タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

ゲゲゲの鬼太郎(6期)第75話「九尾の狐」視聴

地獄の四将編完結。いや~、良い最終回でしたね。(違う違う)

 

前回のおさらい(ざっくりと)

・四将捕縛の催促

鬼太郎は閻魔大王から残りの四将である鵺と玉藻前を牢獄へ戻すよう催促される。四将の魂の重さによって地獄の霊的エネルギーを支えており、これ以上時間がかかるようだと鬼太郎を代わりの重しとして牢獄へ送り、獄卒を地上に放って玉藻前を狩るしかないからだ。(そういう大事なことはもっと早く言え)

 

・石動の暴走

里を守れなかった負い目と妖怪の魂を取り込んだ肉体的負担が石動を焦らせる。石動は豆腐小僧を妖怪質にとり、偽の手紙を妖怪ポストに出して鬼太郎の仲間を呼び寄せる。そして玉藻前狩りの戦力補充として、ぬりかべ・子泣き爺・砂かけ婆を狩ってしまう。

 

玉藻前の計略

A公国代表の秘書として潜入していた玉藻前は、代表をけしかけて日本に対して戦争を起こさせる。更に分身を利用して国連事務局や各国の首脳に取り入り、日本が国際的に孤立するようけしかけた。一方玉藻前は地獄にも潜入しており、獄卒たちを洗脳しクーデターを起こして閻魔大王を食べてしまう。こうして玉藻前は地獄を制圧、日本と地獄を崩壊させようとしていた。

 

・VS玉藻前

玉藻前の居所を突き止めた石動は取り込んだ鬼太郎の仲間の能力を用いて玉藻前と戦う。が、地獄の霊的エネルギーを手にした玉藻前はいくら攻撃しても回復してしまう。やられそうになる石動の前に鬼太郎が現れ、玉藻前と戦う。

 

以上が前回のあらすじ。

 

総力戦!対決玉藻前

前回の記事で「今後の展開として気になること」という形で75話以降の注目ポイントをまとめたので、それに即して今回の戦いを振り返ろうと思う。

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まず九尾の狐・玉藻前の攻略について。霊的エネルギーによって無限に回復し続ける玉藻前をどうやって退治するか気になっていたが、思わぬ助太刀によってその問題点がクリアされていた。

思わぬ助太刀というのは勿論アニエスとアデルの姉妹のこと。鬼太郎を助けるべく地獄へ潜入しようとしていた猫娘とまなは、いかにして玉藻前に感づかれずに潜入しようか考えていた。そしてまなは鏡じじいに頼んでアニエス・アデルを呼んでもらい、西洋地獄経由で日本の地獄へ潜入することを思いつく。

そういや「鬼灯の冷徹」でも日本の地獄とは別にEU地獄がある設定だったな。エジプトも日本とは違う死後の世界がある位だから、妥当と言えば妥当なのだけど、これまでの鬼太郎アニメでは日本以外の地獄について言及が無かったからこれはちょっと予想外の解決策だった。

そして、アニエス・アデルは地獄の底から湧き出る霊的エネルギーに西洋魔法のバリアを張って、霊的エネルギーが玉藻前に流れ込むのを阻止した。ナイスアシストである。

 

ナイスアシストと言えば、ねずみ男も忘れてはならない。

西洋妖怪編では逃げの姿勢をとっていたが、今回は人間世界での戦争ということもあり介入しやすかったのだろう。総理大臣が玉藻前の罠によってA公国の戦艦に攻撃命令をしようとしていたのを未然に防いだ。何気に黒坊主による水質汚染騒動によって生じた総理との「黒いつながり」を活かしているのが巧い。

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鵺の魂は鬼太郎の中、伊吹丸は石動サポート中。ほぼ完全に蚊帳の外状態だった黒坊主の心境はどうだったのだろうか?

 

それはともかく、次は石動零について。玉藻前を狩るため一反木綿を狩り、鬼太郎の魂も狙おうとした。しかし、妖怪の魂を取り込み過ぎたことにより、身体がボロボロになり、最終的に魂だけのぬりかべ・子泣き・砂かけ・一反木綿に動きを封じられ、鬼太郎に倒されてしまった。そして敗北を認めた石動は仲間の魂と鵺の魂を鬼太郎に返す。

西洋妖怪編では仲間がそれぞれバックベアード軍団と戦っていたが、場面カットとしてわかった程度で共闘としてはイマイチ盛り上がりに欠ける演出だった。その分今回は魂だけになったとはいえ鬼太郎をサポートしていたのはバトルものとして非常に良かったのではないだろうか。

前回の記事でも言及した仲間の復活の件に関しては、猫娘みたいに幼児化することなく皆元のままの姿で戻れた。これはひとえに地獄の秩序回復に貢献したからだろう。

 

そして、まなが伊吹丸からもらったお札について。

前回の記事では暴走した石動の説得として義妹のサヤを召喚するのに用いるのだろうかと予想したが、まさかこんなにダイレクトに伊吹丸が参入するとは思わなかった。一応大逆の四将で牢獄に繋がれているからあそこまで直接的に関わるとは思ってなかったけど、閻魔大王玉藻前に喰われる非常事態だと思えば十分予測出来た展開だった。

その後、石動に力添えをして玉藻前による地獄崩壊を阻止した功を閻魔大王に認められたのだろう。伊吹丸は魂の半分を現世におくことを許可され(もう半分は地獄)、守護霊兼指導霊として石動の側にいることとなった。同じ苦しみを背負った者であり、また鬼道衆の祖でもあるから(石動にとっては色々複雑な思いがあるだろうが)これ以上ないパートナーだろう。

