タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

ナンバMG5ざっくり感想 #6(執着する男・執着を断つ女たち)

今回のロケ地、間宮さんの地元だそうですね。しかも1月期のドラマ「ファイトソング」でムササビを披露した場所みたいですから、黒ムササビが赤特服となって舞い戻る、何ともカオスな話になったようです。

 

6話感想

ナンバMG5(16) (少年チャンピオン・コミックス)

今回は原作未読で感想を語っていくが、調べた所によると15巻から描かれる横浜魔苦須編を映像化したようで、ドラマは1話で解決したものの、原作はなかなか苦戦する展開になっているようだ(剛がビルから落とされるとか書いてあったし)。敵役の加納光一もドラマでは「101匹わんちゃん」のクルエラみたいな男だったのに対し、原作の加納は上の画像のような拳闘士ばりの筋骨隆々の男だ。そりゃ苦戦するのも無理はないな。

あとドラマは千葉制覇の下りがあっさり描かれているが、原作は千葉制覇に至る前に芹沢という男と色々あったようなので、もし気になる方は原作を読んでみてはいかがだろうか。

 

さて、横浜での写生大会で剛は横浜のレディース集団「横浜魔苦須」と「ケルベロス」との抗争に巻き込まれ、はからずも横浜魔苦須から特服先生と呼ばれ助太刀する羽目になる。火中の栗を拾うのはいつものことだが、今回は「執着」が一つのテーマだった気がする。

恋愛ドラマなんかだと女性の方が一人の男性に未練たらたらでストーカーまがいのことをするといった定番の流れがあるが、現実では男性の執着だって馬鹿にならないくらいあるし、DVやストーカー殺人は力のある男性が引き起こす事件だ。彼らは「愛」とキレイに言おうとするが、大抵それは執着だったり支配願望の裏返しに過ぎない。

特に今回は加納が執着の鬼として描かれ、元カノの牧野を引き戻そうと暴力をはたらいた。そして加納の執着と対比的に横浜魔苦須の解散が描かれたことで、執着する男と執着を断つ女という構図が生まれ、物語の構成としてうまい着地をしていたのではないかと思う。バトル描写が簡素化されても物語のテーマ性が損なわれないという点でこれはホントに賢明な判断だったと評価したい。

 

執着というのは加納に限らず、誰だって多かれ少なかれ持っているものであり、それすらないと前回の陣内みたいな人間になってしまう。かと言って執着し過ぎるのも良くないのは大体の人ならわかることで、それこそ横浜魔苦須のように落ちぶれることもないが進展もない、ずーっと同じ状態がループするような日々を繰り返し続けた挙句、時代の流れから取り残された廃墟のような存在と化してしまう羽目になる。

何にこだわり何を断ち切るか判断することの必要さと難しさもこの物語では描かれているし、他ならぬ剛の兄・猛も執着という点ではどの登場人物よりも自分の喧嘩人生に執着している男だ。今回横浜で剛の話を盗み聞きしてしまった猛にとって、剛の言葉は自分の執着するものを否定する言葉ともとれるし、現に猛は仕事に就かず人生としては関東制覇から時間が止まった状態なのだから、全くの的外れな言葉ではない。それだけに猛にとってはショックな一言だったに違いないと思う。

まぁ、剛にしてみれば別に兄の生き様を否定するつもりは当然ないが、短絡的に捉えれば否定されたと受け止められるし社会的に見たら兄の生き方の方が問題アリなのだから。そこは仏教にもあるように諸行無常を受け入れるしかない、ということだろう。

 

ただ、「諸行無常」は剛だって同じこと。悪いことがずっと続かないように、良いこともずっとは続かない。剛の二重生活もこれまでは何とかなったけど、次回からは原作「ナンバデッドエンド」に移り、剛の二重生活に大きなヒビが入ってくる。前に無料お試し版で読んだけど、半分近くは忘れているので次回以降どうなるか、楽しみである。