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ゲゲゲの鬼太郎(6期)第63話「恋の七夕妖怪花」視聴

前回予告した通り、今回は七夕でぬりかべメイン回。しかも3期以来の妖怪花回。

 

妖怪花の精&あしまがり

今期では七夕ということもあって笹の精・星華という形に改変されているが、設定は妖怪花の精に準ずる。原作では花粉で人間を操り、ホテルを破壊させることで自分の棲息地を守り、絶滅を阻止しようとしていた。という訳で、限りなく非力な存在なのだが、今期の笹の精はあしまがりを封印した過去があるのだから少なからず戦闘能力は高いのだろう。

 

本来は香川県高松市に伝わる妖怪で、足にからみついて通行の邪魔をする綿のような妖怪。その正体は不明だが、狸の仕業とされている。「まがる」とは香川・徳島・淡路島の方言で「邪魔になる」という意味。

足まがり - Wikipedia

アニメでは2・3期に登場。ただし、3期では「用心棒」と呼ばれており、あしまがりという名称で登場していない(EDテロップも同様)。どうやら「あしまがり」という名前が差別用語っぽいため自主規制されたらしいのだが、元の語源にそんな意味合いはないのでちょっと気を遣いすぎな所があると思うけど…。

今回は人を襲った過去があり、笹林を壊滅させようとした極悪妖怪として登場したあしまがりだが、原作ではホテル破壊の味方についてしまった鬼太郎に対抗するため、ねずみ男が雇ってきた妖怪。しかも「酒をたくさん飲ませてくれる」という条件の下、鬼太郎退治に来た訳だから、あんな風にやられてしまったのはちょっと可哀想な気がしないでもない。黒幕とでも言うべきホテル社長とねずみ男は生き残ったのに、単なる雇われ要員がやられるというのは何か不条理な感じがするな。

 

それはさておき、狸妖怪が「あしまがり」の名で登場したのは実に48年ぶりであり、原作「妖怪花」のアニメ化は33年ぶり。ある意味鬼太郎アニメで日陰の方へ追いやられていたと言ってもよい原作がまたこうやってアレンジされて放送されるのは喜ばしいこと。しかもこれまた日陰に追いやられがちだったぬりかべをメインに据えた回なのだから実に粋な計らいである。

 

ところで…。あしまがりが登場するのは2・3・6期だけだが、あしまがりと容貌が似た妖怪は5期にも登場しており、そちらは化け狸という形で妖怪大運動会の回で活躍している。

更にもう一体、妖怪四十七士の愛媛県代表、隠神刑部狸も挙げられるが、こちらは5期打ち切りの悲劇をモロに受けた妖怪で、登場したのは「劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!」の1シーンのみ。そのため能力等一切が不明だが、打ち切りがなければ、原作「妖怪獣」に相当する回に登場したと思われる。

そういや、あしまがりのモデルとなったイラストは水木先生が描いた隠神刑部狸の絵だった訳であり、実の所ビジュアルとしてはこちらが本家本元とでも言うべきなのだ。それが打ち切りになったのだから、殺生な話だよ全く。

 

笹の花

↑調べたら全体が枯れるのは笹ではなくて竹の花の場合でした。

笹の花は60~120年に1度咲くため、吉凶の予兆だとか、鼠が大量発生するとか、地震の予兆だとか色々噂されることが多い。

そんな笹の花言葉「ささやかな幸せ」。竹の「節度・節操のある」という花言葉に比べると柔らかみのある花言葉だが、今回登場した笹の精の思いと共通していて何だかしんみりとする。

笹林を守ろうとしたのもそこに住む動物たちの生活を守るためだし、ぬりかべに対する思いも人間の私から見れば皆ささやかな幸せ。

花が咲いている間の僅かな時間だけ現世にいられる笹の精との別れは悲しいが、かすかに再会出来る兆しを残した所は、原作の鬼太郎地獄編における鬼太郎母子の別れを彷彿とさせた。

猫娘は来年また会えるとか言っていたけど、笹の花ってそう矢鱈めったら咲く花じゃないから来年会える確率はかなり低そう。織姫と彦星みたいに年1とはいかないけれども、妖怪が生きて来た時間の長さを思えばそんなに長いとは思わないだろうな。

 

その他、雑感

鬼太郎に笹の精が悪者という印象を与えるためだけの工作だから、作業員+ユンボのレンタル料金だけで賄えたという訳か。後で埋蔵金が出たらおつりが来ると思っていたのかもしれないが、ねずみ男も騙す側であるのだからそんな簡単にあしまがりに騙されるなよ…とツッコミたい。

 

この場面、指鉄砲を撃たなくてもあしまがりは気体生物に喰われておしまいだったのにわざわざ撃ったということは、気体生物も撃破する目的があったのだろうな。原作ではあしまがりを喰った気体生物はそのままどこかへ行ってしまうというオチだったけど、今回の気体生物は分離可能な上に落雷攻撃も出来る厄介な敵だから、まぁ英断だったかな?

 

あ、ED変わったね。前シーズンは四将編始動ということもあって地獄テーマの絵だったが、今シーズンは調布の聖地巡礼と過去回のゲストを登場させたポップなテイスト。北島敦や桃山母子は割とはっきり映っていたからわかる人も多かったと思うが、15話のずんべら回に登場した両面イケメンのユウスケ君とか、吸血鬼エリートにさらわれた学生三人は画面奥の方だったからわかった人どれくらいいるのだろう。

個人的には川べりで5期に登場した川男みたいに縮こまっていた狒々・ぬけ首・半魚人(手術後)の三体がツボ。半魚人は自業自得だけど、狒々・ぬけ首は不憫な思いをしたからね。そりゃ縮こまるよね。

 

 

そんなポップなEDが解禁されたのにもかかわらず、来週は人の闇を描いた水虎の物語。5期は河童の方だったから、虎スタイルの水虎は4期以来。原作要素もあるかどうかチェックしないと。