと思うので、六月下旬の夜ならば暖炉を焚いていてもそんなにおかしくはないかなと私は判断した。

(とはいえ、暖炉の規模や火の大きさを見ると、頑張れば消火せずとも鍵がとれそうな気が…)

原作ではタランチュラを三匹も使っていた犯人だが、ドラマでは一匹だけであり、直接「焼き殺して」と言ってはじめにタランチュラを殺させている。ここの下りは原作だと「焼き殺して」と言うまでもなくはじめが焼き殺してくれたので良かったが、アニメ版と今回のドラマでは直接言ってしまったため、後々疑われる痕跡を残したのが少し痛い所だなと思った。

 

※3:特に前編で三鬼谷の死体が発見された際、離れの塔に手首を切断した際の血だまりがないことがはじめの口から語られているうえに、死体発見現場で手首が切断されたことが明確にわかるよう映っていたので、手首の移動の点で考えれば実行可能なのはレオナしかいないと推理出来る。その点原作は雨が降っていたので(離れの塔はともかく)死体発見現場で手首が切断されたかどうかを証明するのは難しかったと思われる。

 

終盤レオナが館に火を放ち自殺を図るのは原作と同じだが、ドラマは第三の殺人ではないため、全焼・倒壊には至っていない。「聖恋島」の時みたいに館そのものが撮影用のセットならば良いけど、今回はロケで借りている場所なので原作のように劇的な結末が描けなかったのは最終回として勿体ない点である。ただ、霧生の真意をレオナに訴えかける下りは原作にもあったし、最終回にしてようやくはじめが犯人の魂を救えたというのは連ドラの構成として良かったのではないかと思う。

今回の連ドラ序盤の「学園七不思議」や「聖恋島」におけるはじめは推理は出来るけどやや辛辣な面が目立っていたし、解決後に犯人に対して語りかけることもなかった。「白蛇蔵」や「トイレの花子さん」からは犯人に対する語りかけはしているものの、救済には至っていないし、「金田一少年の殺人」「首狩り武者」では犯人が死亡している。こういった探偵としての不完全さを経て最終回でレオナの救いとなる言葉をかけられたのは、はじめの探偵としての成長が描かれていて評価すべきだと思うよ。

演出は原作より地味なのは否めないけど、ドラマのレオナは原作のようなロマンチスト的要素は薄く、比較的地に足のついた女性として描かれていたから、そういう女性に語りかけるとしたら今回のドラマのように腰を屈めて低い目線から語りかける方が適していたのではないだろうか。(上から目線だと「何だコイツ」って反発心がわきかねないだろうし)

ちなみに、原作ではもう一つ犯人にとって救いとなる展開があったが、これはアニメでも今回のドラマでもカットされている。気になる方は是非原作を読んでもらいたい。

 

さいごに(総評&その他もろもろ)

4月から追ってきた五代目金田一もこれで終わりを迎えたが、最後に総評や他の感想を述べていこう。

五代目で道枝さんが演じた金田一はじめは四代目の山田版が結構原作に近いキャラ設定だった分、今回はやや草食系で美雪との恋愛も奥手で消極的に描かれていた。これに関しては四代目との差別化もあってのことだろうが、個人的に今回の五代目金田一のキャラ設定は道枝さんに合ったキャラ設定だったと思う。

専門的な話になるが道枝さんは2種体癖※4っぽい体型だし、「聖恋島」で見られた犯人に対する辛辣さ・弁舌の鋭さは思春期の2種※5に見られるので、原作のはじめとは違うが、道枝さんが演じるはじめ像としてはピッタリだったのではないかと思う。もし道枝さんが四代目の山田さんが演じたようなオッパイ好きのスケベキャラだったとしたら、多分間違いなく違和感が凄くて気持ち悪さが勝っていただろう。コミカルからシリアスに振り切れていないという批判もあるだろうが、初代から四代目までの平均値というのが五代目金田一の特徴であり、そこが道枝さん自身のイメージと合致していたと評価する。

 

美雪や佐木に関しては、五代目の金田一とは逆に歴代の中では一番原作寄りの設定だったと思う。佐木はかなり有能になっているから厳密には原作とは違うのだけど、ビジュアルに関しては過去一で原作に近かったし、原作に近い見た目の佐木がスマホで撮影をするという組み合わせに時代の流れを感じさせるものがあったような気がする。

