タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

「探偵が早すぎる」シーズン2感想 #9(変人との縁)

一華の周りには変人しか集まらないの。そういう定めなのよ。

 

(以下、ドラマのネタバレあり)

 

9話感想(黒幕登場…と思いきや?)

前回宗介が刺客が仕掛けた鉛成分入りのワインを飲んで中毒症状を起こし病院送りになったことで、一華と千曲川の関係に亀裂が入り、一華は千曲川との契約を解消する。こうして守りを失った一華はまた新たな刺客によって殺されそうになる…というのが今回のあらすじ。

 

刺客が暗殺に選んだ場所はお寺ということで、シーズン1で使われなかったトリックがここで消化されるのかな?とも思ったが、今回もオリジナルのトリックだった。

刺客が仕掛けたトリックの一つ目は看板落下トリック。寺の門にかかった200キロもある看板を支える鎖を腐食液で劣化させ、看板を落下させるための手動ワイヤーを装着することで、ターゲットが門に入る瞬間を狙い看板を落とし、金属疲労による事故に見せかけて殺すという計画だ。

 

ただ、正直映像を見る感じだとあんな木製の看板が200キロもあるとは思えないし、そんな重い看板があのようなしょぼい鎖で固定出来るはずがないので、そこは「嘘くせ~」と思いながら見てたが、仕掛けの取り付けのため監視カメラを故障させたのが仇となり千曲川にバレて未遂に終わった。(この時の一休さんコスプレが何気にツボだった)

 

次いで刺客が仕掛けたのは火縄銃を利用した射殺トリック。夜の間に火縄銃に火薬を詰め弾丸を仕込んでおくのは当然として、直接銃に触れずにどうやって弾を発射させるかが問題となるが、超高出力のレーザーポインターを火縄に当てて発火させることで暴発に見せかけ殺すという手段をとっている。

このトリックは海外の某古典ミステリを彷彿とさせるものがあり、これは素直に良かったかな~と思う。ちなみに、その「某古典ミステリ」は当ブログの別記事で紹介しているので、興味ある方は読んでみてはいかがだろうか。(今から約2年前に読んだ短編集に載ってるよ)

 

以上、今回は宗介の助けを借りながら千曲川は事件を未然に防ぎ、遂に黒幕を暴いたが、その正体は大穴候補だった宗介の許嫁の奈々。結婚に乗り気でない宗介が一華を気にするような行為をとるため、嫉妬から彼女を排除しようとダークウェブ上に暗殺の募集をかけたようだが、既に予告を見た方ならご承知の通り、彼女が真の黒幕ではない模様。

7話の感想記事でも述べたと思うが、奈々が黒幕だとすると直接出会う前に一華のことを知っていた訳であり、直接会ってもいないのに嫉妬の感情なんて起こるかな…?とそこが疑問だったが、真の黒幕がいたとすれば一華のことを奈々に言いふらしていたと説明がつくし、そうやって扇動させることで自分は手を全く汚すことなく一華を殺せる。

 

そうなってくると怪しいのは一華の身近にいた人物で彼女の人となりをある程度知っている人物になる。失踪中の宗太は彼女を殺した所で利益を得ることはないので除外しても良さそうだし、大谷も同様の理由であり得ないと思う。そうなってくると真の黒幕は宗介か葉子のどちらかになるが、個人的には葉子が真の黒幕だと予想する。

今回の終盤宗介が奈々に言った「あとは俺に任せろ」が引っかかるものの、最終回で宗介が黒幕でしたというオチは流石にこのドラマにしてはビター過ぎる結末になるし、一華も人間不信に陥りそうだからそれはやめて欲しいと思ったので、個人的な希望を込めて彼は黒幕でないと判断した。

葉子は黒幕編の当初から被害者側として立ち振る舞っているが、あれも敢えて奈々を煽って自分を襲わせたと解釈出来るし、一見すると一華を殺して利益を得る人物ではないが、実は彼女も兄の宗介に恋愛感情を抱いていたとしたら、一華は邪魔な存在となる。だから同じ恋敵の奈々をけしかけて一華を殺させ、奈々も後々排除しようとしていたという仮説は立てられるのではないだろうか?

 

ひねくれた仮説になるが、加害者が被害者を装うというミステリの定石と、一番黒幕っぽくない人物というメタ的な推理もあわせて考えれば、やはり葉子が黒幕としか考えられない。まぁ、外れたとしても最終回で納得のいく答えが提示されれば良いので、とにかく次回を楽しみにして待つよ。