タリホーです。

趣味を中心とした話題に触れていく所存(本格ミステリ・鬼太郎 etc.)

ゲゲゲの鬼太郎(6期)第48話「絶望と漆黒の虚無」視聴

最早この最終決戦の着地点は視聴者にはわからない域まで達した。

 

「え、大丈夫?これ来週で収拾つくの?」ってレベルですよ。

 

(以下、48話のネタバレあり。未試聴の方要注意!)

 

まなの血筋

前回名無しの策略で猫娘の斬撃を受けた犬山まなの母(以下、純子)。どうやら一命はとりとめたようで病院送りになった。

一方まなが猫娘を消滅させた瞬間がネットで配信され、妖怪を消滅させる超能力を持った謎の少女としてマスコミで報じられる事態に。

 

ここで新情報。まなの母方の曾祖母は拝み屋(祈祷師)であり、まなは拝み屋の血筋の人間だということが判明した。まなが妖怪と関わるようになったのも、血筋が影響しているのかもしれないな。

まなという名前はその曾祖母の命名らしいが、目玉おやじ「まな=真名」という仮説が本当ならば、この名付けと一連の騒動を起こした名無しとの間に関連した何かがある気がするが、一体何だろう?

 

広がる憎悪、「畏怖」から「殲滅」へ…

街では不良共による「妖怪狩り」が横行。無害に等しい豆腐小僧も妖怪狩りのターゲットに。

勿論妖怪達も黙っている訳はなく、畑怨霊らは人間と戦うべきだと鬼太郎に訴えかける。

 

ここでどうして畑怨霊が登場するのだろうか?と思ったが、凶作で餓死し葬式をあげてもらえなかった霊が妖怪化したものだから、反人間という立場の代表に相応しい妖怪なのだろう、と自分は思っている。

 

目玉おやじの仲裁で一旦は治まったものの、一触即発は時間の問題。

鬼太郎はまなに事情を聞きに行くが、猫娘の消滅がショックだったのか、平生とは明らかに様子が違い、冷静さを欠いている。

 

一方病院では純子の容態が急変。生命の安否に取り乱すまな。

そんな最悪のタイミングで鬼太郎とまなは対峙してしまう。

 

両者とも「何故猫娘が母を傷つけた」だの「何故猫娘を消滅させた」だのと詮無き追及をする。

鬼太郎に至っては「妖怪を消滅させる力があるとわかって自分達に接触してきたのではないか」「もし知っていたら母親を守るために猫娘を問答無用で消滅させたのか」など、明らかにまなを敵視したかの様な発言をする。この辺り、まなの母が危篤状態だというのにこの追及は明らかに異常と言わざるを得ない。

 

でもよくよく考えれば、まなは猫娘とは関係を育んでいたけど、鬼太郎とは言う程関係を育んだ訳ではないからな。互いにピンチを乗り越えたけど、プライベートな部分で関わることが無かった分、心の片隅に相容れないモノがあったのかもしれない。

特に鬼太郎は人間に滅ぼされかけた幽霊族の末裔だから、人間に対する不信感が他の仲間妖怪達よりあっただろうし、ここの所のさら小僧や万年竹の一件で人間の悪い部分を見てきているから一層人間に対する心象を悪くしていたのかもしれない。

50年以上生きているとはいえ、やはり少年。事態を客観視出来ず感情的になってしまったのが良くなかったね。

 

そして名無しの“仕上げ”。まず外(人間・妖怪)に対してはオメガトークを利用し、調布に妖怪が集結するという情報を拡散。これまでの情報で「妖怪=恐怖」と植え付けられた人間達は暴徒化。百鬼夜行の情報に煽動され、集まった妖怪達を殺してしまおうと武器を持ち調布へ向かう。妖怪達も人間への憎悪を募らせ戦うことを決心。