美雪は初代のともさかりえさんの印象が強い人もいるだろうが、初代の美雪は原作の美雪と比べるとノリが良すぎるので厳密には違うし、楚々とした感じは今回の上白石さんの方が強かったかなと思う。佐木の出番が増えた分、やや影に追いやられている感じがするのは四代目で川口春奈さんが演じた美雪と共通する所ではあるし、そこがちょっとドラマとして寂しいというか物足りない部分だったかな。特に五代目金田一は恋に奥手なので、その点でも美雪との絡みが薄く勿体ないと感じる場面もあったからね。

 

剣持警部は初代で古尾谷雅人さんが演じた剣持に近いテイストだったが、初代の剣持の紳士さにちょっぴり少年の腕白さが付け足されていたというのが沢村さんが演じた剣持のイメージで、そういうこともあってかはじめとの距離も意外に早く縮まっている。個人的には今回の五代目剣持の設定は良かったと思うよ。

 

あとこの記事の冒頭で剣持がはじめの祖父のことを知らなかったと言ったけど、今回の五代目は金田一はじめが金田一耕助の孫であることをほとんど強調していないというのが注目すべきポイントで、祖父の威光というものが令和においては何の意味も成さないことをドラマでは暗に示していたのではないかと考えている。事件関係者にも「金田一耕助の孫」だと言わずに捜査していることを思うと、水戸黄門の紋所に値する「金田一耕助の孫」という肩書きが通用しない時代になったことを象徴しているように思うのだ。

 

※4:体癖 - Wikipedia を参照。2種体癖の身体的特徴はやせ型で首が細く弱々しい、貧血気味で声に張りがない等が挙げられる。2種は公平さを重視し、人の話を正確に聞き伝えることが得意な人が多い。他にも、土壇場で優先順位を決めるのが苦手・性への目覚めが遅いといった特徴がある。

※5:思春期の2種については以下の動画を参考にさせていただきました。(動画の4:40辺りから)

【10】精神科医が分析する「リトルナイトメア2」 シティ編(後編)人はどのようにして「中毒」から醒めるのか - YouTube

 

映像面については、四代目と同じ木村ひさし氏が演出に加わっているものの、四代目のように初代を意識したカメラワークにはなっておらず、はじめの決め台詞も特別凝った趣向・演出ではなかった。そこがちょっと物足りなく感じてしまう人もいただろうし、物語のテンポもゆったりめでスピード感は希薄だった。それが良いかどうかは一旦置くとして、次は今回の連ドラの脚本、つまり各エピソードについて言及する。

 

〇五代目エピソードを順位付け

公式HPでも紹介されていた通り、五代目は新旧の傑作を揃えた金田一少年の決定版」というテーマで七つのエピソードを映像化しており、日本的なホラー要素を重視したエピソードを選択している。今回映像化された七つのうち、独断と偏見で順位付けをすると以下のようになった。

1位:「聖恋島殺人事件」(2・3話)

2位:「オペラ座館 ファントムの殺人」(9・10話)

3位:「首狩り武者殺人事件」(8話)

4位:「トイレの花子さん殺人事件」(5話)

5位:「金田一少年の殺人」(6・7話)

6位:「白蛇蔵殺人事件」(4話)

7位:「学園七不思議殺人事件」(1話)

実は1位から3位までは大石哲也氏が担当した回で、4位以降は川邊優子氏の担当回になっている。結果的にこういう順位になっただけで別に脚本で差別した訳ではないが、やはり大石氏は過去に初代と二代目で脚本を担当していたし、金田一少年だけでなく他のミステリドラマの脚本も経験している方なので、その経験値が反映されていると感じる内容になっていた。

川邊氏が担当した回は部分的には優れた改変になっていたが、トータルで見るとイマイチというか不満が残る部分も少なからずあったので、4位以下となってしまった。ミステリドラマの経験がないにもかかわらずいきなり金田一少年の脚本を任されたことを思うと健闘していたとは思うが、ミステリドラマは総合芸術的な面があって、単にトリックが成立したら良いという話ではない。これは推理小説も同じで、トリックが面白くても小説(読み物)としてイマイチではやはり上質なミステリとは言い難く、読者の印象に良い意味で残ることはないのだ。

 

順位について詳細に説明するが、3作あるリメイク作品の中でワーストにした「学園七不思議」は明らかに尺不足で、当ブログでも言及した虚像の問題をドラマ制作陣が見逃していることが致命的だった。「金田一少年の殺人」は前編は良かったが後編で失速した感が否めず、初代とは違う味わいがあったが、あの寂しい解決編は私の好みには合わなかった。「首狩り武者」も原作の完全な映像化という点では及第点には達していない所はあるが、改変がいずれも納得のいくものが多く初代とは違う味わいのある一作として100点満点中75点くらいはつけても良い出来栄えだったと思ったので3位とした。そういうことでリメイク3作のうち一つは成功、一つはまぁまぁ、一つは失敗と評価するが、失敗したのが初回だったから連ドラの構成として大きな傷にならずに済んだのがラッキーだったかもね。

