待ちに待ったDVD BOX二巻目が届いた。
(収録作は13話「欲望の金剛石! 輪入道の罠」から26話「蠱惑 麗しの画皮」まで)
以下、雑感をとりとめなく。
富裕層な犬山家
3期の天童家は中の上レベルの経済的豊かさだったというのが個人的なイメージだが、犬山家は多分天童家よりは富裕層だと思う。
だって別荘持ってるもの。別荘持ちの家が一般家庭なワケ無いじゃないか。
夏休み期間は子供向けの「教訓エピソード」多め?
夏休み期間、つまり7月下旬~8月末は前シーズンでちょこちょこ見られたブラックさはなく、比較的子供向けの、教訓的なエピソードが多かったと思う。
例えば19話のおばけ学校回は「学校で学ばないと悪い人間に騙されるぞ」という内容だし、21話のたくろう火回は「違っているからこそ強く結びつく友情」を子供に向けて伝えようとしている感じがした。22話の牛鬼回も、牛鬼の劇画的ビジュアルや鬼太郎が牛鬼化する様の衝撃がやたらに印象深かったが、つまるところ「昔からの伝承や戒めをないがしろにしてはいけない」という点では教訓エピソードといって良いだろう。
そして教訓としては20話の「妖花の記憶」も忘れられない。戦後70年以上経った今、戦争体験者が次々と鬼籍に入り、太平洋戦争の語り手が減っていくなか、どの様な形で原作の「妖花」を描くのかが鬼太郎ファンとして気になっていた。
観た感想は素晴らしいの一言である。広島・長崎の原爆、沖縄の集団自決など、どうしても太平洋戦争、とりわけ戦争の悲劇を語ると被害者視点のエピソードに重点がおかれてしまいがちだが、今期では日本も他の国に攻め入っていたということが劇中で述べられている。「日本人が異国の地に攻め入って、そこで死んだ」という事実が戦争行為の良し悪しを抜きにして語られているのも評価すべき点だ。
戦争の恐怖を音という形で伝えて来る精霊トゥブアンの下りは、水木先生が南方の島に取材に行った時に現地の人が音で精霊と交信しているという部分を参考にした感じがした。こういう所に作品や作者に対するリスペクトの精神が窺える。
20話録画視聴。戦争ものを描くのが時代が経つにつれて難しくなるなか、これは非常に良かった。
— タリホー (@sshorii10281) 2018年8月12日
戦没者を守るために戦争の音で威嚇していた精霊トゥブアンの部分は、水木先生が南の島に行った時、現地の人が音で精霊と交信しているという部分を参考にしているのだろう。#ゲゲゲの鬼太郎 pic.twitter.com/dDnoIappX0
13話~26話、個人的ランキング
14位:21話「炎上! たくろう火の孤独」
「違うからこそ助け合える」というテーマは良いが、たくろう火以外の炎の妖怪でも話が成立してしまうので、たくろう火である必然性が感じられない、という点で勿体なさを感じた。目玉おやじがロボットの正体が雨降り小僧だと気づく下りも少々不自然な感じがする。
13位:26話「蠱惑 麗しの画皮」
毒親を扱った点は面白かったが、余りにも後腐れのないゆうなと母の態度に少しモヤっとした自分。話の展開上仕方ないのかもしれないが、子泣きじじいが住宅街にいるというのも取ってつけたみたいで違和感が残った。
12位:18話「かわうそのウソ」
猫娘の「ごんぎつね」的な行為とかわうそのウソ。素直になれない妖怪たちの話ということで悪くないのだが、今一つ面白みに欠ける、というのが正直な感想。5期のかわうそ回が素晴らしかったから余計見劣りしちゃうのかな?
