タリホーです。

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【旧作レビュー】映画「ホーンテッドマンション」はガチ勢のこだわりが凄かった

今朝、映画「ホーンテッドマンション」が今年の9月に公開されると聞いた。

 

実はホーンテッドマンションは過去に一度映画化されている。それはちょうど20年ほど前に公開されており、主演はエディ・マーフィー、監督は「ライオン・キング」「スチュアート・リトル」を手掛けたロブ・ミンコフ氏だ。

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2003年版(以下、旧作と呼ぶ)は公開当時奈良の映画館(今は潰れてもうないけど)に見に行ったけど、実は私ディズニーランドのアトラクションに乗る前にこの映画を見て、それから後に東京ディズニーランドに行ってホーンテッドマンションに乗ったんだよね。だからアトラクションより先に映画を見たという比較的珍しいパターンの人間だけど、これが切っ掛けでディズニーのホーンテッドマンションが大好きになって、ディズニーランドに行ったらホーンテッドマンションは最低でも3回くらいは行かないと気が済まない身体になった。

 

新作の公開までまだ半年かかるし、おさらいするには早いかとも思ったが家の収納からDVDを引っ張り出して旧作を視聴した。公開当時私は小学生だったが、今見てもなんら遜色ない出来だし、大人も子供も楽しめる上質なエンタメ作品だと改めて思った。

 

(ここからは一部旧作のネタバレあり)

 

シンプルな物語を支えるガチ勢のこだわり

物語は夫婦で不動産屋を経営するサラ・エヴァースの元に屋敷の売却依頼の電話が入ったことから始まる。屋敷の執事・ラムズリーから訪問を指定された日はちょうど家族旅行の予定とかぶっていたためサラは断ろうとしたが、夫のジムは人生最大のビジネスチャンスだと訪問を了承し、結局家族旅行のついでで依頼主であるエドワード・グレイシーの屋敷に家族総出で赴くこととなる。

しかしこの商談の裏にはある目的が秘められており、ジムとその一家はこの家に隠された秘密と、屋敷に囚われた魂たちにかけられた呪いを解く羽目になる…というのが本作のあらすじだ。

 

ストーリーは映画オリジナルでアトラクションの設定とは全く異なるが、愛の物語として一貫性のあるプロットだったと思うし、エドワードとエヴァース一家の双方の愛が結実するキレイな終わり方だったと評価したい。一応ディズニー映画なので、あまり難解な物語にすると子供が面白くないと感じるだろうし、あくまでもアトラクションをリスペクトした作品なので、やはりメインとして評価すべきはお屋敷やゴーストといったアトラクションの再現性という部分だろう。

 

映画の原案となったホーンテッドマンションはオリジナルであるカリフォルニア州アナハイムのディズニーランドのものを題材にしているため、東京やフロリダのディズニーランドのホーンテッドマンションとは微妙に違う所がある。※1外観にしても東京の方はゴシック様式の館だから、日本人には旧作の再現性はイマイチ伝わらなかったと思う。とはいえ、日本のアトラクションにもいるゴーストが映画でも多数出演しているし、※2ホーンテッドマンション愛がある観客にはキチンと伝わるこだわりが随所に散りばめられている。

 

制作陣のこだわりを知るにはやはりDVDに収録されているメイキング映像が一番だ。劇中では数分で終わってしまうようなシーンにも数々の特殊効果が取り入れられており、それを知ることでより一層映画が楽しめる。

特に私が凄いなと思ったのは墓地のゴーストたちの場面。あの場面はゴースト役が墓地で演技している場面を後でCG加工で幽霊に見せていると普通は思うけど、実際は墓地の場面を撮影してから後でゴースト役を合成するという非常に手間のかかった場面で、背景とゴースト役が不自然にならないようカメラワークにも気をつかっているし、別撮りなのでゴースト役と人間側であるジムの視線を合わせる必要がある。その視線の微調整もこだわりポイントして凄いなと思った。

あとゴーストの特殊効果にしてもCGの力だけでなくガラスビーズ入りの塗料で衣装の模様が光るといった工夫もされており、これに関しては衣装デザイナーのモナ・メイ氏のアイデアが(文字通り)光っていた。

 

映画としてはもう一つ、元々のアトラクションに存在しない納棺堂のシーンが印象的だったが、この場面におけるゾンビはマイケル・ジャクソンのMV「スリラー」のゾンビを手掛けた特殊メイクアーティストのリック・ベイカー氏が関わっている。

イカー氏は「メン・イン・ブラック」シリーズや「グレムリン2」にも関わっている特殊メイクのプロであり、そういう方が手掛けた場面だけあって5分前後のシーンにもかかわらずなかなかの迫力があった。ゾンビ役の役者も「ゾンビの恰好をした人間」にならないよう、棺からの這い出し方や歩き方など「ゾンビ学校」という形式で細かい演技指導があったようで、それも演出に大きく貢献している。

本来のアトラクションにない要素を追加するのは下手をすれば改悪になってしまうが、元々のアトラクション自体あまり緩急のある物語性がないし、家族の連帯や絆を深めるという点では、この追加要素は必要であり映画として個人的には評価したい所だ。

 

※1:例えばゲストを見つめてくる大理石の胸像は、東京ではライドに乗った後の書斎のエリアで見かけるが、アナハイムではライドに乗る前の廊下に設置されている。

※2:アトラクションでは(唯一生きている人間として)墓地の前に管理人と飼い犬がいたのだが、映画では両者ともゴーストとして登場している。流石にアトラクション通り生きていたら物語として整合性がとれなくなるのでこれは致し方ない。

 

新作について

旧作の感想は以上となるが、最後に新作の方の特報映像とあらすじに関する所感を述べて終わろう。

新作は旧作と同様に黒人の親子が登場するが、旧作とは異なり屋敷の所有者として登場。屋敷で頻発する怪奇現象に悩まされ、神父や超常現象専門家、霊媒師、歴史学者などクセのある心霊エキスパートたちに救いを求めるというストーリーになる模様。

旧作は愛の物語という軸があったが、新作の方は映像を見た感じゴーストバスターズ的要素が強そうだ。またその心霊エキスパートにも各々隠された事情があるようなので、群像劇としてそれぞれの人物にスポットライトが当たるだろう。それが物語の軸をブレさすことにならなければ良いが…。

肝心のゴースト・アトラクション要素に関しては新作でも花嫁の幽霊が物語の鍵となるような気がする。また、旧作では再現されなかった永遠に続く廊下や天井の延びる部屋の描写があったので、新作映画でどのように取り入れ、またアレンジするのか注目したい。

 

※新作映画、観て来たので感想アップしました!

tariho10281.hatenablog.com

(2023.09.04 追記)