タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

ナンバMG5ざっくり感想 #3(親からの「祝い」が子にとっての「呪い」)

間宮さん主演のドラマに「真宮」というキャラが登場しました。これは正に、

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3話感想

ナンバMG5(7) (少年チャンピオン・コミックス)

今回は原作6~8巻までのエピソード。夏休み終わりから秋にかけて、剛は伍代と伍代の旧友・真宮との諍いに干渉したり、千鳥商の大丸大助と関わることになる。

ドラマでは描かれていないが、実は原作で難破一家は商店街のくじ引きで当たったハワイ旅行に行っており、ハワイで極悪非道の限りを尽くすブラッドリー兄弟をやっつけるというエピソードがあった。このエピソードでは、剛だけでなく兄の猛も活躍するので、興味ある方は是非原作を読んでいただきたい。

 

ドラマの内容に関しては大体原作通りだが、作中で起こった出来事が若干入れ替わっており、原作で剛が大丸と初めて出会うのは伍代と真宮の一件が解決した後になっている。ドラマでは大丸との出会いが早まっているが、そのおかげで剛は美術部部長からの信頼を失った直後に大丸から誤解されぶん殴られるという、原作以上に泣きっ面に蜂な思いをする羽目になった。この辺り、可哀そうと言えば可哀そうなのだが、間宮さんの声の演技が活かされるという点ではナイスな改変だったのでグッジョブ!

 

さて、今回のメインとなる伍代と真宮の確執については、以前日本テレビで放送していた「ごくせん」(第一シーズン)でも似たようなエピソードがあったので割と不良漫画ではポピュラーなプロットなのかな?と思いながら視聴していた。

そういや伍代って「ごくせん」の沢田に近いキャラだし、真宮が抱えるコンプレックスや境遇は同じく「ごくせん」9話で塚本高史さんが演じた黒崎に似ていたと思う。それだけ親や先生といった人々から受けた呪いや、それに縛られ悪の道へと堕ちる展開は普遍的なテーマとして人々の共感を得るということなのだろう。

 

個人的に今回のエピソードで伍代が何故不良の道に進んだのか何となくわかってきた感じがする。当初は規範的な親に対するアンチテーゼとして不良の道に走ったのかと思ったし、それが彼のメインとなる動機なのだろうが、殊更に群れず一匹狼で市松の中にいるのは、勿論周りの奴らがろくでもない連中だというのは当然として、旧友の真宮を魔道から救い上げられなかったことに対する後ろめたさや負い目があったからではないかと思う。それがあるから新たな関係を育むことに抵抗感があったり、同じ過ちを繰り返してしまうことを恐れ、つい剛と一線を引いてしまったのかなと考えている。

それに、不良から足を洗い普通の高校生活を歩むことが伍代にとっては真宮を裏切る行為だったのかなと思わされる所もある。上から釣り上げるようにして真宮を救い上げることも出来るっちゃ出来るのだけど、自分がそばにいたことで真宮が周囲から比較されたという責任もあるから、同じ不良のレベルに敢えて堕することで共に階段を上る感覚で救い上げたかったのかもしれない。そこは伍代なりに真宮のプライドを傷つけないよう考えていたと思う。

 

今回は剛が抱える「呪い」を伍代や真宮を通してより普遍的なものとして描いた回だったが、真宮に差別発言をしたあの先生は論外として、親や家族からの期待や「祝い」としての景気づけが剛には「呪い」になっているというのが今回は特に如実に表れた回だった。そこに大丸の純真さだったり、伍代の良心といった、本来ならプラスに働くはずの感情が剛の首を絞める結果になるというのが、もう運命のイタズラという感じでね…。そうでなくてはドラマにならないのだけど、やっぱり可哀そうだよ。

【金田一少年の事件簿】「悪魔組曲殺人事件」を徹底比較

今週は五代目金田一の新作エピソード「聖恋島殺人事件」の感想を書く予定だったが、ご存じの通り北海道の海難事故の影響を受け一週間の延期となった。そしてその穴埋めとして初代・堂本版のシーズン2の初回「悪魔組曲殺人事件」の再放送が5月1日に放送された。※

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初代ドラマ版の「悪魔組曲」は上の記事で簡単ながら感想を書いていたので、本来ならば今週の感想記事はお休みするつもりだったが、YouTube東映アニメーションミュージアムチャンネルの方でも何とアニメ版の「悪魔組曲」が期間限定で配信されることになり、奇しくも同日にドラマ版とアニメ版を見比べられる機会を得た。

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そういうことで、今週はドラマ版とアニメ版の比較をしながら両者の魅力や特徴を語っていきたい。なお、原作は漫画ではなくドラマCDだが、私は未視聴のため原作ではなくあくまでもドラマ・アニメの両者を比較した上でのレビューとなることを先に断っておく。

 

※5月1日に再放送されたドラマは再編集版のため、ノーカット版を視聴したい場合はTVer で配信されている方をおススメする。

 

(以下、ドラマ及びアニメのネタバレあり)

 

事件のおさらい

まずは登場人物についておさらい。ドラマ版とアニメ版の登場人物は以下の通り。

(レギュラーのはじめと美雪は除く)

 

〇ドラマ版

御堂周一郎:故人。著名な作曲家。

御堂優歌:周一郎の孫娘。

小沢竜二郎:御堂の弟子の一人で作曲家。

夏岡猛彦:御堂の弟子の一人で指揮者。

風倉百合恵:御堂の弟子の一人でオペラ歌手。

紅亜理沙:御堂の弟子の一人でバイオリニスト。苗字の読みは「くれない」。

田村秀明:音楽プロデューサー。

剣持勇:警部。はじめ、美雪と共に御堂の山荘へ向かう。

 

〇アニメ版

御堂周一郎:故人。著名な作曲家。

山根優歌:御堂のマネージャー。美雪と知り合い。

マイケル・ヘンリー:御堂の弟子の一人で作曲家。フランス人。

夏岡猛彦:御堂の弟子の一人で指揮者。

風倉百合恵:御堂の弟子の一人でオペラ歌手。

紅亜理沙:御堂の弟子の一人でバイオリニスト。苗字の読みは「くれ」。

椿陽造:御堂家の執事。

明智健悟:警視。山根とは知り合いで楽譜探しのため呼ばれる。

 

下線を引いたので一目瞭然だと思うが、御堂・夏岡・風倉を除いた登場人物が変更・改変されているのが特徴で、更にアニメ版の夏岡は登場人物の中で唯一、御堂の「悪魔組曲」の詩のメモを持っていたということになっている。

 

そして、事件解決の鍵となる「悪魔組曲」の詩はドラマ版とアニメ版では当然ながら内容が微妙に異なっている。

 

〇ドラマ版

〈第一の詩〉

煌めき 闇深まり

聖なるを手にした騎士が

悪魔の餌食と なりはてぬ

〈第二の詩〉

をとって 弦を引き

悪魔討たんと騎士は往く

されどは止まりて 落ち

騎士の正義は 消え果てる

〈第三の詩〉

己が胸をで切り裂き

騎士は心に光を得る

聖なる歌は己が胸にぞありき

 

