タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

ナンバMG5ざっくり感想 #3(親からの「祝い」が子にとっての「呪い」)

間宮さん主演のドラマに「真宮」というキャラが登場しました。これは正に、

www.youtube.com

 

3話感想

ナンバMG5(7) (少年チャンピオン・コミックス)

今回は原作6~8巻までのエピソード。夏休み終わりから秋にかけて、剛は伍代と伍代の旧友・真宮との諍いに干渉したり、千鳥商の大丸大助と関わることになる。

ドラマでは描かれていないが、実は原作で難破一家は商店街のくじ引きで当たったハワイ旅行に行っており、ハワイで極悪非道の限りを尽くすブラッドリー兄弟をやっつけるというエピソードがあった。このエピソードでは、剛だけでなく兄の猛も活躍するので、興味ある方は是非原作を読んでいただきたい。

 

ドラマの内容に関しては大体原作通りだが、作中で起こった出来事が若干入れ替わっており、原作で剛が大丸と初めて出会うのは伍代と真宮の一件が解決した後になっている。ドラマでは大丸との出会いが早まっているが、そのおかげで剛は美術部部長からの信頼を失った直後に大丸から誤解されぶん殴られるという、原作以上に泣きっ面に蜂な思いをする羽目になった。この辺り、可哀そうと言えば可哀そうなのだが、間宮さんの声の演技が活かされるという点ではナイスな改変だったのでグッジョブ!

 

さて、今回のメインとなる伍代と真宮の確執については、以前日本テレビで放送していた「ごくせん」(第一シーズン)でも似たようなエピソードがあったので割と不良漫画ではポピュラーなプロットなのかな?と思いながら視聴していた。

そういや伍代って「ごくせん」の沢田に近いキャラだし、真宮が抱えるコンプレックスや境遇は同じく「ごくせん」9話で塚本高史さんが演じた黒崎に似ていたと思う。それだけ親や先生といった人々から受けた呪いや、それに縛られ悪の道へと堕ちる展開は普遍的なテーマとして人々の共感を得るということなのだろう。

 

個人的に今回のエピソードで伍代が何故不良の道に進んだのか何となくわかってきた感じがする。当初は規範的な親に対するアンチテーゼとして不良の道に走ったのかと思ったし、それが彼のメインとなる動機なのだろうが、殊更に群れず一匹狼で市松の中にいるのは、勿論周りの奴らがろくでもない連中だというのは当然として、旧友の真宮を魔道から救い上げられなかったことに対する後ろめたさや負い目があったからではないかと思う。それがあるから新たな関係を育むことに抵抗感があったり、同じ過ちを繰り返してしまうことを恐れ、つい剛と一線を引いてしまったのかなと考えている。

それに、不良から足を洗い普通の高校生活を歩むことが伍代にとっては真宮を裏切る行為だったのかなと思わされる所もある。上から釣り上げるようにして真宮を救い上げることも出来るっちゃ出来るのだけど、自分がそばにいたことで真宮が周囲から比較されたという責任もあるから、同じ不良のレベルに敢えて堕することで共に階段を上る感覚で救い上げたかったのかもしれない。そこは伍代なりに真宮のプライドを傷つけないよう考えていたと思う。

 

今回は剛が抱える「呪い」を伍代や真宮を通してより普遍的なものとして描いた回だったが、真宮に差別発言をしたあの先生は論外として、親や家族からの期待や「祝い」としての景気づけが剛には「呪い」になっているというのが今回は特に如実に表れた回だった。そこに大丸の純真さだったり、伍代の良心といった、本来ならプラスに働くはずの感情が剛の首を絞める結果になるというのが、もう運命のイタズラという感じでね…。そうでなくてはドラマにならないのだけど、やっぱり可哀そうだよ。