今回の一件で「全ての妖怪は滅すべき存在」だという考えが揺らぎ、自分なりに足掻いて答えを見出そうとした石動。アニエスと同様に今後も登場するのだろうか。まぁ伊吹丸セットだから私はいつでもOKですよ。伊吹丸なしだったら例の如く妖怪取り込んで戦うスタイルだと思うし、それで助太刀されてもね。

 

※75話見直したら、伊吹丸の札は九尾を追っている石動の行方を探すために用いられていました。ぼーっと見ていたのでこれから使われるものだとばかり…。

(2019.10.06追記)

 

地獄の四将編 総評

半年にわたって描かれた地獄の四将編だが、西洋妖怪編と違って事実上四将が関係した回は50・51・62・69・74・75話と僅か6話しかない。そのためアニエス・アデルの魔女姉妹に比べて石動零のキャラクター設定と背景描写がかなり少なく、妖怪に対する蔑視や復讐に至る背景に説得力がなかったのが一番の問題点だったと言えよう。里を焼かれただけにしては矢鱈に妖怪を侮蔑するような発言があったし、あそこまで手段を選ばない戦術をとるからにはそれだけ里の人に恩義があったのだと思うが、それを裏付けるエピソードが皆無に等しいので視聴者が無理くり想像するしかないのが痛い。

恐らくだけど、四将編以前に石動が関わってきた妖怪がロクでもない奴等だったのかもしれないし、鬼道衆の師匠によって「妖怪=悪」という刷り込みが為されていたのかもしれない。また自分が「拾われた身」であり里の人に良くしてもらったからこそ、その恩義に報いるべきだという強い使命のようなものがあり、それを果たせず死なせてしまったからより強い復讐心に駆られてしまったと考えられる。

せめて上記の様なことが描かれていたら彼の行動にも「わからんでもない」と割り切れるのだがね。最終的には“終わり良ければ総て良し”で鬼太郎も「彼のおかげで色んなことを考えさせられました」と良い受け止め方をしてくれたけど、あなた途中まで「彼のことが嫌いです」とか言っていたのだからね!

前の記事でも書いたが、石動は少なくとも鬼太郎の好敵手ではなかったし鬼太郎とは別の正義感を持つ人間だとも余り思えなかった。石動が好敵手となるのはこれからの話だろう。(登場したらの話だけども)

 

そして肝心の四将について。鵺・黒坊主は起承転結の「起承」を担う妖怪だったため単なる悪党妖怪になってしまったが、「転結」にあたる伊吹丸・玉藻前は流石の貫禄。特に伊吹丸は大罪を犯し強い力を持っていながらも理性と分別のある妖怪という四将の中でもイレギュラーな存在であり、容貌・言動も男前でかなり印象に残った。玉藻前は尺の都合からか、完全体になってから退治されるまでの間が短かった。が、原作でも強豪妖怪があっけなく倒される展開がままあるのでそこは御愛嬌。

個人的には九尾があっさり倒されたことよりも、四将の重しとしての設定や伊吹丸からもらった札など、物語終盤で後出しジャンケンの如く情報が出て来たことの方がマズかったかな。あと話の展開上仕方ないとはいえ、74話で悪夢として登場し助けを求めたサヤが75話で「魂を返してあげて」と言っていたのが違和感。まぁ74話と75話のサヤは同じものではないだろうし、74話のサヤが石動の責任感が生み出した幻影のようなものならば75話のサヤはあの世にいるサヤ本人の魂であり、何らかの形で石動は彼女の思いを受け取った…と解釈することは出来るが。

あと一つ目坊や貉、ラ・セーヌの魂はどうなったのだろうか。ラ・セーヌは悪い妖怪だからそのまま石動にあっても良いのだが、一つ目坊は解放されるべきだし、貉も情状酌量で解放する余地はあるのに。(というか公式サイトのキャラクター一覧にも載っていない貉が不憫でな…)言及されていないが、解放されていることを祈る。

 

以上が四将編の不満点だが、良かった点もある。

鬼太郎・石動は九尾の狐の撃破猫娘・まなは今までに関わった妖怪に協力要請したり操られた獄卒を引き付けるといったサポート役。アニエス・アデルは地獄潜入と九尾の狐の無限回復の阻止に貢献、鏡じじいは協力要請の仲立ちや地獄の危機を知らせるといった連絡係を務め、伊吹丸は石動の戦力支援を務めた。魂となった鬼太郎の仲間も鬼太郎の力となり、唯一現世にいたねずみ男総理の攻撃命令を阻止し、戦争沙汰にならないよう奮闘した。

このように各キャラクターの活躍が描かれたことで、西洋妖怪編であったキャラクターの活躍度合いの偏りが無くなり、総力戦として見応えある完結を迎えたのは評価すべきだ。またその活躍も取ってつけた様なものではなく、これまでのまなの活躍による各キャラとの繋がりやねずみ男の暗躍が関係しているのが実に巧かった。

 

 

さて、10月に突入し情報解禁された「最終章ぬらりひょん編」が始動する。

 正直ぬらりひょんが登場してくれた喜びより、最終章が来たことのショックの方が大きい。区切り良く来年3月で完結してしまうのか、名無し編みたいに1年かけてじっくり話を展開させていくのかは現時点ではわからない。

キービジュアルを見た限りでは、また人間と妖怪の間で大きな対立が起きる予感。ならば私に出来るのはこれから起こるであろう激戦を見守るだけである。75話で明らかにならなかった四将脱獄の黒幕がぬらりひょんなのかどうかも併せて注目していきたい。