タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

ゲゲゲの鬼太郎(6期)第52話「少女失踪! 木の子の森」視聴

今回は久しぶりの原作回。特に「木の子」は(バトルがあるとはいえ)ファンタジー色が強い話として印象深い回だ。

 

木の子、山天狗

木の子は奈良、山天狗は神奈川に伝わる妖怪。山天狗は同地方で川に出る「川天狗」と区別するために「山天狗」と呼ばれているだけで、実質他の天狗と何ら変わりはない模様。

 

原作「木の子」とアニメ版「木の子」

今回の話の解説に入る前に、原作がどういう話だったか振り返ってみよう。

原作ではモモコという少女が森で遊んでいるうちに迷子になり、森の奥の奥にいる木の子たちがいる場所まで迷い込んでしまった。そこにいた木の子と遊び、生活をしていくうちにモモコは家に帰ることをすっかり忘れてしまった

5年後、たまたま森を通りかかった写真週刊誌のカメラマンたちが見たのは、森で遊ぶ木の子たちと身体が成長し素っ裸状態のモモコだった。モモコの両親は雑誌に掲載されたモモコの写真を見て、モモコを連れ戻そうと捜索隊を結成するが、人間は木の子の森に入れない。

そこで、モモコの父はねずみ男の仲介で鬼太郎にモモコの連れ戻しを依頼。鬼太郎たちはモモコを迎えに行くが、木の子たちは納得しない。木の子たちは鬼太郎たちを追い返そうと、同じ山に住む山天狗を呼び、山天狗は自身の技で鬼太郎を倒した…。

以上が原作のあらすじ。人間が異世界に迷い込むのは「浦島太郎」『不思議の国のアリス』など古今東西の定番ネタだが、この話は人間と妖怪の共存に踏み込んだ回でもある。

心と身体が成長しない木の子たちとは反対に心と体が成長し発達していくモモコ。以前よりも裸であることに羞恥を覚えたり、遊んでいることが楽しくないと感じるようになった。しかし、無垢な木の子たちを悲しませたくない故に葛藤するモモコが何とも健気なのだ。

 

アニメ化は上述したように3期と今期のみ。3期はほぼ原作通りの展開だが、山天狗とのバトル部分が若干異なっている。原作では指鉄砲で天狗の鼻の穴を塞ぎ、リモコン下駄で退治するが、アニメではリモコン下駄で鼻の穴を塞ぎ、オカリナ鞭で動きを封じてから封印の札を貼られるという流れ(3期では祠に封印されていた設定)。6期は3期同様リモコン下駄で鼻の穴を塞いで指鉄砲で撃破している。

まぁ、原作の指鉄砲は物理的に指を飛ばしているから鼻が塞げるのであって、衝撃波的な6期の指鉄砲では出来ない芸当だからな。

 

さて、6期が原作と大きく異なるのは、原作のモモコに相当する桃山雅が親と喧嘩別れした形で木の子の森に迷い込んでいること、森の世界と現実では時間の流れが全く違うこと、の二点だろう。この改変によって原作にはなかった親の苦労と有難みを雅は図らずも思い知ることになる。

勉強・洗濯・整理整頓・食事。何気ない日常生活の中には人間の成長と発達につながるものがある。一方、成長も発達もしない木の子たちには勉強は当然ながら、洗濯や整理整頓を知らない。食事にしても泥団子に川の水・葉っぱと原始的だ。

物語の中盤で雅が木のうろの中を散らかす木の子たちを叱ったり、今まで食べていた泥団子が食べられなくなる場面は間違いなく彼女の成長を示唆している。テストや親の小言など、現実世界はツライことが多いが成長を止められない(というより停滞を許されない)のが人間の宿命。

今回の改変は原作の「人間と妖怪の共存」とは別の視点で妖怪と人間の二者間の違いを描いた点で評価出来る良アレンジだったのではないだろうか?

 

大逆の四将

木の子の話と並行して、今回遂に四将の残り三体の名が明らかとなった。

前回倒された鵺を除くと、

黒坊主

鬼童・伊吹丸

九尾の狐・玉藻前

九尾の狐に関しては他の方のツイートで予想されていたが、鬼童と黒坊主は全くの予想外。特に鬼童は鬼太郎原作に登場しない妖怪なのでどういう役回りを果たすのか凄く気になる所。

簡単に上記の妖怪について説明すると、黒坊主は眠っている女性の寝息を吸い唇を嘗める妖怪で、明治時代の新聞にその記録が残っている。

黒坊主 - Wikipedia

鬼童は鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』にも描かれている妖怪。酒呑童子の子供であり、親を討った仇である源頼光の命を狙ったことで有名。

鬼童丸 - Wikipedia

九尾の狐は今更言うまでもないだろう。玉藻前として鳥羽上皇に仕え、正体を見破られると那須野へ逃げ落ち、討伐軍に討たれた後に殺生石と化した伝説の妖狐。

玉藻前 - Wikipedia

 

前回閻魔大王が言ったように、四将とは言っても徒党を組んでいる訳ではないので彼らが悪事を働いた時代も地獄送りになった時期もバラバラだろう。

黒坊主に関しては退治された記録が残っているわけではないが、原作で(一応伏せ字)高僧によって美人画の中に封じられた(伏せ字ここまで)妖怪なので、一応鬼道衆の先祖が退治したと解釈することも出来る。

ただ、黒坊主は上記の情報からもわかるようにそこまで強い能力を持った妖怪ではないので何かしら設定が追加されるのでは…と思っている。

 

もう一つ気になるのが、九尾の狐。実は原作ではこの九尾の狐と深い関わりがある中国妖怪が登場するのだが、今回の四将編で姿を現すのか気になる。もし玉藻前と共に登場するのならば、鬼太郎ファンにとってはかなりスペシャルな展開となりそうだ。

 

あと劇中で補足されていたが、やはり一つ目坊、石動に取り込まれた様子。人間に害をなす妖怪を狩るためとはいえ、目的のために手段を選ばないのは良くないな。もうますますぬ~べ~のアイツと同じ末路を辿りそうだな(名前が思い出せない…)。

 

 

さぁ来週は平成最後の鬼太郎。以前から解禁されていたが平成最後を飾る妖怪はぬけ首!…ってまたエラいマイナーな妖怪を選んだな。

そしてチャラトミ、ま た お 前 か