〇アニメ版

〈第一の詩〉

ああ 雷光煌めき 闇さらに深まりて

魔界の宴の刻来たり

今宵の犠牲と選ばれし

聖なるをば手にせし騎士は

悪魔の餌食と なりはてぬ

〈第二の詩〉

凛々しく 雄々しく かぶりて

悪魔討たんと 騎士は往く

されど悪魔は呪われし 地獄の歌を口ずさむ

は止まりて 落ち 騎士は苦しむ 呪いの歌に

悪魔の嘲笑 野に響き 騎士の正義は消え果てぬ

〈第三の詩〉

されど最後の力にて 騎士は挑まん 地獄の歌に

をばとりて 弦をはり 放つ一矢が悪魔を射抜く

絶叫残して悪魔は消える

呪いの歌の呪縛は解けて

騎士は心に光を得る

・・・聖なる鍵は己が胸にぞありき

 

このようにドラマ版とアニメ版を比較してみると、ドラマの方が若干簡素化された詩になっているものの、大まかな内容は同じだ。ただ、第三の詩はドラマ版だとなのに対しアニメ版は弓矢となっている。そのため、第三の事件で用いられた凶器も同様に異なっている。

また第一の事件の見立てはドラマ版が悪魔のステンドグラスなのに対し、アニメ版は床に描かれた悪魔の絵となっている。そして小沢(ヘンリー)が握っていた鍵はドラマ版は犯人が所持していた鍵なのに対し、アニメ版はヘンリーの寝室の鍵になっている。それによって犯人特定のプロセスが改変されているのがミステリという点で最も注目すべきポイントだ。

第二の事件の見立てはドラマ版とアニメ版は同じものの殺害方法が違っており、ドラマ版は詩に見立てて弓矢を使った射殺となっているが、アニメ版は殺害方法や死因は不明だ(胴体部分に外傷は見られないので恐らく撲殺だろうか)。

 

事件解説(謎解き特化のドラマ版と愛情劇としてのアニメ版)

Who:鍵、誤った見立て

How:偶然生まれた見立て

Why:事故、脅迫者の口封じ

今回の事件は「悪魔組曲」の詩に見立てた連続殺人だが、ドラマ版は第一の事件の見立てを人為的に行うことが不可能なことが強調されており、それによって御堂周一郎の亡霊による仕業だというオカルト的解釈や怪人の存在が違和感なく成立しているのがドラマとして優れているポイントの一つと言えるだろう。※1

第一の見立てが偶然出来上がった所はドラマ版・アニメ版共に同じだが、問題は鍵の扱い。アニメ版では鍵そのものが犯人の名を示すダイイングメッセージとなっており、被害者がフランス人であることがダイイングメッセージに繋がるヒントになっている。一方のドラマ版は、鍵が犯人の所持品であるという点ではダイイングメッセージになり得るが、アニメ版と違ってもみあいの末偶然もぎ取られたものであること、後の犯人の行動に影響を及ぼすものとして活用されており、それがフーダニットとしてより隙のない作りになっているのがドラマ版の巧い所だ。

 

第二の事件の見立てについては、犯人が馬を意味する「駒」ではなく玩具の「独楽」を見立てに利用したという誤った見立てが事件解決のポイントとなる。つまり、詩の内容を文章ではなく音で聞いただけの人間が犯人となり、屋敷への到着が遅れて詩のメモを入手出来なかった紅が犯人として特定される。(ぶっちゃけ前後の文脈から判断すれば「駒」を「独楽」と間違えることはないと思うが…)

ただ、ドラマ版では「悪魔組曲」の詩を渡されたのが小沢と紅以外の弟子だったのに対し、アニメ版では夏岡以外詩のメモを知らなかったため、誤った見立てが犯人特定の材料になっておらず、実質ダイイングメッセージだけで犯人を特定しているのがアニメ版の少々勿体ない点だ。

 

ドラマはここから更に前述した鍵によって紅を追い詰めているのが巧いポイントで、悪魔組曲を演奏する際に自分のバイオリンではなく別荘内にあったバイオリンを利用した(=自分のバイオリンケースを開けることが出来なかった)ことが手がかりとしてごく自然に配置されているのが秀逸。また、その鍵を剣持がトランクケースの鍵とすり替え、偽の鍵を犯人のそばにわざと置いておくという罠を張って、犯人が言い逃れ出来ないようにしているのもよく出来ていると評価したい。

 

ここからは動機面の話になる。第一の殺人が事故で、第二の殺人が脅迫してきた風倉の口封じという点はドラマ版・アニメ版共に同じ。問題は御堂と紅の関係という部分だ。

ドラマ版は御堂と紅は恋人同士の関係だったが、ある日を境に御堂は紅を無視するようになり、それが御堂への憎悪に繋がったと同時に「悪魔組曲」が弟子たちを争わせ追い詰めるために作成された曲だと誤解することになった遠因として描かれている。

ただし、御堂が紅を無視したのは彼女に対する愛情がなくなったのではなく耳の障害によるもので、それが劇中で登場した調律されていないピアノや、ドラマ冒頭の雷鳴轟くなかでの演奏会として表されている。特に冒頭の演奏会の下りは、一見するとシーズン2の初回ということで、(最初にこのドラマを見た時は)劇的な演出のために木やピアノに落雷させていたとばかり思っていたのだが、この場面そのものが御堂の耳が聞こえないことを示す大胆な伏線になっているのだ。耳が聞こえないから落雷に反応することなく平然と笑っていられたのであり、弟子たちとの会話もよく聞くと対話として成り立っていない。一方的に自分の言いたいことを御堂が言っていたに過ぎないことがわかるだろう。

耳の障害という事実が明かされ、詩の本当の意味(楽譜の隠し場所を示す暗号)を知った紅は、ようやく今回の一連の犯行が御堂の愛情を信じ切れなかったが故の自身の愚かさから来るものだと悟り、最終的に警察によって逮捕された。これがドラマ版の動機に関する内容だ。

 

一方アニメ版はというと、紅は御堂の隠し子であり、かつて音楽家として大成するため妻と娘を捨てアメリカへ渡ったと劇中で語られる。そのため、表立って父親として名乗りを上げられず、一音楽家として紅に厳しく接するようになった。この厳しさが紅を誤解させる切っ掛けとしてアニメでは描写されており、「悪魔組曲」も彼の厳格で冷酷な性格による産物だと紅は思い込んでいた。しかし実際は三つの詩の最初の一文字目を合わせると紅の下の名の「ありさ」になることや、執事の椿を通して紅に資金援助していたことが明らかとなる。曲自体も、ピアノ演奏だと重苦しい曲調になるがバイオリン演奏の部分は転調によって希望ある天使の歌として変化するよう作曲されていた。悪魔の顔の裏に隠された御堂の愛情深い一面を表す曲として音楽面に力を入れているのがアニメ版の特徴と言えるだろう。※2

 

※1:今回の事件は計画的なものではなく突発的に起こったのため、あの不気味な仮面や衣装は犯人が用意したものではなく、御堂の山荘に元々あったものを利用したと考えるのが自然だろう。そう考えれば、優歌の部屋で仮面が見つかった際、田村に問い詰められても彼女が何も言わなかった理由も何となく想像がつく。元々所有していたのだからそれを元に責められたら言い逃れは難しいしね。

