タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

うかつに感想を書けないんですよ…(霊媒探偵・城塚翡翠 #1)

今期放送されるミステリ系のドラマで最も注目していた霊媒探偵・城塚翡翠をリアタイ視聴した。

medium 霊媒探偵城塚翡翠 (講談社文庫)

原作は2019年に刊行された作品で、その当時のミステリランキングを5冠も獲得して話題になった。ただ私はその当時本作を読んでおらず、ドラマ化の報を聞いてようやく読んだクチである。

率直に原作を読んだ感想を言うと、確かにミステリランキングに入るだけの仕掛けは施されているし、ミステリ小説のビギナーならば間違いなく驚くだろうと思うが、正直あまりハマれなかったかな。細かい所でも引っかかるポイントはあるし、正直玄人向けのミステリとしておススメはしにくい。

 

あと本作の厄介なポイントとして、作品の魅力を伝えづらいというのも挙げられる。というのも本作の核となる魅力を伝えてしまうと原作未読の方でも今後の展開が読めてしまう恐れがあるのだ。それほど本作はプロットと謎解きが密接に関わっていると言っても良い。だから謎解きに関しては下手に感想を書く訳にもいかないし、かと言ってそれを除いたらあとは登場人物のこととか、実に表層的な部分を拾って書くしかないので、そういう点でも本作は書評家泣かせの一冊だろう。

 

「泣き女の殺人」

初回は原作の第一話「泣き女の殺人」。霊媒師・城塚翡翠と推理作家・香月史郎が出会う切っ掛けとなった事件で、香月の大学時代の後輩・倉持結花が自宅マンションで何者かに殺害される。

今回の事件では被害者が生前に見た「泣き女」の怪異が推理の出発点となっており、翡翠の降霊と併せて香月は犯人を暴き立てる…というのがあらすじだ。

 

もう既にドラマを見た方、特に原作未読の方は「え、これが5冠をとったミステリなの?」と思っただろう。そう、今回の謎解きだけを見るとそう思うのも無理はない。また、犯人特定の過程というかネタが(当ブログでも紹介している)某ミステリ漫画のトリックとほとんど同じなので、そこに既視感を覚えた人もいたはず。

※実際にTwitterではそういったツイートをしている方が複数名いました。かくなる私もその一人…。

 

ただ当然ながら本作は5冠をとったミステリなので、今回の事件だけで評価を下すのは早計だ。あまり色々言うとネタバレになりかねないので、オブラートにオブラートを包むような表現をすると、初回の放送を録画しておいた方はラッキーだ。そして2話以降も録画残量に余裕があるならしておいた方が良いだろう。ドラマの制作陣が原作と同じ展開にしているのであれば…の話になるが、今回のドラマは原作者の相沢沙呼氏が脚本協力をしているみたいなので、原作のプロットから大きく外れるような改変はしていないだろうし、だとすれば今回劇中で映ったアイテムや出来事・描写もちゃんと活かされるはずだから、後で「え、そうだったっけ?」ってならないように録画しておいた方が良い。

 

ということで、初回の感想はこれにて。何度も言うが、ホントに感想を書くのが難しい作品なのだよコレ。うかつに匂わせ的なことを書いたら今後の展開が読めてしまうレベルのデリケートさがあるし、原作本の惹句である「すべてが、伏線」というのも勘が鋭い人には先の展開を予想させてしまう危険性があるので、原作未読の方はあまり深く考えずに視聴することをおススメする。