タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

ディープフェイクという悪意、「IP~サイバー捜査班」8話視聴(ネタバレあり)

やっと録画を見られたので感想をば。

 

第8話あらすじ

 安洛一誠(佐々木蔵之介京都府警・サイバー総合事犯係のもとに、警察庁から警視正桐子香澄(内山理名が赴任してきた。香澄はその美貌から、メディアでもよく取り上げられる有名な人物だった。
 彼女が出向してきた背景には、ここ数カ月、世間を騒然とさせている“ディープフェイク動画大量流出事件”があった。最近、政治家や著名人のスキャンダルを巧妙にねつ造した動画が拡散される事案が急増。
 香澄はディープフェイク動画の製作アプリを販売する闇サイトを発見、その闇サイトを運営する犯罪インフラ京都市内の複数のフリーWi-Fiスポットを利用していることを突き止めたという。サイバー総合事犯係と連携して犯罪インフラを摘発したいと話す香澄に、安洛も快く協力を約束する。
 そんな中、香澄と今をときめくメディアアーティスト・西堂牧彦(大東駿介の密会フェイク動画が拡散。さらに、ディープフェイク動画被害にあった大学生が、拡散した相手を刺す殺人事件も発生する。ディープフェイクが殺人に連鎖する恐ろしさを痛感した安洛は、フリーWi-Fiスポットの防犯カメラを徹底分析し、怪しい男を見つけ出すことに成功。なんとそれが現職の警察官・永尾享二(波岡一喜だとわかるが…!?
 そのころ、警察庁官房審議官・楡井文則(升毅は、多和田昭平(間宮祥太朗からの最終報告を受け、安洛の警察庁への引き抜き工作を進めていた。古宮山絆(福原遥は安洛の異動話を知り、激しく動揺して…!?

 主軸である安洛が抜ければ、サイバー総合事犯係の弱体化はまぬがれない。もしやこれがサイバー総合事犯係、最後の事件になってしまうのか――!?
 ついに物語は《最終章》に突入! ディープフェイク動画大量流出事件に潜む巨大な悪意とは…!? そして安洛はどんな選択をするのか…!?

(あらすじは公式サイトより引用)

次回で最終回を迎えるIP、今回は最終章の前半部。ディープフェイク動画を扱ったミステリは最近だと日テレで放送されていたドラマ「ネメシス」が挙げられる。

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CG以上に精巧で見ただけでは本物か偽物かわからない映像を利用した今回の犯罪は、映像の偽装自体は大きな問題でなく、それによって事件が誘発されたり店が潰れたりと二次被害が出ることを憂慮している。いつもは犯人の思惑を見抜いてきた安洛ら総合事犯係も今回は犯人のディープフェイクの罠にまんまと引っかかり事件は最終回に移る。

 

雑感

・新たに判明した親子関係

官房審議官・楡井の命により安洛引き抜きの密偵をしていた多和田だが、実は多和田の実の親が楡井だということが今回明らかに。この関係性、何か既視感があると思ったら去年放送していた「ハムラアキラ」だったわ。

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楡井の親のエゴをかもし出す感じと多和田のスマートな刑事像がハムラアキラの山辺と岡田警視に類似している気がする。

 

当ブログでは散々このドラマは矢鱈に親子関係を持ち出してくると言及しているが、ここに来て新たな親子関係が解禁されたことについてやはり疑問に思うのは、このドラマはどうしてここまで親子関係に焦点をあてた話ばかりなのか?ということだ。

サイバー犯罪が親子関係を希薄化しているという話でもないし、別に親と子の溝というのは人によって色々な事情がある。このドラマにおいて親子関係を殊更持ち出す脚本の意図が読み取れないので、最終回でその辺りがスッキリ読み解けるようになっているのか、心に留めておく。

 

・解散してもどうってことなさそうだが…

安洛の資質をチェックする目的で設立されたサイバー総合事犯係も、安洛の異動が決まれば解体されるということに動揺する多和田。流石の多和田もチームの解散には罪悪感を覚えたようだが、ぶっちゃけ私からすれば解体された所で困るのは京都府警という組織であって、各個人は割としたたかにやっていけそうだなと思う。別に「科捜研の女」みたいにチームの誰かが命の危機に遭った訳でもないし、(コミュ障気味な岡林はともかく)他のメンバーもコミュニケーションはちゃんととれる人ばかりだからね。

そういう訳でチーム解散の危機がイマイチピンと来ないし、定石通りの展開なら何だかんだあって解散は無しになると思っている。

 

・見えない男

ブラウン神父の童心 (創元推理文庫)

今回犯人は監視カメラの映像をハッキングし、そこに写った不特定多数の人物の顔をディープフェイクで永尾に変えていた。この罠にまんまとハマって居もしない永尾を追う羽目になったが、この見えない男の発想は明らかにG・K・チェスタトン『ブラウン神父の童心』所収の「見えない男」がベースにある。しかも配達人が犯罪インフラの片棒を担がされていたのだからこれはもう間違いなくチェスタトンの「見えない男」からとってきたと見て良い。

 

・メタ的犯人予想

次回のあらすじを見たら永尾が首謀者ではなく真犯人に利用されたみたいなので、もうこうなったら真犯人はメディアアーティストの西堂くらいしかいないのではないかな?

自分で自分のディープフェイク動画の疑惑を晴らしたというのは(一応伏せ字)ドラマ「ネメシス」の犯人もやっていた(伏せ字ここまで)ことだし、チョイ役に大東駿介さんを起用というのは贅沢が過ぎると思うので、最終回の黒幕はやはり彼が最も相応しいと思う。ただそうなると桐子警視正の立ち位置が気になる所。既に楡井に利用されているのに、西堂にも利用されていたとなると結構不憫な役回りになりそうだ。