※2:しかし、ドラマ版と違って楽譜は屋敷内に普通に隠されており、他の弟子は自分名義でこの「悪魔組曲」を発表しようとしていたことを思うと、下手をすれば娘に捧げるための曲が蹂躙されていた可能性も十分あったのだ。その点アニメ版の御堂は詰めが甘いと思ってしまうが、御堂本人としては詩に娘の名前を刻んだのだから、曲が誰のものになろうと娘に捧げたことに変わりはないと思っていたのかもしれない。

 

さいごに

以上、ドラマ版とアニメ版を比較してみたが、個人的な好みとしては謎解きや伏線描写に力の入ったドラマ版に軍配を上げたいと思う。アニメ版はダイイングメッセージ一本で犯人を特定していることや、紅が御堂の娘であるという推理が御堂の写真が彼女と似ていたという勘に近い推理で当てた点から見ても、あまり謎解きを意識して作られた作品とは思えない。最後に自殺しようと崖へ行く下りを見ても、本作が御堂や椿執事の思いの深さにスポットライトを当てていることがわかるし、やはりアニメ版は愛情劇としての「悪魔組曲として描かれたことがわかる。そう思うと、アニメ版で明智警視が登場したのは、はじめの人情深さを強調させるための引き立て役だった気がしてならない。

「探偵が早すぎる」シーズン2感想 #3(二重のトリック返し in キャンプ場)

特にここ数年の連続ドラマ内におけるキャンプ場の登場率は格段に高まってますよね。

 

(以下、ドラマのネタバレあり)

 

3話感想(「屋根裏の散歩者」風毒殺)

今回はキャンプ回ということで、一華の会社の同僚に加えて宗介・葉子兄妹、更には橋田に千曲川まで参加し、ちょっぴりカオスなキャンプ体験となったが、当然美津山四兄妹の暗殺計画も進行し、今回は次女の明日香が仕掛けることに。

 

明日香の仕掛けたトリックは、毒キノコを煮詰めた毒液を一華らがいない間にテントの内側に塗布、夜になって彼女らが就寝する頃を見計らってキャンプ場の職員に扮してストーブと水入りの薬缶を設置し、テントの上部(一華の寝床の頭上付近)に切り込みを入れる。そして薬缶の水が水蒸気となってテントの内側に水滴となって付くことで再び毒液になり、切込みを入れた部分に溜まった毒の水滴が一華の口へと落ちる…というもの。

頭上から毒液を垂らしてターゲットを毒殺に至らしめるのは、かの江戸川乱歩の名作「屋根裏の散歩者」を彷彿とさせる。前回の順三郎のトリックと比べてもユニークで面白いと思うが、それでも事故に見せかけられているかというとちょっと厳しい。ソロキャンプならともかく、あれだけの人数で活動していながら一人だけ毒キノコで中毒死というのは不自然だし、テントに塗った毒液の痕跡を明日香は処理出来ないのでそこが完全犯罪という点では達成出来ていないポイントだ。

まぁ、中毒死に関しては一華が単独行動していた瞬間もあるので、その分殺人として捜査される可能性は低まると思うし、仮に殺人事件として捜査されたとしても、最悪一華に絡んで来た三人組の男に罪を擦り付けることも出来た訳だから、その点明日香はラッキーだったと思う。(ナンパを拒絶された腹いせという犯行動機が成り立つ)

 

で、今回の千曲川によるトリック返しは前回が凝っていた分シンプルだったが、千曲川のトリック返しが明日香だけでなく一華に対しても行われていたというのが今回の脚本として優れた所。序盤に一華が千曲川の食べるナポリタンに激辛デスソースを振りかけていたことが伏線として活かされていたこともさることながら、シーズン1から作り上げて来た一華と千曲川犬猿の仲とでも言うべき関係性が有効活用されているのも素晴らしい。原作の一華は割と普通の女の子だし、千曲川と派手に喧嘩するようなこともないので、今回の二重のトリック返しは、原作通りのキャラ設定で脚本を作り上げていたら生まれなかった名場面だと言えるだろう。

 

シーズン2に入ってからはトリック返しの趣向も面白い仕上がりになっているが、オリジナル脚本ということもあって、やはり原作小説を土台にしたシーズン1と比べると、千曲川がトリックを見抜く下りが雑になっているのは否めない。単純にトリックの痕跡を見つけて推理しているだけなので、シーズン1の時みたいに心理的矛盾や現場の違和感を突いてトリックを見抜く構成がとれていたらよりミステリとしての質は上がるだろう。元々原作小説も一種の倒叙ミステリなので、贅沢な要求になるがそういった点も留意してストーリー作りをしていって欲しいなと願う。

 

ドラマとして気になっている所といえば、やはり宗介の存在が非常にミステリアスで、彼の行動に一貫性が見られない。だから何が目的で一華のキャンプに同行しようとしたのか気になるし、敵側であるはずの明日香を助けようとする素振りまで見せた彼の行動原理も謎に包まれている。「一華に惚れたから」という説明ではつかない所もあるしね。

一応現段階で宗介の行為を合理的に説明しようとするなら、宗介は「弱者やいじめられている者に対しては、敵味方関係なく助ける」という宗介独自の行動理念・ルールがあるのではないだろうか?勿論まだ彼の過去や心理的背景が劇中で多く明かされていないので私の先入観が多分に混じった解釈なのだが、彼の父親である宗太の失踪が宗介の行動に影響しているような気がしてならない。

ナンバMG5ざっくり感想 #2(誰のために火中の栗を拾うか)

父親はトラックの運ちゃんで、母親はパチンコで稼ぐ専業主婦、しかも子供は三人(長男は無職)いて食費もバカにならないし、その上ペットまで飼っているのだから、一体難破家はどうやって家計のやりくりをしているのだろう。

 

2話感想

ナンバMG5(4) (少年チャンピオン・コミックス)

今回放送された2話は原作の2巻~4巻中盤までのエピソード。内容としては市松高校2年の頭である最上の特服探しがメインで、そこに伍代の漢気溢れる行動や藤田のゲスい動機による特服探しが加わることで物語は盛り上がっていく。

 

本来ヒロイン枠であるはずの藤田がスマホ代(原作はまだスマホが流通してない頃なのでパケ代)の補填+小遣い稼ぎのために難破を売ろうとしたり、特服を呼び出す目的で島崎を囮に利用するなどなかなかにゲスいことをするが、他作品における男性の理想像を押し付けられたような、正義感溢れる清楚なヒロインではなく、普通に金銭目的でゲスいことをやってしまうヒロインというのが個人的には新鮮だった。

今回の話だけ見ると藤田はとんだ守銭奴ブスなのだが、原作ではこの後剛が窮地に陥った際に率先して彼を救おうと動いているので、それを知っている立場として藤田は人間臭いヒロインであると、(弁護しているように聞こえるかもしれないが)一応断っておく。

 

ヒロインとしての株が下がった藤田に代わり株を上げたのは他ならぬ伍代で、身体が万全でないにも関わらず特服に変装して剛の二重生活を守ろうとしたのは、これはもう勇気という一言だけでは済まされない漢気ある行為だったね。