それに船津紳平氏「犯人たちの事件簿」の後押しもあったから、それの影響で犯人側の目線で事件を楽しむ見方も出来たのが五代目のもう一つラッキーなポイントと言えるだろう。

 

新作エピソード4作のうち、前後編として描かれた「聖恋島」や「オペラ座館」が上位に来たのは妥当だと思うが、「聖恋島」の方を1位にしたのは原作以上に復讐の物語として効果的な改変だったことや、原作の不満ポイントをほぼ潰していることが挙げられる。ミステリのクオリティとしては間違いなく「オペラ座館」なのだが、改変の巧さという点で「聖恋島」を1位とした。「オペラ座館」も傑作ではあったが、演出面や原作の劇的な結末を思うと控えめな描写になっていたのでそこが少しマイナスポイント。ただこれはセットではなくロケ現場での撮影ということもあるので仕方がないと思うし、映像化としては最終エピソードに相応しい出来になっていたと評価するよ。

1話完結の「白蛇蔵」と「トイレの花子さん」は、まず「白蛇蔵」は原作自体多くの問題を抱えた作品なので改変も大変だったと思うが、結果的にモヤモヤ度は原作と変わらないという点でミステリドラマとしてはイマイチだった(致命的なミスがなかったので6位)。「トイレの花子さん」は原作から結末や犯人を追い詰める決め手を変えたために、原作よりは質が落ちる結果になったがそれでも「金田一少年の殺人」よりも上の順位にした。初の短編エピソードの映像化ということも勿論あるが、はじめの高校生としての無邪気な一面を堪能出来る一作としては価値があると思ったからである。

 

初回を除けば視聴に値するエピソードだったとは思うが、「金田一少年の決定版」としてこの7つのエピソードだけで金田一少年が語れるかと言うとそれは流石に否である。金田一少年シリーズを語るとしたらはじめの宿敵である地獄の傀儡師は外せない存在だし、この宿敵を抜きにして「金田一少年の決定版」を謳うのもいかがなものかと思うので、やはり私はSPドラマでもシーズン2でも良いから続編を作るべきだと主張したい。特に五代目はリメイクに3作費やした分、新作自体は他の代と比べると4作と明らかに少ないので、そういう点で不満を感じた道枝さんのファンもいたのではないだろうか。四代目の山田版の御縁で道枝さんが金田一を演じられることになったのだから、せめてSPドラマ2本分くらいはやらせてあげて欲しいものだ。

 

〇初代がもたらした「過剰な刺激」問題

新たな金田一少年が生まれる度にどうしても比較の対象として持ち出されるのが初代の堂本版金田一だ。特に五代目は初代の作品をリメイクしたこともあってより比較されやすい状況になっていたと思う。ドラマ制作陣もそこは覚悟して制作にあたったと思うが、そのせいかやや批判的な意見が目立っていたような気がするし、視聴率に関しては日曜夜10時半ということもあってか歴代の平均視聴率のワーストを更新している。※6ディズニープラスでも配信する番組だからあまり視聴率にこだわらず日曜夜に放送したのかもしれないがそれはさておき。

 

過去にも新たな金田一少年は批判の対象となり、それに呼応するように堂本版が持てはやされることはあったが、堂本版金田一自体は間違いなく傑作揃いであり評価されるだけのクオリティだったので、別に「堂本版にもダメな部分がある」とかそういうことを言いたい訳ではない。

私が言いたいのは、ちょっと視聴者が初代堂本版で提供された過剰な刺激に影響を受けすぎて、他の代の演出や趣向に鈍感になってしまっている傾向があるのではないかということだ。初代における怪人による凄惨な殺人シーンや雷鳴轟く不気味な館の演出が刷り込まれてしまっているが故に、それと同等かそれ以上の過激な演出がないとドラマ金田一少年として認められない、或いは快感が得られない脳になっていると私は考えていて、今回の五代目に厳しい目を向ける人は初代を基準にしてしまっているから余計にヌルく地味に感じてしまうのかなと思ってしまう。

