タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

ゲゲゲの鬼太郎(5期)第18話「古城に光る黒い眼」視聴

今回は12月2日までの配信。

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目目連

今回登場したバックベアードについては後述するとして、まずはこちらの妖怪を紹介する。

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鳥山石燕の画集『今昔百鬼拾遺』の解説では、家の障子に現れる目の妖怪で、碁打ち師の念が碁盤に注がれ、それが家全体にわたって妖怪となったとされている。水木先生の次女・悦子さんも中学時代これと似たような妖怪を目撃したとされており、当時「妖怪はいないのではないか」と意気消沈していた水木先生を大いに喜ばせたというエピソードがある。

アニメでは2・3・4・5期に登場。2期は原作とほぼ同じエピソードだが、目目連が住みついた家を取り壊した工事現場の監督が目目連によって絞め殺される場面が映像化されており、これが意外と怖い。もし機会があるならば是非見てもらいたいくらいの名シーンだ。3・4期になるとオリジナル要素が入ってきて、3期ではぬらりひょんが封印を解いた妖怪城に刺客として送り込まれ、4期では木蓮の郷に住みつく妖怪という設定になっている。そして今回の5期では国外逃亡によりドイツの古城に住みついたという設定。意外なゲスト妖怪という形の登場になった。

 

バックベアードホロコースト

今回は今までと趣向が違い海外での妖怪退治。そしてぬらりひょんと並ぶ鬼太郎の宿敵・バックベアードが初めて5期で姿を現したという点でも注目すべき回だ。

バックベアードは原作・アニメ共に鬼太郎の前に現れては激戦を繰り広げた強敵だが、どこかユーモラスな一面もあり、ネット上ではロリコンを叱咤することで有名な妖怪としてネタ扱いされている。一方アニメの方は5期以降海外妖怪の総取締役または帝王として描かれるようになり、強豪妖怪の一角からワンランク上にアップした存在となった。これに関してはやや原作の自由度を殺す結果にもなったので個人的には賛成できかねる改変ではあるが、まぁわかりやすい強敵というか物語の山場にはなるので、定石になったのも致し方ないのかもしれない。

 

で、今回の物語について触れると、今回は鬼太郎の中の人(高山みなみさん)が名探偵コナンをやっていた影響もあってか、ミステリ仕立ての物語になっているのが特徴で、西洋の城で日本妖怪が悪さをしていたという「意外なひねり」が加わったプロットになっている。また、最後に登場したバックベアードによって、日本妖怪と西洋妖怪との戦争が予想される終わり方になっており、この先の展開に否が応でも期待せずにはおれない構成にもなっている。

 

それで今回私が注目したのは、バックベアードの行動理念の部分。同じ帝王的な描かれ方をしている5期と6期のバックベアードだが、その描写をよく見ると違っていて6期は世界征服を目標としているのに対し、5期は地上よりも先に地獄を制圧しようとした。勿論この18話が放送された時点ではその計画を打ち明かしてないので、5期の今回が初見の人にはわからないと思うが、そのスケールの違いは一応指摘しておきたい。

そして日本妖怪に対しても5期と6期とでは違いがあり、6期はあくまでも服従すれば殺しはしないことをバックベアードは明言したのに対し、この5期では鬼太郎と初対面の段階で「日本妖怪の絶滅」を宣言している。6期の方がダイレクトに人間や妖怪に対して残酷なことをしていたから恐ろしいと思っていたが、こうやって比較してみると実は5期のバックベアードの方がより危険な存在だったのではないか?と思うのだ。それは地獄という死の世界すらも掌握しようとしたスケールのデカさもあるが、もう一つ「日本妖怪の絶滅」というホロコースト的なマニュフェストがあるからだ。

 

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ホロコーストについては上の記事を参照してもらいたいが、ユダヤ人を虐殺していた当時のナチス・ドイツの政策と今回のバックベアードの日本妖怪絶滅宣言がダブったのは脚本が意図してやったことだと思う。それは今回の舞台がドイツであるという事から見ても明らかだろうし、そこにバックベアードを組み込んでこのようなホロコースト的なことを言わせたのだから、5期の制作陣はバックベアードヒトラー的存在として描きたかったのかもしれない。そう思って見ると、6期のバックベアードは粗野な感じがあるのに対し、5期のバックベアードには、何というか美的センス・品性がある。ヒトラーもかつては芸術家を志していたからね。

ただ、5期が過ぎ去りし今見ると、この18話で宣言した「日本妖怪の絶滅」も結局この後の地獄の制圧をメインで描いたため、全然絶滅する方向で動いてないのが肩透かしだったな…。

 

 

さて、次回は河童回。ストーリーは覚えているが、正直感想が難しい話なんだよな。まぁ見てみたら感想も変わりそうなので、配信を待ちます。