タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

“シリーズ最悪の事件”開幕、「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~」5話

悪いうさぎ (文春文庫)

♡もう正直これだけで今回90点(100点満点中)あげてもいいですねっ!!♡

 

(以下、ドラマと原作のネタバレあり)

 

『悪いうさぎ』

今回から最終回にかけて描かれる物語の原作は『悪いうさぎ』。葉村晶シリーズ初の長編で、第55回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補

家出したとある大企業の会長の娘・美和を探して欲しいという依頼を受け、葉村はその娘の友人ミチル接触するが、しばらくして某公園で美和の友人の一人である綾子(ドラマでは綾)が扼殺死体で発見される。

序盤はこんな感じで話が進み、今回は原作(文春文庫版)の188頁辺り(前半戦、第8節)で終わった。

 

原作は葉村がMURDER BEAR BOOKSHOPに勤める前の事件のため、物語は家出した平ミチルを家に連れ戻す所から始まる。ちなみに、本作は葉村晶シリーズ中最悪の事件と称されるほど、葉村が酷い目に遭い、事件の真相もなかなか胸糞悪いものとなっている。原作既読者の立場として言うが、今回のドラマの始まりはまだ穏当な方で、原作の葉村は序盤からどエライ目に遭っている。これは是非読んで確認してもらいたい。

また(恐らくドラマでは映像化されることはないと思うが)、原作では失踪した娘の捜索だけでなく、葉村の友人の彼氏が結婚詐欺師ではないかという疑惑が浮上して葉村が独自調査したり、葉村が住んでいたマンションの大家さんから、店子のストーカーを追跡してくれと依頼が来たり、本筋の調査以外にも足を突っ込んでいてずっと忙しい。葉村にとって心も身体も休まる時がないのだ。

 

当初は「全3回に分けて放送するのだから、3分の1読んでドラマ見て、また3分の1読んで…」って感じで小分けにして読む予定だったが、原作が存外に面白かったのと、登場人物が多く人間関係がやや複雑な所があったため、一気読みしてしまった。

という訳で、原作既読者からみた今回の注目ポイントを以下に挙げていこうと思う。

 

「悪いうさぎ X」注目ポイント

・平ミチル

原作で葉村と行動を共にする一方、隠し事の多い女子高生ミチル。普段はカツラをかぶって生活しており、親の前ではカツラを外してショートカット姿になっている。何故彼女はこんな行動をとるのか?これには平の家が抱える“ある事情”が関係している。そのヒントは、母親貴美子がミチルにかけた一言にある。

 

・カナ

美和のコートに入っていたハガキに書かれた「カナ」という名前。そしてハガキに書かれていた「三日で全額払えるくらい」ワリの良いバイト。美和の友人だと考えるとこのカナなる女性も年の近い女性のはず。そんな若い女性が就ける高額バイト…?どう考えても危ないニオイしかしないが…。

 

・滝沢喜代志と平義光、そして野中則夫

もうドラマの公式HPで人物相関図が公開されているが、この三者は共通のつながりがある。詳しくはネタバレになるので今回は言わないが、このつながりが今後非常に重要になってくるので覚えておくように。

 

山辺秀太郎と岡田警視

ドラマオリジナルキャラクターである岡田警視が接触を図っていたのは、滝沢や平らとつながりのある山辺秀太郎山辺という苗字ではないが、原作では某省のキャリア公務員・新浜秀太郎という名が出てくる。ということは、ドラマの山辺は原作の新浜に相当すると予想されるが、彼が岡田警視に接触する理由も今後意味を成して来ると思うので一応注目しておく。

 

・〈ホン・コンおばさん〉

山辺との接触後、酔った状態で岡田警視は〈ホン・コンおばさん〉を求めてMURDER BEAR BOOKSHOPに立ち寄る(あの場面、ホント最高だったな…♡)。

案外まともな犯罪―ホン・コンおばさんシリーズ (Hayakawa pocket mystery books)

私は〈ホン・コンおばさん〉シリーズ未読のため、ネットで調べた情報を元に紹介すると、このホン・コンおばさんの本名はオノラブル・コンスタンス・エセル・モリソン=バーク。イギリスの女流本格ミステリ作家、ジョイス・ポーターが生み出した女探偵で、オノラブル・コンスタンス(Honourable Constance)の頭文字をとって〈ホン・コンおばさん〉と呼ばれている。

5つの長編と7つの短編に登場し、貴族の生まれらしからぬザンギリ頭に象のような巨体と、自分の意見は是が非でも押し通す持ち前の傲慢さで活躍する人物らしい。

ホン・コンおばさん(Hon-Con)

岡田警視が好きな探偵として劇中で紹介されたこの〈ホン・コンおばさん〉、一見すると意味のない情報に思えるが、〈ホン・コンおばさん〉の行動理念である「常に社会を正しく導く、貴族たる者の義務」ノブレス・オブリージュは今回の物語と全く無関係という訳ではないのだ

現代日本で貴族は存在しないから、ノブレス・オブリージュ「富裕層の責務」と換言するべきだろうが、これが物語でどう描かれるのか要チェックだ。

 

※ホン・コンおばさん、読んでみたよ!

tariho10281.hatenablog.com

(2020.03.05追記)

 

・小島のリスト

刑事の誰かが言及して終わるかと思っていたら、意外にもしっかり映像化してくれたNHK、やるじゃないか。原作はペンではなくて、昼飯で出されたカツ丼に付いていた割り箸でブスっとやるのだが、問題はそっちじゃなくて小島が所持していたリスト。このリストに美和の名前も載っていたが、これは事件と関係あるのかないのか…?

 

いや~、次回も楽しみで仕方ない。そして英国紳士スタイルの間宮さんをもっと見ていたい。

 

 

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