よっしゃー!(歓喜)
となり、そこから舞台が愛知で現代版として放送されると聞いて、
えぇー…(落胆)。
となり、今日に至った。
はっきり言って視聴前は、
「2時間ドラマ枠でこの名作を描く?舞台を愛知に変えて?現代劇にして?出演者にプロレスラーがいる?もうこれは駄作でしょ…」
と思った。正直な話。
で、視聴後の感想。
「あれ?意外と良かったね…」
もっとケチョンケチョンに叩くことになると予想していたが、2時間の視聴に耐えうる出来だったと思う。
やはり基本的なプロットを守っていたから多少の改変ではビクともしなかったし、原作にもある普遍的かつ不変なテーマを扱っているから物語の感動性も損なわれなかった。全部が全部褒められる訳ではないけどね。
(以下、ドラマ・原作のネタバレあり)
勿論原作には勝てない
これは全ての映像化作品に言えることだけれども、原作には敵わない。
確かに今回の映像化、現代劇として原作そのままではマズイ部分も整合されていた。原作の根底にある「社会的弱者への暖かい眼差し」「搾取する国家に対する反旗」といったテーマもしっかり盛り込まれていた。
しかし原作の凄さはこんなものではない。
まずスケールがデカい。ドラマでは日本中が注目する大事件程度だが、原作では世界が注目する大事件となっている。
ドラマでは丸々カットされる結果になったが、原作では「刀自の身が本当に安全かどうか確認したい」という要求を受け入れるためにテレビの生中継で刀自と柳川一族を対面させるという展開がある。
発表された1978年は当然今と違って携帯電話・インターネットの無い時代。ドラマではSNSを利用して難なくクリア出来た問題だが、そんな便利なモノが無い時代にどのようにしてこの問題をクリアしたのか?
これは是非原作を読むか、1991年発表の映画版を視聴していただきたい。
そして刀自の深謀遠慮ぶりが半端ない。
ドラマは「税金を搾取して社会保障やしかるべき目的で使わない国に払いたくない」という思いが100億の身代金の裏に隠されていたという程度に過ぎなかったが、原作は100億の身代金によって一石数鳥の効果を挙げている。100億という数字にもしっかり意味があるのだ。
キャラクター造形も原作の魅力の一つであると言える。とし子刀自は勿論、三人の誘拐団、柳川一族、警察、その他大勢の市井の人々がこの誘拐劇のスケールのデカさを裏付けてくれた。時にユーモラスに、感動的に物語を進めてくれた。
ドラマでも三人の誘拐団の人柄の良さは十分伝わったと思うが、原作はもっと人の良さがわかると思う。刀自の言葉一つ一つが至言であるし、柳川大作の意外な才能もわかる。
何度でも言おう、原作を読め。話はそれからだ。