最終回、遂にボスクラスの大陀羅朱鳥・亜謄蛇が仕掛ける!
(以下ドラマ・原作のネタバレあり)
ドラマの朱鳥・亜謄蛇が仕掛けたトリックは、原作の天后・紗霧の仕掛けをアレンジしたもの。
まず亜謄蛇が仕掛けた密室殺人は原作で紗霧が考案した「収斂火災トリック」に相当する。
仕掛けの本質は変わらないが、問題は仕掛ける場所の違いにあって、原作の方はホテルの回転ドアという特殊な場所を狙ってターゲットを殺すという部分に独創性を感じたが、ドラマの方は室内なのでやはり凡庸な感じ。
まぁ、今は回転ドアを設置したホテル自体もうほとんど無いだろうからセットを作らずにこのトリックを完全再現するのはハードルが高いだろう。特に予算が限られている深夜ドラマ枠なら尚更である。
そしてラスボス朱鳥が仕掛けたトリックは原作で天后が考案した「倒壊トリック」に相当する。
熱湯配管や漏電といった細かな暗殺トリックを倒壊の伏線に利用し、一族をも犠牲にする悪辣なトリックという点は共通しているが、ドラマの方はラスボスが直々に倒壊の作業を行っているのがツボである。
あの片平なぎささんが木槌で木造建築の柱を嬉々として叩いてる絵面がシュール過ぎてね…ww。
あと伏線としての暗殺トリックが千曲川の紙芝居ダイジェストで処理されるというのはちょっと予想外だったww。
さいごに(ドラマの総評)
今回のドラマでの暗殺トリックを総括すると以下の通り。
・朱鳥サイドの暗殺(序盤の一華の路上への突き飛ばしは除く)
毒蜘蛛を利用した暗殺
アナフィラキシーショックを利用した暗殺
施設を逃亡した子供を利用した暗殺
連続突き飛ばし魔に見せかけた暗殺(ドラマオリジナル)
シャンデリア落下による暗殺
自殺に見せかけた暗殺
老朽化した建物を利用した暗殺
・亜謄蛇サイドの暗殺
ヘリウムガスを利用した暗殺(ドラマオリジナル)
収斂火災を利用した暗殺
・貴人単独による暗殺
以上のようにまとめてみると、亜謄蛇サイドは化学系の暗殺トリックが集中していることがわかるが、このようにキャラクターによってトリックのタイプが異なるというのはなかなか興味深い。
さて、今回のドラマ化は原作要素は3~4割程度で残りの大部分がドラマオリジナルというのが私の印象だった。これは深夜枠ゆえセット・美術の予算や原作に相応しいキャストを集めるのが難しかったせいもあるだろう。それゆえ改悪になってしまった部分も残念ながらあった。
しかし、私としてはユーモア・ミステリとして今回のドラマ化を評価したい。
あそこまでぶっとんだ千曲川のキャラ造形は却って清々しさを感じるし、それに対応する一華のツッコミ・顔芸もうまくハマっていた。これはどちらも改変したからこその成功である。
あと、原作と違って大陀羅一族にもトリック返しをしている点が私的には高評価。原作下巻だと、仕掛けられたトリックを防ぐだけで精一杯だった千曲川だが、ドラマの方はキッチリトリック返しを行っているので痛快。特に最終回の朱鳥へのトリック返しは圧巻モノで、原作の入れ替わりネタと5話で披露された千曲川のナイフ投げを組み込んであの展開へと持っていったのは脚本として最高の仕事ではないだろうか。
蛇足ではあるが最後に。私は原作通りの千曲川光を演じて欲しい俳優として、古川雄輝さんを推す。
と言うのも、テレ朝の「重要参考人探偵」のシモンを観ていた時に「これ喉仏見えなかったら女と言われてもあまり違和感ないな~」と思ったからだ。
そしてドラマを観た方は原作も読んでね ♪