剛も伍代も、更に言えば藤田も火中の栗を拾うタイプという点では共通しているが、剛や伍代は「漢気」として評価され、藤田は「守銭奴」として炎上案件になったのは、その行いが誰のためでやっているのか、誰のために火中の栗を拾うリスクを犯せるのか、という点にあると思う。どれだけリスクが高くとも自分のためにやっているのであればそれは結局エゴ・自己満足の行為以上のものにならないし、他者のためにリスクがとれれば、結果の是非に問わずそれは一つの「生き様」として輝くものになると、今回の物語を見ていて感じた次第だ。

 

学生の時に見ると何とも思わなかっただろうが、今一人の大人としてこのドラマを見ると「大人になると火中の栗は拾えなくなるんだよな」と思う。そりゃ大人になっても拾ってる職業の人もいるだろうが、基本的に社会人ってどれだけリスクを回避出来るかが重要であって、わざわざ自分が傷つくことを覚悟して火中に飛び込むことってないし、そういう人は「理性がない」だの「蛮行」だのと冷笑・嘲笑されやすいのが今の世だから、そういう時代にストレートに火中に飛び込むカッコ良さを見せて来るのが、このドラマの魅力であり素敵な部分だと評価したい。

(まぁ、この作品に限らず物語の主人公はとかく火中の栗を拾いがちではあるが…)

 

それにしても、ドラマの最上は丸太ん棒というかヒグマみたいな体格だから、あんな鉄入りのグローブを着けなくてもパワーはありそうだよね。ちなみに、原作の最上は細見で上半身裸のスキンヘッド、左胸に梵字の刺青があって首にネックレスを着けた、なかなかに個性的な見た目の人物だった。

あとドラマではカットされていた台詞だけど、原作で伍代は最上のことを「『火垂るの墓』だって笑って見る」男だと評していたのが面白かった。そうか、アレを笑って見るのか…ww。

五代目「金田一少年の事件簿」、今後放送されるエピソードを予想してみた

TwitterYouTube といった各方面で既に行われているが、私もこの五代目で放送されるであろうエピソードを予想してみようと思う。

 

旧作(リメイク)予想

予想するにあたって手がかりとなるのは、公式HPのイントロダクション。そこで記されている情報によると、

新旧の傑作エピソードが集結する(金田一少年の決定版)

日本ならではの呪いや怪談を題材にしたミステリーをシリーズ史上最大のスケールで贈る

この二点をふまえて、それに合致するエピソードを挙げるとすると、まず既に映像化された旧作品は以下の通り。(学園七不思議は当然除く)

 

異人館村・悲恋湖・オペラ座館・秘宝島・首吊り学園・首なし村(飛騨からくり屋敷)・蝋人形城・雪夜叉・悪魔組曲・タロット山荘・金田一少年の殺人・怪盗紳士・異人館ホテル・墓場島・上海魚人伝説/魔術列車・幽霊客船・仏蘭西銀貨・黒死蝶・速水玲香誘拐・魔犬の森・露西亜人形/吸血鬼伝説/香港九龍財宝・獄門塾・銀幕の殺人鬼・ゲームの館・鬼火島・金田一少年の決死行・雪影村・薔薇十字館

(計・31エピソード)

 

この中で欠番となった「異人館村」、そして四代目山田版で放送されたエピソードと映画の「上海魚人伝説」はほぼ間違いなくリメイクされないだろうから除外して、残りの21エピソード中、呪いや怪談といった日本的ホラー要素が強いエピソードは、首なし村(飛騨からくり屋敷)・雪夜叉・墓場島・黒死蝶に絞られる。ただし、今回の五代目がシリーズの決定版として放送されることを考えると、原作の記念すべき一作目となるオペラ座館や因縁の宿敵・地獄の傀儡師が初登場する「魔術列車」も候補に入れて良いと思う。

以上6つのエピソードに絞ったが、「雪夜叉」は冬の事件だし「黒死蝶」は「悲恋湖」とリンクする所があるエピソードなので、今回リメイクされるとは考えにくい。また、「墓場島」は今回映像化された新作「聖恋島」と同じ孤島モノのミステリであり、1クールの連続ドラマで孤島モノのエピソードを二つもやるのはちょっと考えられない(描かれるテーマも似通った所があるので)。

そんな訳で旧作からリメイクされる作品で有力なのは「首なし村」「オペラ座館」「魔術列車」だと予想する。

 

新作予想

続いて新作として映像化されるエピソードを予想するが、短編をいれると数が膨大になるので、長編に絞って考えていきたい。まだドラマ化されていない長編は以下の通りとなる。

 

漫画:魔神遺跡・天草財宝伝説・怪奇サーカス・オペラ座館第三の殺人・雪霊伝説・黒魔術・剣持警部の殺人・錬金術・人喰い研究所・雪鬼伝説・亡霊校舎・狐火流し・蟻地獄壕・吸血桜・人形島・黒霊ホテル・白蛇蔵金田一二三誘拐・八咫烏

(計・19エピソード)

小説:オペラ座館新たなる殺人・電脳山荘・雷祭・殺戮のディープブルー・邪宗

(計・5エピソード)

 

以上の24エピソードのうち、冬の事件と特にボリュームが大きい「殺戮のディープブルー」は除き、孤島モノも前述した理由から除けば、魔神遺跡・天草財宝・怪奇サーカス・黒魔術・剣持警部の殺人・人喰い研究所・亡霊校舎・狐火流し・蟻地獄壕・吸血桜・黒霊ホテル・白蛇蔵金田一二三誘拐・八咫烏村・雷祭・邪宗館の16エピソードまで絞られる。

このうち、日本的な要素が強いのは魔神遺跡・天草財宝・人喰い研究所・亡霊校舎・狐火流し・吸血桜・白蛇蔵金田一二三誘拐・八咫烏村・雷祭の10エピソード。ただ、「八咫烏村」は現在連載中のエピソードなので流石に今映像化しないだろうし、「吸血桜」は放送するには少々時期外れなのでこれも考えにくい(個人的には一番映像化して欲しいエピソードだけどね)。また、「金田一二三誘拐」は新選組を題材にしているとはいえ、日本の路線を利用したミステリというマニアックな内容なので海外配信向けではないかと思う。「人喰い研究所」はノスタルジックな日本の村が舞台とはいえメインとなる舞台は研究所内なのでこれも除外して良いと思う。そして「亡霊校舎」は地獄の傀儡師絡みではあるが舞台が廃校という点で「学園七不思議」と少しダブるのでこれも映像化されないだろう。

そうなると残りは「魔神遺跡」「天草財宝」「狐火流し」「白蛇蔵」「雷祭」の5つになるが、個人的に最も有力だと思うのは既にアニメ化されている「狐火流し」だ。これは四代目で放送された「雪影村」みたいに1話完結でもまとめられる内容になっているし、狐のお面に白無垢といった日本的要素が特に強いエピソードなので、これはほぼ間違いなく放送されるのではないかとにらんでいる。

