タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

「探偵が早すぎる」シーズン2感想 #5(生命力がドロンボー並みなんよ)

今回は別の意味でビックリしましたよ。

 

(以下、ドラマのネタバレあり)

 

5話感想(お前ら、人間じゃねぇ)

物語の中盤に差し掛かり、今回は美津山四兄妹の最後の一人、長女の成美が毒殺トリックを仕掛けるが、事態は私も予想していなかった展開へと進む。

成美の計画はサッカーの日本試合の時節を利用し、フェイスペインティング用の塗料に大量の酸化カドミウムを調合、大谷経由で一華の肌に塗られた塗料が乾燥することで、彼女がその粉末を吸引、カドミウム中毒になるという流れだ。

一応カドミウムについて説明しておくと、劇中で述べられたように急性中毒を引き起こした場合間質性肺炎肺気腫によって死亡することもあるが、慢性的な中毒の場合、腎機能に障害を与え腎不全になったり、骨がもろくなって骨折しやすくなるといった症状が出てくる。四大公害病の一つであるイタイイタイ病も原因はこのカドミウムなのだ。

 

例によって今回も計画は失敗に終わるが、何と今回は一華がトリックを見破ってしまうという、シーズン1でもなかった展開になっていたのでこれはちょっと予想外だった。前回大谷が刺客かもしれない疑惑千曲川に植え付けられていたからいち早く気づけたのもあるが、日光にかざすと黒く変色する特性を一華が知っていたのがやはり大きい。一華は化粧品会社の研究員として働いているので、薬品・化学物質の知識があるのは当然だし、これまでの経験から直接肌に触れるモノに何か毒が入っているのではないかと疑うのもこれまた当然のことだ。

実をいうと公式HPでは成美も化粧品会社に勤務していることが記されている。つまり、一華と成美は同業者だったのだから、そりゃトリックも見抜かれる訳であり、成美も同じ専門分野のトリックを使うなよとツッコミたい。このバカさ加減は金田一少年の「黒死蝶殺人事件」に登場した犯人と同じレベルだと思ったよ。

 

毒入りペイント塗料を持ってきたことにより大谷は橋田から尋問されることになったが、それによって大谷の刺客疑惑はなくなり、前回の金の受け渡しも江本の金銭事情を支援したというだけの話だった。

そうだよね、前回の記事でも指摘したけど暗殺の報酬にしては封筒が薄い=金額が少ないし、そんなヤバい金を会社の廊下で渡すとは思えなかったので、これに関して美津山四兄妹に雇われた刺客でないという私の予想は当たっていた(黒幕の刺客という線は外れたけど)。

 

そして、まさかの美津山四兄妹完全復活(成美は病み上がりかな?)

いやいや…えーと確か次男(二郎)は硫化水素ガスを吸って病院送りになったし、三男(順三郎)はウォッカの噴水で全身やけどを負い、長女(成美)は急性カドミウム中毒で病院送りになり、次女(明日香)は毒キノコ+毒草を配合した毒液を飲まされ病院送りになったのに?特に大きな後遺症とかもなく復活?

おまえらドロンボーかよ。

順三郎とか全身やけどのはずなのに肌ツヤツヤだったし、二郎も明日香も呼吸器とか他の臓器にダメージがあってもおかしくないのに、何でそんなピンピンしてるの?ホントに人間なのかお前らは。

結局四人が復活した上に、秋菜未亡人が急死。遺産の行方が一華ではなく当初の予定通り宗介・葉子兄妹に渡ることを知った四兄妹は、遺産目的+口封じのため宗介・葉子・一華・千曲川の四人を暗殺することを決意。ということで、次回以降はこれまでの個人戦ではなく4対4の団体戦な展開になると予想されるが、ここで疑問点を挙げておきたい。

 

①ホントに秋菜は死んだのか?

正直これは鵜呑みに出来ないポイントだ。今回の冒頭で千曲川と何か密談を交わしていたことから見ても、偽装死の可能性は高いし本当に死んだとしても何も後事を託さず死亡したとは思えない。次回は千曲川がトリックに引っかかって病院送りみたいな予告があったけど、これも含めて美津山四兄妹を油断させようとしている意図があるようにしか思えない(計画の全容までは流石にわからないけど)。

 

②結局黒幕はいないのか?(敵は美津山四兄妹だけなのか?)

美津山四兄妹の復活により前回の黒幕宗太説や宗介説がだいぶ揺らいできたが、初回から何度も言っているように、敵として美津山四兄妹はシーズン1の大陀羅一族よりも明らかにスケールダウンしているし、これまで仕掛けたトリックもあまり巧妙さを感じられない。明日香は良い線を行っていたけど、二郎は微妙な所も多いし、順三郎と成美に至っては事故死に見せかけられてないわトリック見破られているわで散々な出来栄え。これで後半戦リベンジマッチだと言われてもトリック的にも物語的にもシーズン1の大陀羅一族を超えられるのか、正直疑わしい。

これでこのまま最終回まで美津山四兄妹が敵だとしたら、ドラマとしては面白いがミステリとしては明らかに質が下がったと評価せざるを得ないのだが…。

 

③宗介のこれまでの怪しい動きに意味はあったのか?

他の視聴者もそれなりに疑っていると思うし、これから彼の行動の真意みたいなものが明かされていくのかもしれないが、敵側であるはずの明日香を介抱しようとしたり、一華が拒否したフェイスペイントを何故かわざわざ進んで塗ってくれと言ってきたり、彼の行為には不可解というか納得のいかない部分が多い。

単にミスリード要員かもしれないし、一華・大谷・宗介の三角関係を成立させるためのキャラとして配置されているだけなのかもしれないが、この辺りの疑問に対するアンサーがこの先描かれるのかどうか気になる所だ。