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ゲゲゲの鬼太郎(6期)第40話「終極の譚歌 さら小僧」視聴

ぺったらぺたらこ、ぺったっこ~

ぺったらぺたらこ、ぺったっこ~

でお馴染みのさら小僧回。今期はこれまでの貧乏歌手から貧乏芸人へと改変されたが、今回の結末に相応しい改変だったと思う。詳しくは後述。

 

さら小僧と各期「ぺったらぺたらこ」

基本的に原作では鬼太郎のことを良く思っておらず、敵側につくことが多い妖怪。戦闘力もなかなかのもので、目玉親父も戦闘を避けるよう鬼太郎に忠告する程だ。

一方、妖怪存亡の危機を描いた「妖怪危機一髪」「妖怪大戦争(2005年の映画のコミカライズ)」では酷い目に遭うモブ妖怪の一人として描かれている。妖怪の実力者だけに余計標的にされやすいのだろう。

 

で、さら小僧といえば「ぺったらぺたらこ」。原作では妖怪の歌である「ぺったらぺたらこ」を盗用した貧乏歌手が誘拐される。

アニメでは各期それぞれの「ぺったらぺたらこ」があり、鬼太郎ファンなら当然知っているだろうが、ビギナーに向けて簡単に各期(1期、3~5期)の「ぺったらぺたらこ」を紹介しよう。

 

1期では原作の「ぺったらぺたらこ」のフレーズに加えてオリジナルの歌詞が追加されている。(歌詞は1番のみ引用)

ぺったらぺたらこ ぺったっこ ぺったらぺたらこ ぺったっこ

あたまにゃお水があるだべさ あたまにゃお水があるだべさ

お水がなくなりゃ だめだべさ だめだべさ

それであたまに ぺったらこ ほい ぺったっこ

 

3期は何と「ぺったらぺたらこ」ではない。「闇夜に気をつけろ」という題名がつけられた完全オリジナル曲。

暗い闇の世界から たましい食べに来たのさ
すみか荒らす子供たち 地獄へさらってくため

おびえろ人間ども ケケ おれたち妖怪だぞ
この世は、おばけのもの ケケ 悪いことやるぜ

 

4期はOPを担当する憂歌団がゲスト出演。憂歌団らしいしっとりとした曲調の「ぺったらぺたらこ」が趣深い。

ぺったらぺたらこ ぺったっこ ぺったらぺたらこ ぺったっこ

橋のたもとで 耳をすませば 聞こえてくるぜ へんな節

 しかし、4期「ぺったらぺたらこ」には歌うと時間が逆戻りしてしまう禁断の4番が存在するという恐ろしい設定が追加されている。憂歌団の歌も4番だけ曲調がガラッと変わっている。


ぺったらぺたらこ

 

5期はOPを担当したザ50回転ズがゲスト出演。プロットは原作を踏襲しており、歌詞は1期と同じだが、5期「ぺったらぺたらこ」は雨乞いの歌という設定があり、不特定多数の人間が歌ったり、CDを聴いたことで街が浸水するという惨事が起こった。さら小僧だけが知る歌の5番が雨を止めさせる唯一の方法。(以下は問題の5番)

ぺったらぺたらこ ぺったっこ ぺったらぺたらこ ぺったっこ

お皿もたっぷりうるおった お皿もたっぷりうるおった

雨よそろそろやんどくれ これでおしまいぺったらこ 

ほい ぺったらこ ぺったらぺたらこ ぺったっこ

 

承認欲求中毒

今期は歌手から芸人に改変したことで、これまでのようなオリジナル歌詞はなく、「ぺったらぺたらこ」を一種のワンフレーズネタという扱いで用いたのが今期のさら小僧回の特色の一つ。そして芸人という設定により、これまでになかった承認欲求というテーマが前面に出ていたのも注目すべき点だろう。

歌手に比べると芸人(特にお笑い芸人)の仕事は「いかに相手を笑わせ楽しませるか」という点に集約されていると言って過言ではないだろう。歌ならば難解で面白くなくても「良い歌」になることがあるし、メッセージ性がなく中身が空っぽだったとしても、ノリやリズム・テンポが良ければそれはそれで「クセになる曲」として評判になるだろう。

しかし、お笑いはつまるところ面白くなければ意味がない。どんなにメッセ―ジ性があったとしても難解で面白味のないネタは駄作であり、ノリの良いリズムネタに走ったとしても飽きがくる。お笑い界の重鎮としての地位を獲得してやっと芸能界という地面に根を生やせる。それが出来なかった者は根無し草の如く地方巡業するか、あるいは根すら生やせず枯れるか。

歌手の世界とどっこいどっこいなのかもしれないが、お笑いの世界は衰退がロコツな分より残酷さが際立つような気がする。

 

脚本を担当した伊達さんはお笑い芸人だそうだが、やはり本職の人だからこそ書けた話だったと思う。身近な人間の愛よりも、大多数の歓声や称賛を求めてしまう。そういや「ずんべら霊形手術」の房野きららもそうだったな。房野は一度顔を変えたことで味をしめ、ビンボーイサムは過去の栄光にすがる。他の方のツイートにもあったが、ここまでくるともう「笑ゥせぇるすまん」の世界だ。

 

 

あ、そうそう。今期のさら小僧の声を担当した松野太紀さんは5期でもさら小僧の声を担当している。今期も前と同じテイストかなと思ったが、今期のさら小僧は通常時はさざえ鬼(4・5期のさざえ鬼回参照)の時みたいな声で、豹変時は凄みをきかせた声に変えている。5期との差別化を図っている辺り、流石プロの仕事だ。

 

さて来週は化けぞうりが登場。予告を見たが予想外にゆる~い化けぞうりだったな…。さては、ゆるゲゲの影響かな?