「白蛇蔵」は予想としては五分五分という感じ。というのも、頭巾で顔を隠した男が登場するという点で「首なし村」と共通するので、もし「首なし村」の放送が決定したら「白蛇蔵」は、まぁ放送されないと見て良い。「雷祭」は日本的要素が強いことと最近講談社文庫から復刊したことも併せて考えれば映像化される可能性は高いと思われるが、セミの抜け殻が作中で使われるので季節的には早すぎるし正直微妙な所。「魔神遺跡」と「天草財宝」はどちらも映像化して欲しい作品ではあるが、初代の作風に寄せるとしたら「魔神遺跡」の方に軍配は上がるし、「天草財宝」は準レギュラーのいつき陽介が登場する作品なので、彼が初登場した「悲恋湖」をやらずにいきなり登場させるとちょっと展開に無理が生じると思う。事件解決後の展開にしても「天草財宝」は冬向きの作品だし、今放送するにはなおのこと不向きだろう。

以上のことを総合して考えると、新作エピソードは「魔神遺跡」「狐火流し」になると予想する。「魔神遺跡」に関しては謎解き部分で原作通りいかない問題が出ると思うが、これは改変でいかようにでもクリア出来るのでチャレンジしてもらいたいエピソードだ。

 

以上、旧作と新作の予想をしてみたが、初代~四代目まで1クールで放送されたエピソード数は6つ程度であり、「聖恋島」が前後編で放送されることが決まった今、残り放送されるエピソード数は多くて4つくらいだろう。だから今回私が予想したエピソード全ては入らないし、もしかすると全く予想していなかったエピソードが放送される可能性だってある。

先日放送された「行列のできる法律相談所」で主演の道枝さんが推していた「悲恋湖」が映像化される可能性もゼロではないし、上で除外した「雷祭」もセミの抜け殻を別のアイテムにしてもミステリとしては十分通用する作品なのだから。何にせよ、今後のラインナップに注目していきたい。

シリーズ初のリメイク「学園七不思議殺人事件」はどうだったか?(五代目「金田一少年の事件簿」#1)

今シーズン最注目のドラマ、五代目「金田一少年の事件簿」がスタートしました。徹底的に解説していきますよー!

 

(以下、原作ほか初代ドラマ版も含めた事件のネタバレあり)

※一部内容に誤りがあったので訂正しました。(2022.04.25)

※加筆しました。(2022.05.11)

 

File.1「学園七不思議殺人事件」

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五代目金田一の初回を飾るエピソードは1993年の6月から8月にかけて『週刊少年マガジン』で連載された「学園七不思議殺人事件」。言わずもがな、記念すべき初代・堂本版で初めてドラマ化されたエピソードであり、アニメ版の初回も「学園七不思議」から始まる。正に金田一少年を語る上で避けては通れない必読のエピソードであり、30年近く経った今となっては古典ミステリとしての趣さえ感じられる名作だ。

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歴代金田一少年の動画配信時に行った振り返り企画で既に感想を語っているので、一部内容に重複があることを承知の上で読んでいただけるとありがたいが、本作の魅力の一つには、作品が連載されていた当時全国的に流行っていた学校の怪談ネタの一つである「七不思議」を取り入れ、ホラーミステリとしての世界観を作り出していることが挙げられる。特に初代のドラマでは、ホルマリン漬けの生首がカッと目を見開く場面や、怪人放課後の魔術師の仮面にトラウマを抱いた視聴者も多く、それゆえ印象に残っている人もいるのではないだろうか。

 

原作の事件解説(金田一少年の世界ではレアな犯行動機)

まず、原作をフーダニット・ハウダニットホワイダニットの三点で要約すると以下のようになる。

Who:的場勇一郎

How:を利用した死体及び犯人消失トリック

Why:高畑製薬が過去に起こした死亡事件+青山ちひろの殺害を隠蔽するため(自己保身のための殺人)

金田一少年ファンならわかってもらえると思うが、本作は(発表当時はそうでもなかったが)怪人による犯行だと決めつけ恐れる男性(通称「〇〇の仕業だおじさん」)が犯人であり、シリーズ全体を通して見ると珍しい部類に入る。

というのも、金田一少年で「○○の仕業だ!」とか「〇〇の呪いよ…」と言って恐れおののく人は、メタ的な意味で作品のホラー的な世界観を盛り上げる役どころであり、よって犯人ではないという暗黙のお約束があるのだ。怪力乱神を語る昔ならともかく、科学的・合理的精神が一般的な現代でオカルトの仕業による殺人を説いても大多数は信じない(=ミスリードとして効果的ではない)ので、そういう点から見ても作中(劇中)でオカルトの仕業を提唱する人物はまず犯人候補から除外して良いのだ。

では何故的場先生は「放課後の魔術師」に関する嘘の噂をはじめ・美雪に語ったのか、と考えると、やはり完全にはじめを一生徒としてしか見ていなかったが故の慢心だと言わざるを得ない。ビビらせるような恐ろしい話を語ったら事件のことを深追いしないとタカをくくっていたのだろうが、まさかはじめが捜査を担当した剣持警部とつながっており、美雪が搬送された病院に神保博士のことを知っている人物がいるとは想像出来なかっただろう。これは金田一はじめを見くびったがゆえのミスであり、裏付け調査をすれば一発でバレてしまう大ボラを吹くなんて墓穴掘りも良い所である。

 

メイントリックは鏡を利用することで犯行現場を開かずの生物室だと誤認させる※1というかなりシンプルなものだが、ワイヤーを使って窓の鍵を施錠するという偽のトリックを仕込むことで、犯行可能な人物が特定されないよう細工をしているのが地味ながらも優れたポイント。特に桜樹殺しは計画的な犯行ではなく突発的に起こった殺人のため、偽装工作として手間をかけられなかった部分も多いので、まだミステリとしてはわかりやすかったのではないだろうか?

ただここで問題となるのが、今回の事件はトリックの解明が犯人を特定するための唯一の材料であり、鏡のトリック以外の方法で密室からの死体消失が成立してしまうと的場先生が犯人と断定することが出来なくなる。そのため、尾ノ上の死体から発見された生物室の鍵が使用不可能だったことを証明する必要があるのだが、既に体当たりで打ち破られた生物室の扉の鍵が使えるか証明するのは実質不可能。正に「悪魔の証明」と言うべきこの問題を、はじめは鍵穴にガムを仕掛けて生物室の鍵は使えなかったと偽装することで犯人の自白を導いている。※2

 

※1:旧校舎の廊下が新校舎の廊下より狭いことや、照明にロウソクを用いたことも鏡のトリックが不自然に見えない状況作りに貢献している。

※2:とはいえ、桜樹ではなく尾ノ上の死体が発見された時に鍵が見つかったことを考えると、桜樹殺しのトリックに生物室の鍵が使われなかったことは一応間接的に証明されている。何故なら、もし仮に桜樹殺しの時に鍵を使ったのであれば、その後も鍵を持っておくメリットはほとんどないし、ワイヤーを使って窓の鍵を施錠したという偽トリックを補強する証拠物品になるのだから、むしろ犯行現場に残しておく方が得策なのだ。それなのに犯人は生物室に鍵を置いておかなかった、ということは桜樹殺しのトリックに生物室の鍵は使われておらず、行き当たりばったりの犯行だったと推測出来る。

