前半は今後の展開に関わってきそうなシリアスな話だったのに、後半から原作を踏襲したギャグ的展開に変化するという、今までの1話完結回の中でも珍しい構成の回だった。
では解説していこうか。
吸血鬼ラ・セーヌ
57話ゲスト妖怪「吸血鬼ラ・セーヌ」
— タリホー@サラリーマン山田 (@sshorii10281) 2019年5月26日
原作「手」に登場。フランスからやって来た吸血鬼。日本で吸血を行う障害となる鬼太郎を抹殺するため、寂しい神社の境内に鬼太郎を呼び出し、召し使いで殺し屋のザ・マンモスにマシンガンで襲わせた。#ゲゲゲの鬼太郎 pic.twitter.com/L2yXLAOajv
まず知っておいて欲しいのは、鬼太郎作品には二種類の吸血鬼ラ・セーヌが存在する。名前も同じで国籍も同じフランスだが、容貌や性格は全く異なる。
先に登場したのは上述した原作「手」(週刊少年マガジン連載の『墓場の鬼太郎』シリーズの記念すべき第1話)に登場するラ・セーヌ。この「手」には前回の吸血鬼エリートと同様元ネタとなる作品がある。それが墓場鬼太郎の「怪奇一番勝負」だ。「怪奇一番勝負」では人間と鬼太郎が争うのだが、鬼太郎の手首を釘付けにする等の共通項がみられる。
1965年に発表された「手」から21年後の1986年に発表された「吸血鬼ラ・セーヌ」(新編ゲゲゲの鬼太郎)でもう一人のラ・セーヌが登場する。こちらのラ・セーヌは部下に無数の吸血コウモリを引き連れ、千人の美女の生き血を吸う計画を立てる等、比較的オーソドックスな吸血鬼である。
意外にもアニメ化は今回と1期のみ。しかもどちらも原作は「手」の方なので、新編の方は未だアニメ化には至っていない。鬼太郎の手首を釘付けにする場面はアニメだと流石にグロいため(ただし、墓場鬼太郎では忠実にアニメ化された)、1期ではリモコン下駄、今回の6期ではちゃんちゃんこに改変されている。
バックベアード復活計画
先週のエリートの一件から後、街では若い女性が全身の血を抜かれる吸血事件が連続して起こっていた。ゲゲゲの森では、また新たな吸血鬼が現れたのではないか、立て続けに吸血鬼が現れるのには何か理由があるのではないかと予測するが、そんな折、海外にいる魔女アニエスから連絡が届く。
— タリホー@サラリーマン山田 (@sshorii10281) 2019年5月26日
いや~、砂通信だから直接再会した訳ではないけど、こういう形でまた登場するのは良いよね。
そんなアニエスがもたらした情報は、海外でバックベアード復活計画が進行しており、復活のために人間の生き血が大量に集められているとのこと。勿論これはカミーラをはじめとするバックベアード軍団の残党が主導となって行っているのだろう。日本で起こる連続吸血事件もこの計画の一端の様であり、カミーラの命令によって世界中の吸血妖怪が動いている模様。
う~む、大逆の四将の捕縛もまだ始まったばかりだというのに、ここに来てバックベアード復活計画が動くってかなり厄介だな。2年目は復活計画も並行して進行するという感じかな?
