先週と先々週の西洋テイストから一変、今週は独特のカオスさが趣深い「かまぼこ」のアニメ化。先週予告した通り、タリホーはかまぼこを購入し、食べながら視聴したぞ。
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— タリホー (@sshorii10281) 2019年6月1日
半魚人と「かまぼこ」
57話ゲスト妖怪「半魚人」
— タリホー (@sshorii10281) 2019年6月2日
原作「かまぼこ」に登場。鬼太郎に食事を邪魔された腹いせに子分の大イカに鬼太郎を喰わせるが、鬼太郎は大イカの脳を支配して一命をとりとめる。しかし元の姿に戻れなくなった鬼太郎を利用して大量の魚をとらせ、その魚でかまぼこを作り富を得た。#ゲゲゲの鬼太郎 pic.twitter.com/LoJvlbfFsw
※正しくは“58話”ゲスト妖怪です。
アニメでは2・3・4期に登場するが、3・4期はほぼオリジナルの物語で、原作通り鬼太郎がかまぼこになる物語は2期と6期のみ。ちなみに3期では人間の娘に恋をし、4期ではぬらりひょんの陰謀に加担するという役どころ。
さて、この「かまぼこ」は鬼太郎シリーズ屈指のカオスな物語。妖怪を退治する定型から外れたストーリー展開に加えて、一つの物語の中で鬼太郎が三変化もするというのだから異色中の異色と言って良い。
改めて原作のあらすじを説明しよう。
あてもない旅を満喫していた鬼太郎は、浜辺で人ならざる叫び声を聞く。叫び声を聞いた鬼太郎が駆けつけると、まさに今ウミガメが半魚人に食べられようとしている所だった。鬼太郎はウミガメを逃がすが、食事の邪魔をされた半魚人は子分の大イカを呼び出し鬼太郎を食わせた。しかし鬼太郎は大イカの身体を乗っ取り、元の姿に戻せと詰め寄る。すると半魚人は元の姿に戻す代わりに魚をとるよう命じた。鬼太郎イカがとってきた魚を原料にかまぼこを作った半魚人は大儲け。鬼太郎イカを元の姿に戻す気などさらさら無く、このまま永久に奴隷としてこき使おうと思っていた半魚人だったが、鬼太郎イカに真意を見抜かれてしまう。そして半魚人は鬼太郎イカをダイナマイトで爆破し、かまぼこにしてしまうのだった…。
以上が「かまぼこ」の前半部のあらすじ。この後鬼太郎は仲間たちの力によって復活。人間の暮らしを楽しんでいた半魚人に怖ろしい復讐を果たすのだ。
長ったらしいあらすじになったが、要は「イカになった挙句かまぼこにされた鬼太郎が復讐のため女装して半魚人宅へ潜入する話」なのだ。
…でもさ、そもそも鬼太郎が食事の邪魔をしなければこんなことにはならなかったはず。人間が食われそうになっていたのならともかく、ウミガメでしょ?食物連鎖の一環みたいなものじゃないか。確かにかまぼこにして売り飛ばした半魚人も悪いけどさ、自分の落ち度を無視してあんな復讐をするなんて、ヒーローのやることじゃないぜ…。というのが原作鬼太郎に対する私の正直な意見。
6期「かまぼこ」、改変部分について
2期はほぼ原作通りの展開だったが、6期ではどうだろうか。大まかな流れはほぼ原作通りだが異なる点が幾つかあった。
1、鬼太郎がイカになる流れ
原作では半魚人の食事の邪魔をしたため大イカに食べられてしまった鬼太郎。この部分だけで言えば完全に鬼太郎の自業自得なのだが、6期は違う。
かまぼこビジネスのため子分の大イカに魚をとらせていたのは良かったが、おつむが弱い大イカは人間の船まで襲うようになった。これに難儀していた半魚人はねずみ男と共謀し、大イカの頭脳として利用するため鬼太郎をおびき出し、深海妖術で大イカと融合させたのだ。これは完全に半魚人が悪いし、あのような復讐に遭っても文句は言えない。
2、鬼太郎がかまぼこになる流れ
原作では鬼太郎イカに問い詰められた挙句の強硬手段の結果、かまぼこにしてしまうが、今回の場合、クジラの襲撃で身体を負傷してしまい魚がとれなくなった鬼太郎イカを深海妖術で爆破させかまぼこにしたのだから100%半魚人が悪い。
3、鬼太郎かまぼこ購入の流れ
原作では街を歩いていた砂かけ婆が鬼太郎かまぼこを発見したのを切っ掛けに、妖怪仲間がお金を持って鬼太郎かまぼこを買い占めに行くという流れ。今更だけど、凄くハードな捜索活動だよな。だってどこまで流通しているかわからない鬼太郎かまぼこを全部回収しなければいけないのだし、個人宅までかまぼこが行ってしまったら探すあてがなさそうだ。
あ、でも確か砂かけ婆が街で鬼太郎かまぼこを発見したのは、鬼太郎が霊力でおばばを引き寄せていたからだったな。じゃあ、妖怪たちも鬼太郎の霊力が感じられる所を探せば良かった訳だから、案外こちらが想像するほどハードでもなかったかな?