11位:22話「暴走!! 最恐妖怪牛鬼」
劇画チックな牛鬼が最高。牛鬼化する鬼太郎の様子も真に迫っており、展開も原作準拠なので問題はない。ただ、迦楼羅様の存在感が希薄気味だったので11位にした。どうも、これまでの迦楼羅様より威厳が感じられなくてね…。
10位:17話「蟹坊主と古の謎」
蟹坊主の問答が敵か味方か判断するための合言葉であったという設定や、ブロンズ像化した蟹坊主のために妖怪のブロンズ像が設立されたという「水木しげるロード秘話」になっていた点が面白い回。強いて欠点を挙げるなら目玉おやじの「蟹坊主は倒されるために暴れた」という解釈だろうか。これは少し良い話に持っていこうという感じがしたので。
9位:19話「復活妖怪!? おばけの学校」
鬼太郎と名無しが初対面、これまで退治された妖怪が魂となった描写の意味が語られる回として、ある意味重要なエピソードと言えるだろう。鬼太郎の雑な変装に関しては、「妖怪は相手の正体を眼で判断している」説が有力だと思うのだが、どうだろうか?
8位:24話「ねずみ男失踪!? 石妖の罠」
原作があるのに(恐らく)結婚詐欺という題材ゆえに子供向きではないと判断され、アニメ化されなかっただろうエピソードが遂に6期でアニメ化。おばばの「捕え方がスケベくさい」、海坊主の「ペットとして飼ってみる」発言がカットされてなかったのはグッジョブ!
7位:16話「潮の怪! 海座頭」
鬼太郎メンバーと人間が協力して妖怪退治する展開は3期を彷彿とさせる。ラストがお祭りで終わるのも、3期の牛鬼回みたいで懐かしかったな~。スナイパー庄司の圧倒的存在感も光る秀作。
6位:25話「くびれ鬼の呪詛」
朝の9時台から首吊り縄を出して来るガチホラー回。くびれ鬼の出番が少ないのが寂しいが、SNSで匿名で相手に悪意を発信出来る時代になり、手軽に相手を呪え、尚且つその拡散力も手紙をしのぐ早さだからこそ恐ろしい。そう感じる回だった。劇中では言及されなかったが、「スーマホばっかり、見ていると…」と呪文のようにつぶやく人々は、スマホアプリの呪いの影響で頭がおかしくなった人たちだろうか。
5位:13話「欲望の金剛石! 輪入道の罠」
過去最高にブラックな輪入道回。3期の輪入道対策のために防護服を着てまでダイヤを手に入れようとする人間の欲深さもなかなかのものだな~と思っていたが、それをいとも簡単に乗り越えてきた。何度も言いますが、これ日曜朝9時台放送のアニメですよ。
4位:23話「妖怪アパート秘話」
夏美が号泣した所で危うく私も泣きそうになった。アニメ化50周年の歴史を感じさせるストーリーも素晴らしい。地上げ屋の下りは3期ぽかったが、そういや3期は妖怪の住処を破壊する人間のエピソードが多かった気がするな。
3位:15話「ずんべら霊形手術」
美醜をテーマにした回として何とも印象深い。綺麗でありたいと願うのは、40話のさら小僧回のように一種の承認欲求なのだろうな。一人のイケメンの愛情など、大多数の人間の称賛には敵わないというやつですよ。ずんべらの妖怪としての立ち位置もまた絶妙で良い。
2位:20話「妖花の記憶」
先述した通り。もう、言うことないです。傑作。
1位:14話「まくら返しと幻の夢」
これはもう脱帽した、と言って良いだろう。目玉おやじのイケメン化という、話題性を狙った演出は下手をすればマイナスポイントになってしまうのだが、原作の目玉だけになる前のミイラ男の様な姿は言わば鬼太郎父の晩年期の姿であり、それ以前の若い時の姿・全盛期の姿は一切不明なので、目玉おやじがあの様なイケメンであった可能性は実をいうと否定出来ないのだ。これは原作ファンの盲点を突いた演出だ。しかもいつも鬼太郎の上に乗っている父が鬼太郎を抱く側になっているのだから、ファンからすれば感動モノ。
夢繰りの鈴の少女の背景や、不穏な余韻を残す少女の笑み、ユーモア・感動もあり。正に6期の良さが詰まった一作。鬼太郎ファンなら未見は許されないぞ。