あと、エリートも復活計画のため日本で活動を始めたのかもしれないと劇中で言われていたが、個人的にはそんな感じではなかったと思う。確かに命令はされたかもしれないだろうけど、あくまで目的は鼻もちならない鬼太郎の排除だったはず。
貴公子ラ・セーヌ、ちゃんちゃんこにビビる
(画像はあにこ便から引用→http://anicobin.ldblog.jp/archives/55356575.html)
前回のエリートの話でもあったが、吸血鬼は基本貴族階級。コウモリから成り上がったエリートは侮蔑の対象となった。
今回の吸血鬼ラ・セーヌは真っ当な貴族階級であり、アニエス曰く「エリートよりヤバイ」。
…もう視聴した方ならわかると思うけど、全然エリートよりヤバくないじゃないか。確かに俊敏性は優れていたけど、それ以外は別に大した実力は無かったぞ。
でも決して6期のラ・セーヌだけが間抜けという訳ではない。実はあの展開は結構原作に則っている。
鬼太郎を倒す→倒したと思ったら残った鬼太郎の手に邪魔される→手を釘付けにして動きを封じる→釘付けにした手が抜け出して再度襲いに来る→防御策を講じたが結局焼死
というのが原作の展開。細かい部分は違うけど、
マンモス「燃やして板だけ焼けてしまって逃げられたらマズイし、薬で溶かすのは?」
ラ・セーヌ「いや、それで板だけ溶けてちゃんちゃんこが残ったらどうするんだよ」
(※意訳です)
というやり取りや、金庫から抜け出したちゃんちゃんこに対する説明的な台詞の下りは水木テイストがあって良かった。
結局アニエスの「ラ・セーヌはエリートよりもヤバイ」というアレは、後半のギャグを引き立たせる伏線みたいなものと考えてよろしいのでしょうかね?#ゲゲゲの鬼太郎
— タリホー@サラリーマン山田 (@sshorii10281) 2019年5月26日
コントでいう所のフリにあたる部分だったのだろうけど、これはアニエス自身由緒ある魔女一族の出身だからエリートに対して偏見があった、或いはエリート自身が得意技の音響催眠術を隠していたのかもしれない。能ある鷹は爪隠すと言うからね。
面白かったけど、ラ・セーヌをショタにする必要は無かったのでは…?#ゲゲゲの鬼太郎
— タリホー@サラリーマン山田 (@sshorii10281) 2019年5月26日
放送直後はこう思ったが、あえて原作のダンディな紳士姿から少年姿にすることで貴族出身だけど経験が浅くピンチに弱い吸血鬼だと強調させる意味もあったのかな~とちょっと思うのだよね。あと原作以上にマンモスとの体格が対称的になっていて凸凹コンビになっていたのもポイントかな。
貴公子ラ・セーヌ、石動に狩られる
5週間ぶりに登場しました石動零。マンモスの懇願も空しく、ラ・セーヌは石動にアッサリと狩られてしまった。ラ・セーヌの「懇願が常に聞き入れられるとは限らない」という言葉が皮肉にも自分の身に降りかかった訳だ。
石動はやっている事は正しいけど、物語の立ち位置としては漁夫の利みたいで株が全く上がらないですね。#ゲゲゲの鬼太郎
— タリホー@サラリーマン山田 (@sshorii10281) 2019年5月26日
「人間に仇為す悪い妖怪を狩り、人間は善悪問わず生かす」という石動の信念は鬼太郎の信念に比べたらかなり確固たるもので、個人的には石動のやり方は全然間違っていないと思うんだ。
ただね、退治しに登場するタイミングがヒーローのそれとは全然違うからどうも横取りした感じが拭えないんだよ。今回の一件だって吸血事件のことは既に知っていたはずだし…。
でも、これは単独行動故にリサーチ能力が鬼太郎たちより劣っているから結果的に横取りするような形になってしまったのかもしれないけどね。
石動「お前の甘さ、そいつがいつかお前の足をすくうぞ」
いつか、っていうよりもう既に鬼太郎の先祖である幽霊族が、争いを好まないという性格故に滅んでいるからね。
でもよく考えるとさ、鬼太郎って足をすくわれてからが本番だよね?今回の件だって結界に封じ込められて埋められてから本領を発揮したようなものだし。だから石動さん、それ、全然忠告になってないと思います…ww。
むしろ石動の方が今後足をすくわれそうな気がする。だって今回は遂に西洋妖怪を狩ってしまった訳でしょ?マンモスを生かしたから当然西洋妖怪サイドに石動の情報が入る可能性はあるし、西洋妖怪もそんな脅威を放っておくはずはないと思うんだ。
鬼太郎・石動・西洋妖怪・大逆の四将、四つ巴の混戦が待ち受けているのではないかと思うと、もうワクワクしますねぇ~♪
来週は知る人ぞ知る傑作「かまぼこ」のアニメ化。週末はかまぼこを喰って視聴だ!