これに関しては最終的には好みの問題として落ち着くので、無理に五代目の良さを見出す必要はないのだが、もうちょっと歴代の金田一の特色や面白さに目を向けないと、ドラマを制作する側も新たな金田一ドラマを制作することに消極的になり、新作や続編が見られなくなってしまうのではないかと実は少々危惧しているのだ。心配しすぎかもしれないが、以前に木谷高明社長が「すべてのジャンルはマニアが潰す」と言っていたことを思い出し、ドラマ金田一少年にもそういう危険性があるのではないかと思ってこのような意見を述べた次第だ。

 

原作通りやることも大事だけど、新たな金田一少年を見たいというのも確かであり、金田一耕助シリーズのように息の長い作品にするとなると、主人公のはじめの設定が変わるのも全然アリというか、変えないといずれ行き詰まるかもしれない。どちらかというと私が重視するのは主人公の性格よりも美雪や剣持といったレギュラーメンバーとの関係性の方で、金田一少年ははじめだけの力で謎解きをする訳ではないから、他のメンバーとの関係性をバランス良く描くことも作品として重要ではないかと考えている。そこさえ押さえておけば、ある程度の改変は許容出来るし、そういう所から面白さを見つけることがこの先の金田一少年のドラマを見る上で必要かもしれない。

 

※6:平均視聴率は6.2%であり、最高は初回の7.8%で最低は6話の5.5%だった(いずれも関東地区)。視聴率の推移としては緩やかなV字で後半は上昇している。

 

〇もし続編をやるなら…

続編が制作されるかどうか現時点では未定だが、個人的に続編があるならやってもらいたいエピソードは以下の通りになる。

リメイク枠:「異人館ホテル」「首吊り学園」「魔術列車」

新作枠:「魔神遺跡」「天草財宝伝説」「雪霊伝説」「黒魔術」「剣持警部の殺人」「雪鬼伝説」「狐火流し」「吸血桜」「雷祭」「聖なる夜の殺人」「瞬間消失の謎」「不動高校学園祭」

※太字は特に映像化を希望しているもの

リメイクに関しては続編でやらなくても良いとは思うが、地獄の傀儡師を出すとなるとやはり「魔術列車」は外せないし、二代目でドラマ化したものには少なからず不満があったので私としてはリメイクで見てみたいという気持ちがある。

異人館ホテル」と「首吊り学園」はどちらも初代で映像化されているが、傑作揃いの初代でもこの二作は1話完結にしたこともあって説明不足な部分があったり改変の影響でフーダニットとしてイマイチだったりと改善点は多いため、どちらか一方でも良いから前後編で見てみたい。(ミステリのクオリティ的には「首吊り学園」のリメイクを望むけど)

 

新作枠の方は、未だ映像化に至っていない「魔神遺跡」は勿論のこと、「天草財宝伝説」も捨てがたい。ただ五代目で「金田一少年の殺人」がリメイクされたおかげで、「天草財宝伝説」に関してはいつき陽介を登場させやすくなっているし、続編をやるならこっちを優先させて欲しいかも。

続編で地獄の傀儡師を出すとなると、やはり「黒魔術」か「剣持警部の殺人」のどちらかだろう。私としては、「金田一少年の殺人」をリメイクしたのだから反対に剣持が窮地に陥る「剣持警部の殺人」を映像化した方が連ドラとしては良いと思う。

また、冬の事件枠として「雪霊伝説」と「雪鬼伝説」を挙げたが、二代目以降冬の事件がほとんど映像化されていないため、SPドラマでも良いからどちらか一作は映像化して欲しいと思っている。前者はグロいトリックが後を引く一作で、後者は映像映えする豪快なトリックが印象に残る秀作だ。

Rシリーズからは「雪鬼伝説」に加えて「狐火流し」「吸血桜」も挙げたが、「狐火流し」は既にアニメ化されているし、あの切ない感じをドラマで見てみたいので個人的イチオシは「狐火流し」になる。

あと五代目で短編が初めて映像化されたので、もし続編で短編をやるなら「瞬間消失の謎」「不動高校学園祭」、それから「聖なる夜の殺人」なんか良いと思う。「瞬間消失の謎」「不動高校学園祭」はどちらも学園祭の時に起こった事件だから、二編をまとめて1本のSPドラマとして放送すれば尺的にも丁度良さそうだ。

 

 

さて、長くなったが以上で五代目金田一少年の感想・評価を終える。主演の道枝さんをはじめとするドラマ制作陣の方のおかげで約4ヶ月楽しい時間を過ごせました。改めて感謝します。