タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

推しが「バンクオーバー! 史上最弱の強盗」でSMプレイされていた

どうも、タリホーです。テレ朝の「IP ~サイバー捜査班」が終わり、今回のドラマ「バンクオーバー」が終わっていよいよ本格的な間宮ロスに突入の皆様、いかがお過ごしでしょうか。

いつもは固っ苦しい感じで感想・考察を書いてますが、今回のドラマは肩肘張って視聴するようなテイストじゃないので、感想もゆるめでお送りします。

 

(以下、一部ドラマのネタバレあり)

 

「見かけ通りでない人々」による銀行一幕劇

一応ざっくりストーリーを説明すると、間宮さん演じる染物会社の御曹司・猿渡佐助がとある窮状から銀行強盗を決意、社員の田尻を相棒にいざ妻川銀行へと乗り込んだが、何故か既に銀行はもう一組の銀行強盗によって制圧されており、その銀行強盗は外国人で武器も明らかに自分たちより強そうなものを持っていた。

二組の銀行強盗が乗り込んで来たことで膠着状態に陥ったのを見て、客の一人であるさくらという女性が金をどちらに渡すべきか相談しないかと提案する。しかしこれはこの後起こる物語の始まりに過ぎず、物語は登場人物の意外な裏事情と相まって予想外の展開へと進んでいく…というストーリーだ。

 

先週19日に放送された前編はほとんどカオスに次ぐカオスでツッコミ所しかない展開だったが、26日の後編でそのツッコミ所を伏線として回収し、逆転劇として描き切った。サスペンスコメディーなので伏線もまとめ方もリアリティをガン無視しているが、それはそれ。劇中で最もクズな刑事・山根広務を共通の敵役として配置したことで勧善懲悪の物語となり、そのおかげで後味よく見ることが出来たと思う。

公式HPでは「『多様性』を大事にしたい今だからこそ送る」と書いてあるけど、そんな深く考えずに見ましょう。みんな何かしらの事情を抱えて生きているとわかればそれで充分です、このドラマ。

 

クリスティのプロットは継承されてるんだね~

大体サスペンスって最初に見せかけの物語を視聴者に提示して、途中から登場人物だったり事件の構造をひっくり返してもう一つの物語を見せるというのが定番だけど、このドラマもその例に漏れず、最初は見せかけというか見かけ通りの人物像を演じて途中から尻尾を出したり本性を露わにする物語なんだよね。それが「実は〇〇でした」という説明描写だけだったら、そのサプライズは単なるビックリ箱程度のものなのだが、そこに意味や伏線を張ることで物語としてちゃんと成立するってことが今回のドラマを見て改めて思った。

強引とはいえ風が吹けば桶屋が儲かるみたいな、物語としての辻褄合わせが出来ていたし、コメディ全振りで辟易とさせられることもなかったから良かったよ。間宮さん含む演者の方々もそれを弁えていたからどことなく安心感というか信頼出来る感じがした。それでも袴田さんのアパ不倫を彷彿とさせる不倫描写は狙い過ぎた演出だったかもね。

 

で、今回の物語の構図を振り返ると、山根という一人の男の悪意によって複数の登場人物が振り回され、振り回された人々が一致団結して山根を返り討ちにする逆襲劇になっているが、これってアガサ・クリスティの某有名作とほとんど同じ構図じゃない?名前を出しただけでネタバレになる作品だから一応伏せておくけど、これだけでミステリ好きならピーンと頭に来たはず。そもそもクリスティの某作品の方も多様性(ダイバーシティ)を象徴する要素が取り入れられているのだから、そりゃ類似性があるのも納得だ。

本の森ハヤシ氏がクリスティの影響を受けて今回の物語を書いた訳ではないだろうが、現代の作家・脚本家の精神にクリスティの黄金的プロットが文化的な遺伝子として継承されていると思うと、クリスティを愛読する私としては嬉しいな~と思った。