 

また、動機が過去の事件の隠蔽や自己保身というのもシリーズ全体を通して見ると(意外にも)長編では本作くらいで、基本長編の事件は復讐目的の犯行であることが多い金田一少年シリーズの中では珍しい犯行動機なのがこの「学園七不思議殺人事件」の特徴の一つなのだ。

 

ドラマ(初代・五代目)の事件解説

ドラマ版は初代・五代目共に改変があるが、まず初代の方から始める。

初代は原作が的場先生単独の犯行だったのに対し、的場先生とドラマオリジナルキャラの浅野先生による犯行に改変されていること。これが初代における最大の改変ポイントだ。言うまでもなく、的場先生の犯行は自己保身が目的であり、これをそのまま映像化するとただのクズ野郎になってしまうため、ドラマでは的場先生の元教え子だった浅野先生が共犯となり、愛し合っていた二人がお互いを庇って犯行に及んだというメロドラマ的な動機に改変されている。そのため、浅野先生が原作における桜樹殺しと鏡のトリック、尾ノ上・青山の殺害を行ったのに対し、的場先生は美雪の襲撃と七不思議の拡散という形で分業体制になっている。

分業にした影響で、ドラマは剣持警部が事件の動機部分(的場先生が高畑製薬の元社員であること・隠蔽工作のため七不思議を広めたこと)を解明し、はじめが鏡のトリックと浅野が共犯であることを見抜く結果になった。そのせいか、原作以上に剣持が有能な人物として描かれており、その分はじめの活躍度合いはやや薄まったきらいがあると個人的には思った。

 

そして五代目だが、主な改変ポイントを挙げると、

鷹島友代がカットされ、役割の一部を佐木竜太が担う

ワープロ暗号の内容が変更

③尾ノ上の死体発見現場が変更(場所はアニメ版と同じ)

④犯人(的場)の動機に関する背景が変更

「偽トリック」がカットされている

七不思議の名称及び内容が変更※3

以上の六点となる。

初代と比べると1時間半で完結させたため、キャラ設定等簡素化されている部分はあるが、旧校舎の雰囲気や怪人「放課後の魔術師」による殺害場面など、ホラーとしての空気感・世界観はうまく作られており、そこは普通に楽しんで視聴出来た。

ただ、ミステリとしては無視できない問題点がいくつかあったため手放しに褒められないのも確かだ。

 

その問題点の一つは、本作のメイントリックである鏡を利用した殺害現場の誤認。実は、今回のはじめの推理はドラマ制作陣がやってしまったあるミスによって、厳密には成立しないことになってしまっているのだ。そのミスというのは、今回リメイクするにあたってアレンジした放課後の魔術師の仮面が関わる。※4

画像

画像は、私が描いた歴代の「放課後の魔術師」の仮面だが、原作・アニメと初代は仮面のデザインが左右対称なのに、今回の五代目では右目に穴があいているし所々に傷があったりと左右非対称のデザインとしてアレンジされている。

ここまで言えばピンと来た方もいると思うが、鏡に映った虚像は左右が逆転するから、当然五代目「放課後の魔術師」の仮面は鏡のトリックを実行した場合、左目側に穴があいていないといけない。しかし、ドラマを見たらわかると思うが桜樹殺しで鏡のトリックを実行していた際に映った仮面と、尾ノ上を襲っていた時の仮面は全く同じであり、左右の逆転は起こっていなかった。そうなると、はじめが推理した鏡のトリックが用いられたという推理が間違っている可能性が出て来るのだ。

一応はじめの推理が間違っていないと仮定して、鏡のトリックの時には左右逆転させた「生物室」と書かれた札と同様に、仮面の方も左右逆転させたものを被っていた可能性はあるが、ここで改めて考えてもらいたい。「放課後の魔術師」の存在はあくまでも噂であり、仮面のデザインを具体的に知っている人間が学内にいないことを考えると、わざわざもう一組左右逆転させた仮面を作っておく必要も、それを使い分ける必要もないのだから、やはりはじめの推理と実際に劇中で映った仮面との間に大きな矛盾が生じざるを得ない状況になっているのではないだろうか?

更に、今回のドラマでは原作で的場先生が仕掛けた「ワイヤーを使って窓の鍵を閉める」偽トリックを配置していないため、はじめが行ったトリックの別解潰しが為されておらず、「鏡のトリックを使った人物が犯人」だと断定出来ない状況になっているのも非常にマズい点だ。原作は別のトリックが使われた可能性を否定しているからこそ、犯人当てミステリとしてロジックによる推理が可能だったのに、今回は鏡のトリックに矛盾点があり、トリックの別解も潰されていないのだから、実質動機のみで犯人を追い詰めたも同然。これでは予告や公式HPで冠した「本格ミステリ」とは言い難い。

 

あとこれは好みの問題もあるから一概に否定してはいけないことかもしれないが、桜樹が残した暗号も、原作では「かな文字→ローマ字」変換による暗号で、ワープロという機器に書かれていたことが解読のヒントとなっていたのに、今回は緯度・経度から国名を導き出すという暗号で、専門的な知識・情報が必要な上にドラマで提示する暗号として適切でないタイプ(調べるのに時間がかかる、ドラマを見ながら考えられない)だったので、この改変も好意的に受け取れなかった。せめて緯度・経度だとわかるヒントがあればまだ納得がいったのだけどね。※5

 

※桜樹の暗号のヒントについて。改めてドラマを見たところ、パソコンのちょうど左横に地球儀が置かれていたので、恐らくそれが暗号解読のヒントだったと思われる。

(2022.04.25 追記)

 

謎解きの面に関しては以上のように不満点が多くあるが、動機面は初代と同様に今回も同情の余地がある設定に変更されている。また今回は製薬会社から建設会社に変更したこともあって、死体を旧校舎に埋めて隠蔽する工作が今までバレなかったことが自然に説明付けられていたのは何気にうまい改変だったと思う。隠蔽工作をしたのが旧校舎を建てた建設会社そのものなのだから、そりゃバレにくいわな。※6

それから、青山ちひろ明確な意志をもって殺害しているのも原作や初代ドラマとはまた違う犯人像として印象的だった。悪いことをしていることに変わりはないが、原作の小心者であるが故の犯行と違って、今回の的場先生は悪行でもちゃんと責任を持って行っており、その辺りの潔さがあるからか、原作の的場先生よりかはクズ度合いは低かったかなと思う。あと、放課後の魔術師に関する「一世一代の大ボラ」を吹かなかったのも賢明な判断だったね。

 

※3:原作は「魔の十三階段」「あかずの生物室」「血に染まる井戸」「知恵の女神」「首吊り大イチョウ」「手首のはい回る部屋」「呪われた楽器室」の七つ。そして今回のドラマでは「知恵の女神」が「死を刻む大時計」、「首吊り大イチョウ」が「底なしプール」、「呪われた楽器室」が「赤い音楽室」として変更されている。

※4:推測に過ぎないが、五代目の「放課後の魔術師」の仮面のモデルは、映画学校の怪談2でボスキャラとして登場したからくり人形ではないかと思われる。

※5:例えば、暗号のタイトルを「ななのなぞ」ではなく「井戸・時計 どの暗号」にしておけば、一見すると七不思議の「血に染まった井戸」か「死を刻む大時計」に関する内容だと思わせられるし、続けて読めば「緯度と経度の暗号」になるから、暗号解読のヒントにもミスリードにもなる、ダブルミーニングのタイトルとしてピッタリではないだろうか?

