伊吹丸がカッコ良すぎた…。♡
これ単発で終わらせるには惜しい強&良キャラだったよ。
鬼童
鬼童の伝承で最も有名なのは『古今著聞集』。酒呑童子を討ち取った源頼光を倒すために牛を殺し、その腹の中に隠れて待ち伏せしていたが、返り討ちに遭ったという話を元に鳥山石燕は『今昔百鬼拾遺』にて牛の皮を被った鬼童の姿を描いている。
『古今著聞集』では今回のアニメの設定にもあった「酒呑童子の息子」という点について記されていないが、京都の福知山市雲原の口碑では、酒呑童子と人間の間に生まれたのが鬼童丸であり、親の仇として源頼光を狙ったとされている。
では鬼童の親となる酒呑童子はどんな鬼だったのか。
伝承によって細かい差異はあるものの、近畿地方で猛威をふるった鬼の頭領ということは共通している。伝説の中には酒呑童子が滋賀県伊吹山で鬼となり大江山へ辿り着いたという話があるが、今回の鬼童が「伊吹丸」という名前なのはこの伝説を参考としているのかもしれない。
鬼童は「地獄の四将編」のターニングポイント
鵺・黒坊主に次ぐ四将の三体目として登場した鬼童・伊吹丸。原作にもこれまでのアニメ作品にも登場しないキャラクターだけに、どのような展開になるのか全く予測不能だった訳だが、これまでとは趣の異なるバトルで良いアクセントになったのではないだろうか。
これまでの四将と言えば、
・京の都で病をはやらせ、力の向くまま暴れた鵺
という具合に、己の利益のために人間に害悪を及ぼした妖怪たちだった。
が、今回の伊吹丸は「結果的に大罪を犯した」というのが正しいだろう。
大江山で権勢を誇っていた酒呑童子は人をさらい虜囚として捕らえていた。その中でも伊吹丸はちはやと呼ばれる女性に心を奪われ、駆け落ち同然の形で彼女と共に大江山から出ていき、一緒に大江山から逃げた人々と共に遠方の村で新たな生活を送った。
人間を家畜同然にみなしていた鬼から離れて人を愛し共同生活を送った伊吹丸だったが、その幸福も束の間、近隣の村々を統べる国主によって村は焼かれそこに住む人々は殺されてしまった。ちはやの遺体は伊吹丸の挑発のために首と身体が切り離され、身体は何処かへ持ち去られてしまった。
これに怒った伊吹丸は国主と彼の血族、彼が統治する国を滅ぼし、結果その罪で鬼道衆によって地獄へ送られた…というのが伊吹丸の大逆の四将となった経緯である。
名無し誕生の背景、そして現在進行している石動の復讐にもリンクした伊吹丸の過去はまな・石動にも何かしらの影響を及ぼしたと思うが、特に石動は妖怪に対する感情がどうなるのか気になる所。妖怪を見下すような発言、自分の復讐のために妖怪を襲って自分の力としている点を彼は悔い改めるのだろうか。今の所は復讐を完遂するまで止まらないつもりだが、戦いの中で何かを見出せるか注目していきたい。
そして鬼太郎と石動の関係はどうなるのだろうか。実を言うと、石動が鬼太郎を毛嫌いするのはともかく、鬼太郎はそこまで毛嫌いせんでも…と正直思うのだ。一応多様性を尊重したい立場だろうし、石動よりも長く生きているのだから、そこは大人の広い心で達観視出来ないのかな…と思う。
閻魔大王にタメ口きくシーンとか見てると、やはり6期鬼太郎は精神的に未熟なのかなと疑問に思う。「そんな対等な立場でもないし、相手地獄のエライ人なんだから、もうちょっと言葉遣い気を付けようよ…」とこっちがヒヤヒヤしてしまうわ。
鬼道について
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
今回劇中において伊吹丸に手も足も出なかった石動。その理由として鬼道衆の術は鬼が原点であることが伊吹丸によって述べられているが、マジレスさせていただくと、鬼道の「鬼」とは、虎皮の褌に牛の角を生やした怪物ではなく「死霊」の意味の方が正確ではないかと思っている。
と言うのも、「鬼道」というワードが出る『三国志』の「魏志倭人伝」は中国の歴史書であり、中国において鬼は「死霊、死者の霊魂」を意味するからだ。よく人が死ぬことを「鬼籍に入る」と言うが、この鬼籍は死者の籍であり、閻魔大王が死者を管理するのに用いる書類を示している。
つまり、鬼道は霊媒術の一種であり、鬼道衆はそこから派生した妖怪退治の一団ではないか…というのが個人的な考えである。別にアニメだからそこまで厳密にツッコむ必要はないのだが気になったので参考までに。
さて、次回は既に知っての通り、約47年の歳月を経て、あの恐ろしい祟りが現代に甦る。
その名は「足跡の怪」。
来週は6期鬼太郎、五回目の担当回「足跡の怪」です。
— 長谷川圭一 (@dinahasegawa) August 18, 2019
よろしくお願いします pic.twitter.com/rJmfk2ORJU
リメイク担当の長谷川氏の手腕が試されると言って過言ではないだろうが、楽しみと不安がない交ぜというのが私の正直な気持ち。今期はどう落とすかわからないが、原作と2期のアニメを知らない方も、是非当日はリアルタイムで視聴してみては如何か?