タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

富豪刑事 Balance:UNLIMITED check-6「悪銭身に付かず」視聴

 何かが大きく動き始めた、そんな感じの回。

 

check-6「悪銭身に付かず」

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サブタイトルは言うまでもなく日本のことわざ。不当な手段(ギャンブル含む)で得た金はろくなことに使わないからすぐ手元から離れてしまうということだが、英語だと「Soon gotten soon spent(早く儲けた金は早く無くなる)」や「ill got, ill spent(不当な手段で得たものは不当に使われる)」という文になる。

 

これまでの富豪刑事は1話完結だったが、今回は前回のポリアドル大使館の事件の続き。犯人(リカルド)の自殺によって事件自体は収束したものの、犯行に使われた電波妨害装置や毒ガス装置の製造元「ミズオフューチャーテクノロジーが関係しているようで、軍事技術に使われるような物質が用いられていることからしても、リカルド個人の犯行ではなさそう。裏に黒幕がいるとにらんだ大助は独自に捜査を始めるが、一方で定年間際の仲本長介も伝手を頼りに大助と同じ捜査をし始める。

 

ここに来て一気に仲本の存在が浮上してきたが、彼がこの件に関わるのはかつて彼が担当していた未解決事件と何か関係がある模様。ここに来て仲本を絡めてきたことや、話の展開がシリアスになっていることから考えると、ここから最終回までは大使館事件の黒幕を追う物語だと予想される。流石にあと1,2回で黒幕が暴かれるとは考えにくいし、さっさと黒幕を成敗してしまうと、最終回で描くことが無くなりそう。

 

正義のための不正画像

今回は黒幕を突き止めるためにミズオフューチャーテクノロジーの海外事業部長、井村を捜査する話。ただし、これまでのような笑えるくらいブッ飛んだ金の使い方はなく、お世辞にも笑えないような違法捜査が為されているのが物語の重さに拍車をかけている気がする。

井村を取り調べるため井村の車をハッキング、自動運転で速度超過をさせ、映像をフロントガラスに投影し死亡事故をでっちあげる。別件逮捕が目的とはいえ、これはいくら何でも度が過ぎる。

一方の仲本も負けず劣らずの違法捜査。知り合いの鑑識に不当な形で情報を流してもらったり、井村の息子の悪事を材料に井村を脅迫し情報を得ようとした。

 

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2話の感想記事で私は仲本の捜査手法が必ずしも相手に寄り添ったものでないというツッコミを入れ、加藤が理想とする刑事像に批判的な態度を示したが、今回に至って加藤もようやく仲本のワルな一面を知り理想像としての仲本が崩れ去ったことだろう。

 

大助と仲本の違法捜査も空しく、井村は車に仕掛けられていた爆弾によって弁護士もろとも爆破(死亡したかどうかは今のところ不明)というオチになっているが、この爆破エンドで6話を終えたことから見てもわかるように、6話は大助と仲本の行いに対して批判的な描かれ方をしているのが見て取れる。そもそもサブタイトルが「不当な手段で得たものは身に付かない」ことを示すことわざをチョイスしているのだから、この結末は当然と言えば当然。

 

仲本は過去の未解決事件にケリをつけるための違法捜査だが、極端な話これは刑事のエゴというもので、そのエゴに巻き込まれた井村はいい迷惑である。

しかし、大助の方はどうも刑事のエゴが動機ではない。終盤仲本のロッカーに隠されていた過去の未解決事件の捜査本部の看板には「神戸小百合殺害事件」と書かれていた。つまり、仲本が追っていた未解決事件の被害者は大助の身内だったということになり、大助が警視庁の現対本部に配属を希望したのも過去に神戸財閥内で起こった悲劇の真相を突き止める目的があってのことだろう。そうなってくると大助の行き過ぎた違法捜査が今までと違う感じがするのも頷ける。今後は大助の過去にも光を当てるだろうが、私情が絡む事件だけに加藤のストッパーとしての役割がより重要となるだろう。

 

そうそう、大助や仲本のことばかり触れてきたけど、この回は刑事を多角的に描いた回でもあるんだよな。自分の正義を果たそうとするため不正も辞さない大助と仲本、正義のための不正を良しとしない加藤、刑事の仕事を生活の延長線上に置いて揉め事を避けようとする現対本部の仲間(特に部長)。上層部は大使館事件の不始末の責任を加藤だけに負わせるし、加藤の元上司の武井や元後輩の星野は大助の別件逮捕の不正を加藤に内偵させようとしている。

個人的にここで何故武井や星野が加藤に内偵まがいのことをさせるのかが特に気になる所。特別大助と深い因縁がないのに彼の動きを封じようとする思惑があるということは、武井個人の思惑ではなく上層部の思惑の可能性が高いし、加藤を通して間接的に動きを封じようとする動きは大助を直接叩くとしっぺ返しがくることを恐れてのやり口だろう。いかにも上層部らしい、卑劣なやり方だな。ただ、それだけ今回大助が追っているものの闇が深いってことだろうか。