※6:ただし、青山の死体を除いた六体の死体はバラバラの場所ではなく一箇所にまとめて埋められていたため、原作のようにわざわざ死体の埋められた場所に合わせた七不思議を的場先生は広めておらず、教師として潜入する以前から不動高校に伝わっていた六不思議を利用したということになっている。

 

※(2022.05.11 追記)

先日Twitter の方でフォロワーさんからDMをいただき、放課後の魔術師」の仮面とそのトリックに関する仮説について意見を頂戴した。それが実に興味深いというか面白い仮説だったのでここで紹介しつつ、私の考察も含めて再検討したいと思う。

フォロワーさんの仮説によると、はじめが剣持らの前で犯人のトリックを実演した際に利用した仮面と衣装は、(映像や状況から見て)犯人が隠していたものをはじめが見つけて利用したと考えられる。ということは、犯人は重要な証拠物件を雑に隠していたということであり、雑に隠していたということは、警察に見つかっても問題ない、いやむしろ犯人は「放課後の魔術師」の仮面が見つかる可能性を見越して今回のトリックを仕掛けたのではないか?…というのがフォロワーさんの仮説である。

 

つまり何が言いたいかというと、的場先生は通常の仮面(以下、仮面A)とは別に、鏡のトリック用に左右を反転させた仮面(以下、仮面B)をもう一組用意しており、桜樹殺しで鏡のトリックをはじめたちの前で見せた時は仮面Bを用いた。そして仮面Bは見つからないようどこかに隠して、仮面Aをわざとわかりやすい場所に隠しておく。そうしておけば、警察が仮面Aを発見し鏡のトリックを見破ったとしても、仮面が左右逆転していなかったことを論点にして自分に鏡のトリックは使えなかったと反論することが出来るのだ。

 

しかし「劇中の的場先生は反論していないじゃないか」と突っ込む人がいるだろう。それも当然、仮面が左右逆転してなかったことを示す客観的証拠(映像及び写真)がなかったからだ。

恐らく的場先生は佐木が撮影オタクであることを知っており、彼の趣味・性格をトリックに利用しようとしたのではないだろうか?※7ミス研の全員を呼び出せば、佐木も当然呼び出しに応じるし、開かずの生物室の一幕もキチンと撮影・録画してくれるとにらんだからこそ、上記の計画を考案し実行に移したと考えられる。ところが、的場先生の期待に反して佐木は宿直室に待機しており、実際に開かずの生物室の一幕を目撃したのは立花・美雪・はじめの三人だけだった。それで結局客観的証拠となるはずだった佐木の撮影映像が残らなくなり、的場先生は反論出来なくなってしまった。そう考えられないだろうか?

 

はじめの推理では、今回の桜樹殺しは突発的な殺人だと言っていたが、以上の仮説を踏まえると、実ははじめの推理は間違っていたのではないかと私は思っていて、桜樹を殺した後に急ごしらえで考えたトリックなのに鏡文字の生物室のプレートを用意していたというのは余りにも準備が良すぎると思うし、桜樹を殺した時に的場先生は放課後の魔術師に変装していたのだから、やはり突発的とは考えにくい。※8

これについて私が推理するなら、実は鏡のトリックは桜樹殺害前、少なくとも佐木がミス研に入部した頃には完成していたのではないかと思っている。原作の的場先生と違い、今回のドラマにおける的場先生は死体隠蔽のため容赦なく青山を殺した男だ。それくらいの覚悟がある彼なら、将来第二・第三の青山が現れることを見据えて殺害後のアリバイトリックを予め考えておいたとしてもおかしくはない。桜樹に関しても殺害当日以前からマークしていたと考えた方が自然なので、今回のリメイク版に関しては突発的な犯行でもアドリブで考えたトリックでもなく、ある程度の計画性をもって行われた犯行だと推理する。

 

という訳で、フォロワーさんからいただいた仮説に私の推理も加えてドラマの「別解」を考察したが、実をいうとはじめが剣持らの前で実演したトリックでも鏡に映った虚像の仮面は左右逆転していないので、厳密には上記の仮説も成り立たない(=単なるドラマ制作陣のミス)のだが、本格ミステリにおいて別解を考察・推理することは大事だしミステリ好きとしてはこれも楽しみの一つなので、紹介させていただいた。

 

※7:真壁のゴーストライターの件で佐木が的場先生に相談に行ったことからしても、両者の関係が疎遠でなかったことが推察されるし、的場先生も佐木の趣味について知っていたと考えるのは不自然なことではないと思う。

※8:鏡文字の生物室のプレートは、生物室のプレートを写真撮影し、そのデータをパソコンで読み込んだ後に鏡文字として左右逆転させたものをプリンターでプリントアウトすれば作れるので、桜樹殺害後に準備しようと思えば出来るのだが、美雪たちが到着するまでにそれが準備出来たか考えてみたい。

桜樹が真壁と別れた時にミス研の部室の時計は午後6時50分を指し示していたから、桜樹が青山の白骨を発見し暗号を作成した後に殺されたことから見て、死亡したのは少なくとも午後7時半前後ではないだろうか。10時にトリックを実行することを考えると、ざっと2時間半以内にトリックの準備が出来ていないといけない(ちなみに、美雪たちがミス研の部室に到着したのが午後9時50分頃)。それだけあれば儀式に必要な道具の準備と鏡文字の「生物室」プレートの印刷は可能だが、左右逆転させた仮面は2時間半で複製出来るとは思えないので、結局仮面の存在が鏡のトリックのアドリブ説を妨げるのだ。元から左右逆転させた仮面があったという可能性もゼロではないが、それを言ったら何でもアリになるような気がするので、私はあくまでもアドリブ説は否定するつもりだ。

 

さいごに

五代目の初回を飾った「学園七不思議殺人事件」は(前述した通り)世界観や旧校舎の空気感といった面では非常によく作りこまれていた一方、ミステリとして矛盾点や問題点が多く、30分拡大の1時間半で放送するのではなく、SPドラマとして2時間くらいの尺で映像化していればキャラ設定の描写も充実したものになっていただろうし、ミステリとしても上手く出来ていたのではないかと思ってしまう。海外へ配信するドラマであり、過去シリーズの集大成・決定版として制作することをアピールしたのだから、そこはドラマとしてもミステリとしても質の高い作品を期待していたし、今後の課題点としてやはり甘く評価する訳にはいかなかった。ご容赦願いたい。

 

まだ初回なので道枝さん演じる金田一はじめや他レギュラー陣の特色は見いだせなかったが、これはこの先注目していきたい所として今回はあまり触れないことにする。

ただ今回の「学園七不思議」だけの話になるが、はじめの感情のベクトルは殺された桜樹先輩や襲われた美雪よりも、警備員の立花に向かっている部分が多い印象を受けた。原作では桜樹先輩とはじめは言葉を交わしており、自分のことを評価してくれた彼女が殺されたことに加え美雪が瀕死の重傷を負った。そのことにはじめはショックを受けたと同時に犯人に対して怒りを覚え、犯人とそのトリックを暴いている。

