タリホーです。

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ゲゲゲの鬼太郎(5期)第15話「働く! 目玉おやじ」視聴

今回は11月11日までの配信。

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丸毛・逆柱

今回登場した丸毛という妖怪は水木先生による創作妖怪で、鬼太郎作品以外でも似たようなやつがちらほらいるのだが、そんな丸毛が特に目立って登場するのが原作の「げた合戦」という作品。貯金箱になりすまして金をくすめるが、本来は悪い妖怪ではなく、逆柱に仲間を人質にとられてやむなく金を盗んでいる。

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そして丸毛を人質にして金を集めていた逆柱は、妖怪図鑑にも載っているれっきとした妖怪(?)。古来から自然の状態で生えていた木を建物の柱として利用する際は自然のままの向きで建てるべきとされており、上下逆に建てると家運が傾く・火事になるといった不吉な出来事が起こるとされている。妖怪図鑑の逆柱は上下逆に建てられた柱が妖怪化したもので、柱から木の葉の妖怪が飛び出したり、柱がうめいたりすると言われている。

 

アニメでは丸毛は1・3・5期に登場。逆柱は1・3・4・5期に登場する。丸毛はあまり見た目が変わらないが、逆柱のビジュアルは各期で異なっており、原作では小さいお城のような見た目の逆柱は、3期だと怪しい行商人の姿に化けるし、4期だと不気味な顔が浮かび上がった巨大な柱、5期は妖怪寺の柱と結構見た目の違いがある。3・4期の逆柱は金を盗む事情があったり(3期)、ぬらりひょんに利用されたり(4期)とやや哀愁漂う所があるが、今回の5期の逆柱に関しては完全にネタキャラ扱いで、40話で再登場した時には更にネタキャラっぽくなっていたのが印象に残っている。

 

ちなみに原作や1・3期では妖精の花子さんという少々特殊なキャラクターが登場する。普段は妖怪を軽蔑して口をきかないが、所持していた貯金箱(丸毛)がなくなって鬼太郎に助けを求めにきたということで原作の物語は始まる。妖精も貯金をするのが水木作品独特の世界観であり、ユニークで面白い。

 

ほっこり親子回

5期は上記したように原作「げた合戦」をベースにしているが、丸毛と逆柱の関係を引用した程度でそれ以外は完全オリジナル。父の日に入浴剤をプレゼントしてくれた鬼太郎に対して、せめて父親らしいことがしたいと目玉おやじが自転車購入のため妖怪横丁でバイトをするという、5期の中でも比較的ゆるい日常回だ。逆柱との戦闘もあるが、それも簡単に解決するし(というか、5期の逆柱自体あまり強くない…ww)、最後の自転車乗りに苦戦する鬼太郎の描写を見ても、今回が鬼太郎と目玉おやじの親子愛をほっこりとした形で描いた回であると言えるだろう。

 

脚本は6話と同じ吉田氏によるもの。6話の時は妖怪横丁という設定の功罪について言及し、その「罪」の部分でやや厳しい意見を述べた。

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が、今回はその6話と比較すると作画が安定しており、妖怪横丁の「功」の部分が活かされているという点でこの15話の方がまだ好意的に評価出来るというのが個人的な意見だ。

 

6話の感想でも言及したように、妖怪横丁という設定にしたことで妖怪を描く量が必然的に増え、その結果「雑に描かれた妖怪」が量産されることになった。つまり、6話では妖怪の数の多さをマイナスポイントとして評価した。しかし、今回の15話ではその妖怪の数の多さを目玉おやじが信頼・尊敬されている数の多さとして巧い具合に活かしているのが評価ポイントで、鬼太郎に内緒でバイトすることを了承した小豆洗い・お歯黒べったり・化け蛸や、妖怪長屋のメンバーの力をかりて鬼太郎なしで事件を解決しようとする様を見れば、その信頼関係だったり隠居として目玉おやじが丁重に扱われている部分が伝わるようになっている。

また、妖怪横丁が人間社会的な営みをしている点についても、6話の場合はそれを砂かけばばあの横暴な行動に乗せたことである意味悪目立ちしてしまったきらいがあるなと思ったが、今回はそれを鬼太郎と目玉おやじの互いを思い合う心に乗せて描いたことで物語としてキレイというか、ほっこりする居心地の良さみたいなものを感じた。原作の牧歌的な雰囲気とは違うけど、5期独特のゆるい空気感が今回ようやく妖怪横丁という舞台と上手に結びついた、とそう思う。

 

※内容的に父の日の前後に放送されたのかと思い、当時(2007年)の放送日時を確認すると7月8日だった。少々時期外れだったのだな。

 

 

次回はアニメオリジナル回。原作にも登場しなかった妖怪がゲストとして登場するが、正直あまり覚えていない回なので、新鮮な気分で楽しめそう。