で、今回はというと、原作の捜索活動と資金面での問題がネット通販と砂かけ婆の財テクによって解決されているのが凄い所。1本10万円のプレミアムな鬼太郎かまぼこだが、原料が大イカだと味は大したことなさそう。でもこのプレミアムな価格だからこそ他の消費者に購入される前に一気に100本回収出来たのだろう。
そして砂かけ婆の財テクについて。いや…、初めておばばがコワイと感じたわ。株・不動産・チョビットコイン(ビットコインのことだろう)・タックスヘイブン(租税回避地とも言う)をうまく利用し、1億1千万をポンと出せる財力があるのだから間違いなく過去最高に金のあるおばば。5期の家賃取り立てに必死なおばばとはエライ違いだ。そういや9話の河童回で「世の中にはお金よりも大事なものがいくらでもあるんだよ!」とねずみ男に対して言っていたおばばだが、これって清貧という立場ではなく潤沢な資金を持っている立場としての発言だったということになるよね。何だか当初聞いた時に比べて言葉の裏にあるニュアンスが大分変わってくるな…。
4、半魚人凋落の流れ
女装した鬼太郎に唆されて人間になるという下りは原作と同じだが、問題はその後の流れ。原作では人間になってから人間のマイナスポイント、つまり労働の義務・税金の取り立て・老化・死という苦しみがあることを知り、妖怪に戻ろうとするが時すでに遅く、鬼太郎から「おまえは人間になって永遠にくるしむがいい」と言われて物語は終わる。
一方今回はどちらかと言うとお金に焦点をあてた形での凋落となっている。「妖怪に戻れなくても金さえあれば何とかなるわ!」と高を括っていた半魚人だが、一方的にビジネスパートナーを解消したねずみ男からまさかのバイトテロという形で報復を受ける羽目に。この辺りの改変は6期ならではで面白かったな。でも(某感想記事で見かけたコメントだが)ねずみ男のバイトテロなぞバイオテロ並みに危険じゃないか…ww。
蛇足
・劇中で鬼太郎がイカにされた岩場。特徴的な形の岩だったが、どうやら三重県に実際にある獅子岩がモデルっぽい。これは聖地巡礼の場がまた一つ増えましたね。
・今回の話と直接関係ないが、原作「妖怪万年竹」において鬼太郎親子が交わした会話を以下に引用しておく。
鬼太郎「お父さん、不景気ですねえ」
目玉おやじ「バカな!妖怪はいつでも不景気だ。昔から景気のいい妖怪なんていない。いるとしたらオバケだ」
つまり6期の砂かけ婆は正真正銘のオバケ…。
・今回の鬼太郎の女装、初見時は頭身から見て猫娘が変装しているのかな~と一瞬思ったが、かなり手の込んだ鬼太郎の変装だった。あの変装用マスクや衣装もひょっとしたらおばばのポケットマネーからか?
さて、来週は後神がゲスト。公式Twitterではホラー展開をほのめかしていたが、どんな感じになるのだろう。
個人的には5期の後神回が(ホラーという点では)至高だと思っているが、それを超える感じのホラー回になるのか、それとも3期みたいに別方向からのアプローチがあるのか…。