しかし、今回のドラマでは桜樹先輩とはじめとの間に接点がなく、美雪も襲われたとはいえ早々に回復したため、ショックは多少なりとも受けていただろうが原作ほどではなかったと思う。むしろ、日ごろから親のように自分のことを叱ってくれたツンデレ気質の立花が実は娘の失踪の真相を知るため学園に警備員として潜入し、敵討ちの機会をうかがっていたという彼の知られざる顔に強いショックを覚えたのではないだろうか。

原作のはじめは真相を皆の前で語るより前に立花が青山ちひろの父親であることを薄々勘付いていたのに対し、ドラマのはじめは犯人とトリックの推理に意識が向いていて立花は完全にノーマークだったから、よりその衝撃も強かったと思われる。今回のドラマが原作ともアニメとも、そして初代とも違うのは、尺の問題もあるがはじめの感情のベクトルの向かう方向や大きさだったり、何にどれだけショックを受けたかという違いも大きく影響していると私は考えている。

 

 

さて、次回はリメイクではなく新作「聖恋島殺人事件」が2週にわたって放送される。既に原作は読んでいるが、「聖恋島」はハウダニット、つまりトリックに力の入った作品であり、フーダニット(犯人当て)に関しては比較的わかりやすい作品なので、未読の方はドラマを見て推理するのが良いかもしれない。

「探偵が早すぎる」シーズン2感想 #2(事故死に見せかける気あるのか順三郎ォ!!)

前回もツッコミ所はあったけど、今回はもっとツッコミ所満載なのでバンバンツッコミます。でも、酷評とかではないよ?面白いことは面白いから。

 

(以下、ドラマのネタバレあり)

 

2話感想(エタノール発火)

今回は一華が勤める化粧品会社に潜入した美津山四兄妹の三男坊・順三郎が暗殺計画を仕掛ける。順三郎は四兄妹の中でもバカにされ見下されるキャラであり、そんな彼が兄・姉たちを見返そうと発起したがやはりバカが考える計画だな~と思ったよ。

 

順三郎の計画は、一華が仕事で着ている白衣に多量のエタノールを噴霧し、可燃性の衣類として下準備しておく。そうして清掃業者として侵入し、一華がこれまた身に着けている天然水晶のブレスレットを火打石として利用することで、白衣に着火させ焼死させるという計画だった。※

ドラマ本編を見た方ならおわかりだと思うが、火災が起こっていないエントランスホールでいきなり人体発火が起こり人が死んだらどう見ても事故には見えない。この時点で「事故に見せかけて殺す」という前提を無視した計画なのがもうバカ過ぎるっ!

それにね、エタノールって揮発性が高い液体から前日の間に会社に潜入して白衣にいくら噴霧した所で、翌日にはほとんど揮発して白衣に残っていないはずだから焼死させるレベルまで燃えるとは思わないんだよね。

(一応これでもタリホーは前勤めていた会社でエタノールを扱ったことあるから取り扱いとか特性は知っているよ)

劇中で「特殊なエタノール」と言っていたから、多少加工して揮発性を弱くした可能性はあるだろうが、それでも臭いの問題はクリア出来ない。エタノールは無臭の薬品ではないし、焼死させるために多量に使えばそれだけ臭いも目立つから、その点もガン無視で計画しているのが何だかな~って思った。

 

※今回のように水晶をはじめとする物質に圧力を加えると圧力に比例した分極が現れる現象を圧電効果と呼ぶ。ちなみに、千曲川ピエゾ効果と言っていたが、別名であるだけで内容自体は同じ。

(2022.04.28 追記)

 

千曲川のトリック返しについては、噴水に大量のウォッカを流し、水だと思い込んでウォッカ浸し状態になった順三郎に火を放つというもの。ウォッカも酒だから臭いはあるのでは?と思ったが、基本的にウォッカは無味無臭でクリアな味わいらしいので、順三郎が油断して引っかかったのも別にドラマの都合でそうなった訳ではなさそうだ。

liquorpage.com

それに、低温でもアルコール度数が高ければ発火はするので、その点でもウォッカを利用した千曲川の方が一枚上手だったと言えるだろう。

 

タリホーならこうして暗殺する

今回の暗殺計画は問題点がいくつかあったが、ポイントとしては

①人目の問題(大勢の人の前でいきなり人体発火は不自然)

エタノールの揮発性の問題(前日に白衣に噴霧しても揮発して意味がない)

エタノールの臭いの問題(殺傷するだけの量を使えばそれだけ臭いも目立つ)

と、主に3つの問題が挙げられる。

この問題点をクリアして、なおかつ順三郎と同様にエタノールを利用した暗殺をするならどうするか。

 

まず私なら、化粧品会社を舞台にせず、一華が通勤していた公園沿いの道路を舞台にする。そして肝心なのは大雨が降った翌日に実行することだ。

何故大雨の翌日に実行かと言うと、雨の日の翌日には道に水たまりが出来るでしょ?その水たまりをエタノールが溜まった水たまりにするのだ。勿論、揮発性のことも考えて、一華の通勤(或いは退勤)時間からそう遠くない時刻にエタノールの水たまりを作っておく。この時、水たまりを一華が避けないよう水たまりのサイズや深さに注意して作る。(当然作る所を見られないように!)

そうして作ったエタノールの水たまりに一華が入った所で燃えたもの、例えば吸いかけのタバコなんかを放りこめば一気に水たまりは火の海となり燃え上がるのだ。

ただ、服にまで引火させるのは難しいと思うから事前に靴や衣類を引火性の素材にすり替える(または引火性の衣類を着させる)といった細工も必要となる。また、事故死に見せかけなければならないので、不法投棄に見せかけてエタノールの容器をそばに転がしておくことも必要だろう。

 

あと臭いの問題はどうするかと言うと、これは化粧品会社で異臭騒ぎを起こせばクリア出来ると思う。今回の順三郎のように会社に潜入して異臭を放つもの(出来るだけエタノールに近い臭いのものが良い)を置いておき、暗殺を決行する当日に一華の身体にその異臭がかかるようにする。そうしておけば、退勤時エタノールの水たまりの近くまで来たとしてもその臭いが自分の身体に染み付いた臭いだと誤解してそのまま水たまりに入るだろうしね。

 

以上の暗殺計画を要約すると、

①場所は一華が通勤する公園沿いの道路

②日時は大雨の降った翌日、一華の退勤時を狙う

③事前準備として会社内で異臭騒ぎを起こし、一華に引火性の衣類を着用させる

④退勤前にエタノールの水たまりを用意し、一華が水たまりに入った所で吸いかけのタバコを放り込む

→一気に水たまりが火の海となり焼死。不法投棄されたエタノールがこぼれ、運悪くタバコが引火したことによる事故として処理される

完璧ではないにせよ、これなら順三郎の計画よりはボロが少ないと思うが、どうだろうか?