この辺の描写は目に見えないモノに対する念が畏怖から殲滅へと変わった瞬間を表現した部分だったと思う。人智を超えた存在を畏れ敬うのではなく排除することで安寧を得ようとする選択は、3話で目玉おやじが「違うもの同士が一つの世界で生きていくのに一番必要なもの」として挙げた「お互い相手を尊重して理解しようとすること」とは真逆の選択だ。

 

そして内(まな)に対しては純子が死亡したという偽の訃報を聞かせて絶望させ、妖怪に対する憎悪を煽った。人間と妖怪、両者の憎悪は最大限に膨れ上がり、遂に名無しはまなに五行の最後の印「水」を刻んだ!

 

名無しが巨大な赤子になったことについての一考察

五行の印を完成させ、まなの身体で逆五芒星を作った名無しは、まなを取り込み巨大化。巨大な赤子となって鬼太郎の前に立ちはだかった。

名無しが巨大な赤子と化したことについて、ネットでは「名無しの正体=水子という説が挙げられている。確かに、名前をつけられる前に死んだ子なら名前がないのも当然だし、へその緒が付いた赤子として現れた理由もわかる。

でも、私はこの説にもう一歩踏み込んで「名無しの正体=霊能力者の水子という説を挙げたい。

 

・赤子の容貌

  映像を見てもらえればわかるが、赤子化した名無しは四つ目で頭に角のようなものがある。これこそ、名無しが単なる水子の霊ではないと証明してはいないだろうか?

 

・12話の回想場面から…

(画像はあにこ便から引用→http://anicobin.ldblog.jp/archives/53667850.html

12話の終盤で、女性が二人の男性に斬り殺されそうになる戦慄の描写があった。この女性は「ゲゲゲの鬼太郎1968〜2018 アニメーション設定資料集」によれば、犬山まなの先祖にあたる女性だが、この場面と先程言及したまなの血筋の情報から、あることが頭を過った。

 

「もしかして、名無しはまなの先祖の水子ではないか?」

 

前述したが、まなの曾祖母は拝み屋。平たく言えば霊能力者のカテゴリーに属する。ということは、先祖も特殊な霊能力を持った人間だった可能性が高い。霊能力者はその特殊な能力から畏怖の対象として崇められる一方、脅威になり兼ねない存在であった。

例えば部族間で戦争があった場合、敵方に戦況を予知出来る霊能力者がいれば対策をたてられ不利になってしまうかもしれない。下手をすれば味方側の弱みを握られてしまうかもしれない。

つまり、霊能力者はその人物が属する集団にはプラスの効果をもたらすが、他集団にとっては危険な存在なのだ。

 

もし、まなの先祖が霊能力者であり、その人物が子を孕んだとする。その子が母親以上に強い能力を持っていたとしたら…。当然他の部族がそんな脅威を放置しておくはずがない。母子もろとも殺してしまえと暗殺を企てる輩もいたはずだ。12話の回想場面はその瞬間を切り取ったものだとは思わないだろうか?

 

大胆な発想だし、些か飛躍した所もあるが、以上の様に考えれば名無しが逆五芒星の呪術を完成させるのにまなを選んだのは、子孫であり相性が良かったからだと説明がつくし、人間と妖怪の二者間の憎悪を増幅させ殲滅へと向かわせるよう煽動したのも、自身が排除された原因となった歴史を繰り返しているように思える。

自らの手で周りを虚無へと変えていくのは「本来生れ落ちるべきはずだった世界」に対する怒りであり、現世を虚無の世界にして自分と同じ苦しみを味わわせる目的があるのかもしれない。

 

あ、「正体が赤子なら何故煽動といった策略を仕掛ける頭脳があるのか?」と疑問に思うだろうが、これは肉体は滅んでも意識(魂?)は現世にとどまり老成化した、と考えれば説明がつくかな?もう半ばこじつけだけど。

 

 

さて来週は名無しとの最終決戦。絶望状況を打破してくれるのは、ねずみ男か!?